とまけん

沖縄生まれのゴミです

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  • 読書感想文

    年内に100冊するのが目標なので、ついでに読書感想文書いていきます。

最近の記事

エロ本と政治スイッチ

まだコンビニでエロ本が買えた頃。 飲み会の2件目や3件目に行く道中で、ごめん!気分悪いから水買ってくるわ!とコンビニに入り、エロ本だけ買って出てくるという持ちネタがあった。 かなりの打率で笑いが取れるので、個人的にはこのネタを気に入っていた。買ったエロ本はそのまま持って帰ったり、その場にいる友人に押し付けたりしていた。持って帰ったエロ本を翌朝に眺めて、どうして俺はこんな無駄な出費を…と嘆くまでがパッケージだった。 2018年から2019年にかけて、全国のコンビニから成人雑誌

    • 【読書感想文】月ぬ走いや、馬ぬ走い

      「〇〇から△△まで幅広く〜」という表現をよく目にする。 本書を読んだあと、この物語の茫洋さと細密な生々しさを表現する言葉が僕には無いなと思った。沖縄戦から現代まで幅広く。嘉数高台で戦う兵士からハメ撮りで騒ぐ中学生まで幅広く。どれもしっくり来ない。強いて言うなら「人生から人生まで」かもしれない。もはや幅や高さや奥行きでは表現しきれない、高次元的とも言ってもいい「人生」が、14の視点で接続されていく。 とっっても、すっっごく、面白かった。 同時に、僕は本書をどう面白がったのか、

      • せめて置いていかれないように

        最近、Facebookのグループ機能で、恋人募集グループに複数参加してそれを眺めている。実際にそこで恋人を探す気はさらさら無いのだが、なかなか考えさせられる景色がそこに広がっている。 そもそもFacebook自体が限界集落のような雰囲気があって面白いのだが、そこでの恋人募集グループはとにかく混沌としている。 まずグループ全体のプロフィール写真は、明らかに無断使用された女性の写真やフリー素材などがある。とりわけ目立つのが、どう見てもAI生成された若い女性の画像だ。細身のニッ

        • 『テトリス』解説

           誰も興味ないと思うけど、短編小説『テトリス』の解説を書きます。  なんか説明不足かなと思ったんで! 前提  主人公の「僕」は最初から死んでいます。正確には死の直前、走馬灯を見るくらいのタイミングであり、この物語は最期に彼の脳内で繰り広げられた妄想みたいなものです。  夢と現実を行き来するというよりは、結局どっちも夢みたいなもので、全体的には以下のような構図になっています。 現実:死の直前 ↓ 現実寄りの妄想:住宅街フェーズ ↓ ほぼ妄想:えみと付き合ってるフェーズ  

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        • 読書感想文
          14本

        記事

          よくわからない

          高校生の頃。父方の祖父の七回忌だったと思う。 父方の実家に集まって、みんなで輪になって座り、食事をしながら歓談する時間があった。 そこで、祖父の弟が戦争の話をし始めた。 といってもその口調は非常に軽やかだった。木の上でおにぎりを食べてたら、目の前を銃弾が掠めて、驚いて木から転げ落ちた、という話だった。 その場で爆笑が起こった。話した本人も笑っていた。 本当に、まるでただ懐かしい面白エピソードを話すような、そんな雰囲気だった。 今でもそのときのことを思い出す。 僕は笑わなか

          よくわからない

          世界一飼育に向いていない男

           小学校低学年くらいの頃だったと思う。  父親が突然、小さな虫かごに入れられた立派なカマキリを渡してきた。知り合いから貰ってきたらしい。  クワガタなどのカッコいい虫に興味のあった僕は大喜びした。友達の家に持って行って、ヤモリを捕食するのを眺めたりした。

          ¥300

          世界一飼育に向いていない男

          ¥300

          『あなたの沖縄 vol.2』感想

          『あなたの沖縄 vol.2』読んだ。 西さんを始め、制作に関わった皆様、本当にお疲れ様でした、、、!いやもう、すごいっす! すごかったので、頭のなかを整理しつつ感想を殴り書きします。 まず思ったのは、めちゃくちゃ読みやすかった。 フォントやイラストのレイアウトもさることながら、内容がすごく読みやすい。 理由は2つあって、書き手の皆さんの沖縄に対する目線やテンションにすごく共感できることと、zineの性格自体がその目線に対して非常に寛容だと感じたこと。 よく言われることだ

          『あなたの沖縄 vol.2』感想

          【短編小説】テトリス

           そこは街全体が坂道のようになっていて、僕らはいつもその坂道を下るように歩いていた。  両側に並ぶ建物は全て住宅で、均一性が無く、古いものや新しいもの、平屋から三階建てもあった。そこはいつも昼間で、そして僕ら以外に人の気配がまったくない。洗濯物が風ではためく音も、リビングから漏れるテレビの音もない。車同士がようやくすれ違える程度の、がたがたとした歩道のない道を歩いている。坂道をまっすぐ下ると大きな車道へと垂直に合流する。ただ、僕らはそこまで歩き着いたことはない。  僕の右隣に

          【短編小説】テトリス

          別にそれが好きってわけではないんだけども

          中3の冬の塾帰りで何度も聞いた、ORANGE RANGE『SAYONARA』 友達の家にみんなで集まってPVを観て興奮した、Dir en grey『OBSCURE』 滅多に話さないヤンキーと一緒に帰ったとき、そのヤンキーが携帯から流した、湘南乃風『いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺』 高校最後の試合中にずっと頭の中で流れてた、チャットモンチー『サラバ青春』 ヒッチハイクで名護から那覇まで帰ったとき車内で繰り返し流れてた、RADWIMPS『指きりげんまん』 真夏の

          別にそれが好きってわけではないんだけども

          『踊れないガール』感想

          山本ぽてとさんのトークイベント面白かった。面白い話を聴いたりラジオでよく聴いてる人やSNSでよく見かける人たちに会えたりして、嬉しくて頭が上手く回らなかった。 24歳くらいの頃に行った宮古島のロックフェスでワンオクやケツメイシやオレンジレンジを次々に観たときの感じに似てた。意味が違うかもしれないけど久保田利伸の『TIMEシャワーに射たれて…』という曲を思い出した。情報のシャワーのような時間だった。拭くのが勿体無い。 さて、話を聞いてて色々熱くなったので、今更ながらぽてとさん

          『踊れないガール』感想

          歩く

           実家から小学校への通学ルートは、大きく分けて二通りあった。大通りを沿って歩く道と、狭い裏通りを歩く道だ。  僕は後者を行くのが好きだった。車の往来が激しい大通りよりはのんびり歩けるし、そっちのほうが友達の家も多い。そして何より、細かい道を知っている自分の「大人になれた感」がたまらなかった。  実家のマンションを出ると、さっそく上記の選択肢が現れる。右に行くなら大通り、左に行くなら裏通り。迷わず左を行く。左に歩き出した時点で、友達の家が2軒見える。ひとりは料理人になり、もう

          『ひょんなこと』感想

          長文になりそうなのでメモがてらこっちに書きます。思ったことをありのまま書いてるので文法とかは全然アレな感じで。 ナミさんに借りた、ネルノダイスキ作の漫画『ひょんなこと』、すごい良かった。 大きくわけて二つの感想が出てくるんだけど、 ①幼児的と言ってもいいくらいの「自分のための世界説明」の切り取り ②俺がアーティストだったらこの感性にしがみつく努力をする って感じ。 ①について、例えば俺は子供のとき、テレビの映像がなぜ瞬時に切り替わるのかをよくわかってなくて、テレビという箱

          『ひょんなこと』感想

          猫のスリッパ

           とある取引先の事務所には、玄関に「来客用スリッパ」と記された靴箱があり、その最上段に大きな猫の刺繍が施されたスリッパがある。  他の質素なスリッパに囲まれたそれは、どういうつもりなのかと聞きたくなるほど浮いていて、そして可愛らしかった。  僕はなんとなく、毎回その猫のスリッパを選んで履いていた。  ある日、その取引先の男性社員の方と、たまたま玄関で出くわした。  軽い挨拶を交わし、いつものようにスリッパに履き替える。  咄嗟に、僕はいつもの猫のスリッパではなく、その下にあ

          猫のスリッパ

          全力で釣られろ

          僕はガールズバーやキャバクラといった場所が少し苦手だ。 知らない女性に気を使いながら酒を飲む空間、という認識を持っている。何にお金を払っているのか、というより、何にお金が発生しているのかがよくわからない。 転職してからもうすぐ2年になる。 ほとんど男性しかいない職場なので、彼らと飲みに行く約束をした場合、それは「1軒目に居酒屋、2軒目にガールズバーかキャバクラに行く」ことを意味する。 苦手な空間に行くことを約束されるので、最初は抵抗があったのだが、カラオケは好きなのでよく歌

          全力で釣られろ

          人生のハム太郎

          給料増えないハム太郎 税金重たいハム太郎 大好きだった 友達はもう… 正直疲れたハム太郎 後悔してるよハム太郎 離婚をしたいよハム太郎 大好きなのは 昔のお前 今夜も帰らないハム太郎 退職したいよハム太郎 お仕事きついよハム太郎 入社した頃の 熱意はどこに… 今夜も寝れないハム太郎 お酒が足りないハム太郎 毎晩空けるよハム太郎 誰か私の 話を聞いて… まだまだ酔えないハム太郎 部屋から出れないハム太郎 私、わかったのハム太郎 人生を少し 間違えただけ 今までありがとう

          人生のハム太郎

          無添加短文集

          短文のほうが頭に入るよね。そりゃそうだ。 ということで、ここ4日間くらいで仕事中に考えてたことを、いくつか短文にまとめました。 ・恥ずかしい過去を消すには、長生きするしかないのかもしれない。 ・多様性というのは、「お前がお前のまま生きていいし、俺も俺のまま生きていい」ってことなのだと思うけど、現状、日本ではその価値観は全く達成されてない。全く。 ・「低価格で高品質」ほど気持ち悪いものはない。 日本の接客はどこもレベルが高いと言われがちだが、どう考えてもレベルの問題じゃな

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