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いいひと失格。

サツマイモの素揚げにハチミツが付いてきて、なぜかそこにマヨネーズで文字が書いてあったの。
連れがマヨネーズ無理だったから店員さんを呼んでスプーンをもらってマヨネーズをきれいに取り除いたの。
私はハチミツとマヨネーズ両方つけて食べたわ。美味しかった。
居酒屋に入るの何年振りだったかしら。
思い出せない。
とにかく楽しかった。

毎日、自分なんてつまらない人間だと思いながら暮らしてたの。
死にたくはならない。
私はまだ死んではいけないから。
周りのひとが病気や自殺でどんどん死んでいったの。

小学校一年生のある夜起こされて、
「おじいちゃんが死んじゃったから行くよ」
って言われてグレーの色のワンピースを着てまっくらな夜の道をおとうさんが運転するクルマで走った。
おかあさんは泣いていた。
はじめてしんだひとの顔を見た。
「おじいさんきれいじゃろ」
おばあちゃんは得意気に言ったの。

それからどうしてか、毎年のように誰かがしんで、お顔に花を手向けて唇にお水をつけてあげた。
病気だとお顔が黄色だったりした。
見せられないような顔になっちゃったら、葬儀屋さんが顔の写真を見ながらきれいに復元してくれるの。
でも、「こんなん親父じゃない」
と言って従兄は泣いていた。

もうちょっと生きたいなと思っても病気でしぬし、まだ生きてできることがあっても勝手にどっか行ってしんじゃう。

だから私はしぬまで生きる。
全然いいこじゃないし、ひとを傷つけるし、捕まってないだけのわるいこでも誰にも裁かれなくても自分で罪をゆるして、しぬまで生きないといけない。
私を恨んでるひとはいると思う。
これはあのときの報いだ……って思う日もある。
私の願いが叶わなかったり、家族が苦しんでいるときにこれは私の罪のせいだ……って何回も思った。

心の底からいいことをしたいっていうより、いままでひとを傷つけたからこれからはひとのためになりたい、って思う。

家族に障害があるから教員になりました、とか
母を早くに亡くしたので医療従事者になりました、とか
ゴミ拾いをしています、とか
ほんとうにやさしいひとなんだなぁというひとを見ると複雑な気持ちになる。
同じ生き物じゃないみたい。
自己嫌悪に陥る。24時間くらいは。
生まれたところが違いすぎるんだ。
そう考えて落ち着こうとする。
私ははじめからいいひとになるようには生まれていない、比べるほうがおかしいんだ。
彼らが心が清いことを自慢していると思う私の頭がおかしいんだ。

私は歪んだ心をまっすぐに保つよう毎日努力している。
気を抜くと、とんでもない考えに至る。
実際に逸脱した行動はしない。
ただ、こどもたちにはとんでもないひとが世の中にはいるから気をつけるんだよ、とおしえている。それは私のことだ。
私だけじゃないが、話しが通じないひともいるから、どうしようもないときは逃げるとか大声を出すとか、自分を守る方法をいつもおしえている。
こどもたちは、私のこどもじゃないみたいにやさしい。
だから、傷つくことが多い。
決してやり返さない。
せめて自分のこどもがいいこに育ってくれて、嬉しい。
彼らはひとを傷つけない。

意図的に傷つけはしないが、誰でも誰かに迷惑をかけたり、陰で知らないうちに誰かを泣かせてしまったりしているんじゃないかとは思う。
とてもしあわせに暮らしているのは誰かの犠牲があるおかげかもしれない。
自分は清廉潔白だなんて言えない。
自分でそんなこと言うひとには逆に気を付けたほうがいい。

私は強くなることを履き違えて、さまざまな過ちをおかした。

ひとを助けるのは崇高な目的があるんじゃなくて、私のこどもが困ったときに誰かに助けてほしいから。
私はもう誰にも助けられなくても何も怖くない。
いいひとなんかならなくていいし、なれる資格がない。
いまからでも今日からでも遅くはないから、こどもたちのために少しでも何かを積んでいきたいのだ。

葬儀には誰も来なくていいけど、
あなたのおかあさんが話してくれたことでちょっとやる気が出た、って誰かが私のこどもを励ましてくれたらいい。


覗いてくれたあなた、ありがとう。

不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。

また私の12ハウスに遊びにきてくださいね。




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