143/365 【声の持つ情報量】 「ホビット」と「ジャイアントピーチ」
1次元の「声」という媒体には独特の強みがある。今や3次元的な映像技術を誇る映画にも、2次元の本にもない強みだ。
児童文学の著者ロアルド・ダールが書いた「ジャイアント・ピーチ(James and the Giant Peach)」のリーディング企画が、映画「ジョジョ・ラビット」の監督タイカ・ワイティティの旗振りで進んでいる。
エピソード1がこちら。医療従事者に対する寄付が目的で始まったのだが、毎話、これでもかー!とばかりな豪華なハリウッド俳優が日替わりで登場している。
いやだってすごいんだよ。
第1話:
クリス・ヘムスワース、リアム・ヘムスワース、ニック・トロール
第2話:
メリル・ストリープとベネディクト・カンバーバッチ
第3話
ケイト・ブランシェット、サラ・ポールソン、エディ・レッドメイン、クメイル・ナンジャ二、ルース・ウィルソン
すごくない?すごいよね?
いやすごいから(押し付け)
「こんなオバハン居たら絶対やだよね」等々、物語に対するユーモアたっぷりのツッコミをちょいちょい挟みつつ、タイカの読み聞かせは進む。
三谷幸喜さんの映画「ラヂオの時間」で登場したような、おうちにある物を使った自作自演の音響チキチキも、ここぞというタイミングで挟まれる。
途中の会話を俳優が演じることにより、人物の姿が鮮やかに立ち上がってくる。アニメのアフレコってこんな感じなのかも知れない。
俳優さんらも、通常キャスティングされないようなセリフを吐く機会をめちゃめちゃ楽しんでいるように見える。その楽しさが、声に乗る。
声が織りなす立体絵本のように、会話も場面もブワワわっ!と色鮮やかに脳内再現されるのだ。
児童文学なので、原書のファン以外でも、もっと英語に馴染みたい人や留学を考えている学生さんにも格好のコンテンツだと思う。
原書を開き、そこに書かれている文字を音で聞く。
発音が分かる。文章のリズムを感じられる。読書とはまた異なる体感だ。
読書だけだとどうしても文章としてのリズムは掴みにくい。映画のセリフだけだと、口語のリズムにしか触れられない。リーディングはその二つの良いとこ取りが出来るのだ。
もう少し大人向けの本だと、「指輪物語」の前日譚「ホビットの冒険」の原書を、ゴラム役のアンディ・サーキスが12時間ぶっ通しで読むというダイハードな修行企画が5月8日に実行された。
当初ライブのみと言われていたものが、少し編集されてアーカイブされている。
ライブ配信中に少し聞いたが、こちらはおちゃらけ無しのガチリーディングだった。少しスピードが早いが、イギリス英語とイギリス英語の文体が美しい。
両方、オーディオブックとして聞いてもいいし、動画と合わせて見てもいい。色んな楽しみ方ができるエンタメ性の濃いコンテンツになっている。
こんな形の耳福も素敵だな、と思いつつ。
明日も良い日に。
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