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文学論・文芸論・サブカルチャー論

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2019年5月の記事一覧

『文学の読み方』/さやわか

主題…年に二度、芥川賞と直木賞が発表されるが、その評価基準は明確にされていない。そもそも「文学」を評価する基準自体が明確ではなく、そのことは文学が近寄りがたいものとして認識される原因にもなっている。「文学」を評価する基準とは何なのか、そして、いかなる心構えで文学に触れればよいのか考える。

1章では、村上春樹の作品をめぐる評価を通して、文学におけるものの見方についての説明がなされている。
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『日本がバカだから戦争に負けた 角川書店と教養の運命』/大塚英志

主題…角川書店の創業者角川源義氏は、角川文庫の創刊の際に、日本の敗戦を「教養」の乏しさに見出していた。こうした理念の下にある角川は、その後、「教養」をどのように捉え、出版を始めとする経営を展開してきたのか。歴代角川社長はいかに「教養」を変化させてきたのかを辿り、「教養」の現在を考察する。

第1部では、角川書店の創業開始から、三代目の角川歴彦に至るまでの、角川書店の経営と「教養」の変遷の流れに

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『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』/円谷英明

主題…ウルトラマンシリーズを世に生み出した円谷プロ。ウルトラマンを生み出した円谷プロは、これまでいかなる経営をしてきたのか。また、なぜ「ウルトラマンが泣いている」なのか。円谷プロの栄華と失敗を辿る。

1章では、円谷プロの特撮技術へのこだわりや、「ウルトラマン」がヒットした経緯などが述べられている。
円谷氏によれば、円谷プロの原点は特撮技術への徹底的なこだわりにあったのだという。そうした特撮

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『お姫様とジェンダー アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』/若桑みどり

主題…シンデレラ・白雪姫・眠り姫など、世に広く知れ渡っている数多くの童話がある。これらの童話は、人々に夢を与えてきたとされているが、果たして本当にそうなのか。輝かしい物語をジェンダーの視点から紐解くことで、「お姫様」の物語の異なる側面を浮き彫りにする。

1章では、「ジェンダー」とは何か、そしてジェンダーを学ぶことはいかなる意義があるかについて論じられている。
若桑氏は、ここで「ジェンダー」

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