マウスピース

「ちょっと相談したいことがあるんだけど、いいかしら」

あまり相談ごとをしない母が、おずおずと SMSを送ってきた。（SMSで何故おずおずだと分かるのかって？いや、分かるよね。分かるやん、なんとなく）

どうしたのー？と返信すると、これまた珍しく、電話がかかってくる。

「お父さんが、マウスピースを欲しいらしくてね」

そういえば、年末に帰った時に、何やら歯医者に通っていると言っていた。大好物の芋けんぴがそれで食べられないという。理由は知らんし、唐突すぎるほど唐突な質問ではあるけれど、健康寿命を保つ為にも、歯は確かに大事。家から遠いと嫌がるだろうから、どの辺りまでで調べよう。ぶつぶつぶつぶつと思っていたら、斜め上から話は続いた。

「あなた、買ってきてくれない？」

（よもや、矯正歯科にすら行きたくないのか。だが、それは無理だ。無理なんだべよ、おっかさん。今後のためにも、そこは自分で行くように仕向けてよ）心の中で突っ込む間にも、更なる要望が追いかける。鍋で言うなら追生姜か、追いラーメンか。

「普通のでいいのよ、普通ので。」

（...普通って何やねん）

「だって、ほら、ビッXカメラとか、ラオッXスとかでも売ってるでしょう？お金は後から払うから」

… 母よ、惜しかったねえ。余分な一言を付け加えちゃったんだね。もしや、年末に格闘技見たりした？

そんなわけで、買いに行かねばマウス（ピース）。世界は今日もワンピース。なむなむ。

写真は近所の桜！早！