白川郷の合掌造りが良い雰囲気だったのでVRにしてみた

はじめに

先日、大学時のサークルの友人らと白川郷に行ってきました。
のどかな合掌造りの佇まいに癒され、散策とグルメを中心にのんびりとした旅行で楽しかったです。
(詳しくはまた別記事にまとめたいと思います)

本題はここから。
素晴らしい観光地である白川郷ですが、場所柄あまりアクセスが良くありません。(車で京都から4・5時間かかりました)

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これだけ良い雰囲気なのになかなか気軽には行けない……。
悲しいので、個人的に楽しむ用途でVR化することにしました!
360度動画にしました

専門的な話はほどほどに、大まかな制作過程を公開したいと思います。

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※注意※
最初に断っておきますが、撮影画像や処理後のデータはあくまでも個人的に楽しむ用途で使用しています。公開予定はありません。
合掌造りは貴重な文化財であり、その文化的価値を排しないようにコンテンツ化しました。
私自身の「文化財の魅力を発信したい」という思いから、部分的に映った映像のみアップロードして公開しております。
権利関係については、こちらの記事を参考といたしました。
もし、ご指摘等あればコメントお願いします。


使用技術やソフトなど

まず、合掌造りをモデリングする必要があります。

3DCG技術でいうモデリングとは、ポリゴンという三角形や四角形の小さな板をたくさん組み合わせて、目的の物体の形に作り上げる技術です。そのポリゴンに画像を貼っていくことで、本物と相違ない見た目の3Dモデルを作ることが出来ます。
ただし、積み木や粘土細工の要領でできるとはいえ、高クオリティの3Dモデルを1から作るのは大変です。Youtubeやテレビ(特にNHK)で見かけるCG再現映像などは、放送時間の裏で莫大な制作時間がかかっています。プロの3DCGクリエイターの方々はすごいです。
その大変なモデリング作業を楽にしてくれるのがフォトグラメトリ技術。簡単に言うと、ある物体に対して角度を少しずつ変えてたくさん写真を撮り、その1枚1枚を計算して位置を推定することで本物に限りなく近い3Dモデルを生成できるという技術です。
詳しくはこちらのサイトが分かりやすいです

3Dモデルが完成したら、それをUnityというゲーム制作エンジンに取り込んで、自作アプリを作っていきます。
今回はOculus Quest2というVR機器で見られるようにします。

使用ソフト
RealityCapture(フォトグラメトリ)
Blender2.9(3Dモデルの調整)
Unity2020.3(プラットフォームはOculus Quest仕様のAndroid)


写真撮影

カメラであれば何でも大丈夫です。
とにかくモデリングしたい対象の周りをぐるぐる回って、写真を撮り続けます。
この時、合掌造りの多くは民家と隣接しているため、外れにある建物を選びました。
迷惑が掛からないように立ち入り可能な範囲から手早く撮影します。
曇っていたので太陽光でフレアや反射光が出ることなく、良質な撮影データを確保できました。
(下のような感じ)

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フォトグラメトリと調整

撮った画像をRealityCaptureに投げて処理していきます。
ソフトの使い方さえ覚えてしまえば難しい作業ではありません。
PCに頑張ってもらいます。

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あとは、ディスプレイでの描画処理が重くならないようにデータの削減を行います。
3Dモデルを構成するポリゴンの数を減らしたり、貼り付ける画像のデータ量を落としたりなどの作業が主です。

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出来上がりの3Dモデルはこんな感じになります。
貼り付ける画像(テクスチャ)が無ければ、こんな見た目。


Unityでコンテンツ作成

データが出来たらUnity内で配置して、コンテンツを作成していきます。

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細かい制作過程はあえて言及しません。
テーマは「宇宙にただよう合掌造りとトロッコの星」、ただ居るだけで郷愁を感じるようなものを目指しました。
音声と併せてリラックスした雰囲気にしています。

完成したアプリをOculus Questにインストールして、視聴可能な状態へ!
なかなか良いです!
360度動画はこちらから
老人ホームで生活していて遠出できない祖父にも見てもらったところ、「本当に行けたみたいで満足だ」と言ってもらえて嬉しかったです!
(年齢とコロナが無ければ、本物を見てもらいたいのが本音ですが)

画像7

今回のコンテンツは利用できませんが、魅力的なVRコンテンツがたくさん楽しめるOculus Quest。
なんと4万もかかりません。
気になる方は是非試してみてください。
公式ストア


おわりに

今回作成したコンテンツはあくまでも個人で趣味として作りました。
文化財のコンテンツ化プロジェクトにはいくつか関わってきましたが、日本は広く、世間にその魅力が十分に伝わっていない宝はまだまだたくさん存在します。
先端技術によって、こういった歴史遺産・芸術作品がより多くの方に届くことを願うばかりです。

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