オフシアター歌舞伎:女殺油地獄
「金の切れ目が縁の切れ目」は古からの合言葉。
遊女に入れあげ、借金こさえ、挙句の果てに両親に勘当されるダメンズ与平衛。
父母のなけなしの銭では改心する由もなく、優しい隣の奥さん殺し、大金手に入れ裏切り与平衛。
そんな天下も三十五日。お縄を頂戴と相成りまするが、その瞬間すら開き直って幕切れ与平衛。
文楽って、なんでこんなに血しぶきとダメンズてんこもりなんだろねw
歌舞伎でもなく、文楽でもない表現の場が、倉庫ってのもステキ。
ロビーからしてこんなやでw
この紗幕っぽいのが緞帳替わり。四方に客席があるお相撲スタイルの舞台です。
倉庫での公演って、ストリート演劇な感覚になる。浄瑠璃の声も、役者の声も、打ちっ放しコンクリートに異様に響く。
油まみれの殺人のシーンで、行灯が倒れて真っ暗闇になった瞬間、一筋、月の光が灰色の舞台に差し込む。その月光に、お吉の白い首筋が浮かび上がる。歌舞伎の女形の本領発揮。美しいよぅ...
ズパッ!!と突き刺さした瞬間の鳴り物の底冷えするような音。お三味線のピックスクラッチみたいな断末魔の声。
全てが…カッコいい…
歌舞伎役者さんらに混じって、荒川良々さんと赤堀さんがいるのも絶妙な緩急になっている。
異次元な舞台に、漢字や銭が、team labo の「世界はこんなにも優しく美しい」の書みたいに降ってくる。優しくもなく、美しくもない凄惨な殺人の現場に。
「あれを見りゃれ。触角を失のうた虫みたいに歩いとる。あいつはもうあかんね。おーーーっほっほっほ」
遊女の声が響く。何のために、殺したんだろうね。何のために、生きてるんだろうね。
必見。
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