【想いの層とは】 「黒博物館シリーズ」 原画展
原画展が、好きだ。
でも、あと50年もしたら「原画展」なるものは消滅してしまうだろう。
現状、どれくらいの漫画がデジタルで描かれているかは知らないけれど、いつかきっと、大多数がデジタルで描かれる日がくる。そうすると、すでに存在する原画を使った原画展はできるけれど、新作での原画展は無くなっていく。
原画には、紙面以上の情報が存在する。「思いの層」の積み重ねが見え隠れする。
下書きの線から伝わってくるものもあるし、吹き出しの中の手書きのセリフに、物語が生まれる過程を感じたりもする。
指示書きからアトリエでの会話を想像するのもワクワクするし、カラーが多く使われているページなんて、文字通り厚みが違う。
でも、考えてみれば、50年後には「紙面」がそもそも存在しなくなるのかも知れない。デジタルで描かれた漫画を、デジタル端末でのみ読む世界だ。
デジタル化が悪いわけではない。デジタルで漫画を描けるようになった結果、地方に住みながら漫画を描くことが可能になっただろうから。
では未来の世界では、原画展の代わりに、デジタルで描く工程がなんらかの形で楽しめるようになるのだろうか。原画やその下書きの持つ、生まれ出る工程としての実在とは別物だけれど、それはそれで過程としてはワクワクするものになるだろう。
どんな展開になるのであれ、せめてその日まで、行きたい原画展にはなるべく足を運んでおこう。
夏にも、とある原画展に行った。贅沢だった。
明日も良い日に。
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