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思い立ったが吉日。ミシュランガイドブック三ツ星のあの場所へ。
一年以上前から一度行ってみたいなと思っていた。
だけど、仕事が忙しいからとか、土日は混んでるからとか、今日は疲れてるからとか、某かの言い訳をして行かないようにしていた気がする。
私はどうしても初めてのことに二の足を踏みがちだ。
しかし、夫や愛犬の死を目の当たりにして命は永遠じゃないことを改めて思い知る。
そして健康寿命を考えたら、一体あと何年やりたいことをやり、食べたいものを食べるなんて生活ができるのだろう。
そんなことを考えながらいつものようにベランダにキャンプ用のイスをだして歯磨きをしていた。
一週間ほど前は、まだ暑い暑いと言っていたのに、いつの間にか空気はすっかり秋の装いとなり、空は高く澄み渡っている。
雲があれよあれよという間に流れていく。
今までさんざん行き渋っていたのに
「今日だ」
と急に思ってしまった。
登山用のリュックを引っ張り出し、水筒にお茶を入れ、パーカーを羽織り
「ちょっと出かけてくる!」
と子供たちに声をかけると、
「え?どこへ?」
と言うので行き先を告げると
「ママは行動力の鬼だね」
とあきれていた。
行動力の鬼?
そんなことはないのだ。
前々から行こう行こうと逡巡し、行けていなかったのだから。
そんなことを子供たちは知る由もない。
現地が混んでいることを予想して、コンビニでおにぎりと大好きなグミとチョコを買って電車に飛び乗った。
着いた先は…
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ミシュランガイドブックにも載る、高尾山。関東にお住まいの方ならお馴染みの山だと思う。
思い立ったが吉日。
朝思い付いて、その日に行ける、山登り欲も観光欲も満たされる素敵な場所だ。
事前情報ではケーブルカーで山の中腹まで行けるとのことなので楽々、なはず。
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ムムム…。
ケーブルカーとリフトがある。
うーん、待ち時間なさそうだし、リフトかな?
せっかちなので。
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リフト乗り場までは結構急な階段だった。
ケーブルカーにすればよかったとちょっと後悔する。
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しかも乗る段になってまたもや後悔。苦手なんだよなあ。乗ったり、降りたりが💦
だって自分のタイミングじゃないんだもの。
しかも途中から急勾配になり、めちゃめちゃ怖かった。安全ベルトもないし。スマホも自分もを落っこちそうでドキドキする。誰も見ていないのに、私は怖くないですよという顔をしながら、手すりをグッと握りしめた。
しかしリフトを降りてしばらく歩くと良い眺め。
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遠くに新宿のビル郡が見える。
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ここまではハイキング気分。
平坦、もしくはゆるやかな坂道に周りの景色を楽しみながら歩く余裕がある。
そこへ男坂、女坂の分岐が来た。
男坂は階段108段、女坂はゆるやかな上り坂らしい。
そりゃあ女坂、でしょ?
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左が男坂。右が女坂。
登ってみて驚いた。
ゆるやかな上り坂なんて嘘だ!
息がまあまあ上がるくらいにはキツイ。
これは私の日頃の運動不足か?
しかしご高齢の方や幼稚園にも行っていないような小さな子、果てはチワワやパピヨンまでみな悠々と登っている。
はあ、しんどい。
でもここで歩みを止めたらなんか負けた気がする!
と、訳のわからぬ競争心が私の足を送り出す。
が。
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いい所でおだんごやさんが出現!
ドラクエで言うと瀕死になった時、こんな所に宿屋が?みたいな気持ち。
即様ベンチに座り、水筒のお茶を飲んで休憩する。
とろりとした甘すぎないみたらしのたれがかかった金ごまだんごは、疲れた体に染み渡る。
しかし大きい!お腹いっぱいだ。これは消化するためにも、もうひと頑張りしなくては。
おだんごやさんから中腹の薬王院はすぐ。
頂上まであと少し!
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550円洗った。GOGOご縁😆
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階段につぐ階段で、まだこの先にも階段があるのか?いつ終わりが来るのか?と覚悟していたのに突然視界が開け、そこがゴールだった。
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ああ、来てよかったなあ。
朝起きた時の私は数時間後にこんな景色を見ているとは予想もしていなかった。
だからといって、ここに来て何かが変わったかわからない。
だけど登ることに無心になったり、緑のにおいをかいだり、はたまた後ろを歩いていた大学生らしき3人の「のび太物真似選手権」に心の中で笑いをかみ殺したりしたことが、ちょっぴりここ最近のもやもやを晴らしてくれた。
帰りも学習しない私はまたリフトに乗る。
だってケーブルカー混んでるんだもの…
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遠くまで見えてめっちゃ怖い。
帰りのリフトの方が行きより3倍は怖かった。人目を気にせず手すりをがっちりホールド!ひいぃぃぃ~((( ;゚Д゚)))
約12分のリフトの旅を終え、無事ふもとに着いた。
はあ、ドキドキした。
しかし今日は楽しかったな。
自分の中のやりたいことリストを一つ消化できたことでかなり満足をする。
ちょっと元気が出てきた。
自然の力に感謝だな。