『おしいれのぼうけん』50年めの新商品はこうして生まれた!
ことし刊行から50年という大きな節目をむかえる『おしいれのぼうけん』。
このたび、なんと2つの新商品を発売しました。
「おしいれのぼうけん 立体すごろく」、そして「おしいれのぼうけん トランプセット」です。
こちらを手がけた制作スタッフの一人、編集部のサカキバラさんにインタビューしました!
(聞き手:広告宣伝担当・はな)
童心社初! 立体すごろくの制作
――「おしいれのぼうけん 立体すごろく」のアイディアは、社内の部署横断チーム「おしいれのぼうけん50周年委員会」から出てきたんですよね。
はい。10年前に発売した「おしいれのぼうけんすごろく」は平らな盤面でしたが、今回はより豪華に! ということで企画がスタートしました。
絵本の世界を体感できるものを、と考えていく中で、ねずみばあさんがどーんと現れたらおもしろいんじゃないか、高速道路を渡れたら最高に楽しいんじゃないか、とすごろくをひらくとパーツがポップアップであらわれる「立体化」のアイディアが出てきました。
いろいろなすごろくを研究する中で、今回の企画にぴったりの知育玩具を手がける銀鳥産業さんと出会いました。
――まっしろな型紙の段階で見せてもらったことを覚えていますが、とても迫力があってワクワクしました。
ただ、組み立てたときにきちんと自立すること、折りたたんできちんとパッケージにおさめることを両立できるものとなると、なかなか難しくて……。
工場は中国にあるのですが、現地の担当者の方が実際に試作して展開案を固めていってくれました。
――すごろくのゲーム展開や盤面のデザインはどのように進めていったのですか?
10年前に発売した「おしいれのぼうけんすごろく」も手がけてくださった、京田クリエーションさんにお願いしました。
今回は、さとしとあきらがおしいれの中にはいってからくりひろげられる大冒険を、すごろくで展開させることにしたんです。デザイナーの野田さんが、絵本の世界をいかしつつ、すごろくがゲームとしておもしろくなるように考えていってくださいました。
――絵本の世界をすごろくにするときの難しさってありますか?
絵本の世界観をこわさないようにすることですね。
たとえば、すごろくというと「1マスもどる」というようなところも醍醐味のひとつではありますが、『おしいれのぼうけん』はさとしとあきらがねずみばあさんから逃れるために前へ前へとかけぬけていく物語です。
ゲーム性を保ちつつ、この物語にある勢い、ポジティブなイメージがそこなわれないよう、なるべくネガティブな印象になる「もどる」マスは少なくするようにしました。
言葉についても『おしいれのぼうけん』らしさを大切にしています。
「デゴイチを かしてくれて げんきが でた 1マスすすむ」
「ねずみを ジャンプして よける 1マスすすむ」
「ひだりどなりの ひとと てをつなごう!」
などなど、『おしいれのぼうけん』を読むワクワク感や楽しさと重なるんじゃないかなと思っています。
――おしいれの中のまっくらやみ、高速道路、下水道、虹のシーンと『おしいれのぼうけん』の名場面が次々に展開していきますね。
そうなんです! そして、立体すごろくなので、絵本の中に入ったような感じで、トンネルをくぐり、ビルをのぼり、高速道路を渡ってコマを進めていきます。子どもたちだけではなく、大人のファンの方にも楽しんでいただけると思います!
試作段階で社内でも実際に遊んでみたんです。
――私も参加しました! 白熱しましたね~! おもしろかったです。「みぎどなりのひととかたをくもう」というマスで、サカキバラさんと肩を組みました(笑)。
そうでしたね(笑)。このデモンストレーションがヒントになって修正したところもあったんですよ。
――短期間での製作となりましたが、ふりかえってみていかがですか。
銀鳥産業さん、中国の工場のスタッフのみなさん、そして京田クリエーションさんと日々密なやりとりをして完成までたどり着くことができました。
制作会社さんにとっても、立体すごろくは制作されているものの、ここまでの大きさのものは初めてとのことで、次々に予期せぬ課題に直面し、ドキドキの毎日でした。でも、心強いチームでお仕事ができて本当に楽しかったです。
私にとっても新商品の制作にかかわって、あらためて『おしいれのぼうけん』という絵本と向き合うことができました。
さとしとあきらという主人公の子どものもつまっすぐな生命力があふれる物語だと感じます。子どものもっている力、子どもを信じよう、という思いが強くなりました。
――こんなふうに楽しんでほしい、というメッセージはありますか?
ひとつだけ、私のこだわりなんですが……。
遊びはじめるとき、スタートにコマを置くときは、ぜひおしいれの扉の外から入ってみてください!
ゴールしたあとも、おしいれの扉の外に出ていってくださいね。
絵本の世界が楽しめる「おしいれのぼうけん トランプセット」
――そしてそして、立体すごろくだけではないんですよね。
そうなんです! 今回は「おしいれのぼうけん トランプセット」もでき、無事発売となりました。
『おしいれのぼうけん』からは初めてのトランプ、こちらは絵本『おしいれのぼうけん』とセットになっているんです。
――なぜトランプをつくることになったのでしょう?
刊行50周年ということで、すごろくのほかにも絵本の世界を味わいつつ楽しく遊べるものを、と考えました。
ご注目いただきたいところは、ずばり数字です。トランプのデザインはデザイナーの前田景さんにお願いしたのですが、実は絵本のノンブルは、絵を手がけた田畑精一さんがデザインされたものなんですよ。その数字がとても素敵なので、それをいかし、前田さんがさらに素敵にデザインしてくださいました!
――田畑精一さんがつくった『おしいれのぼうけん』のためだけの数字をつかったトランプ、ということなんですね……!
――できあがったものを見てみると、どのカードも異なる絵になっていて、絵本の中のいろんなエピソードを思いだしますね。
ハートのエースはみずのせんせい、JOKERはもちろんねずみばあさんです!
絵本の中の絵をほとんど使用して、カードはすべてちがう絵柄になっています。1枚1枚じっくり見たくなるトランプになりました。
カードの裏面は、さとしとあきらがなかなおりをするこれまた名場面! 虹の絵をつかっています。
――『おしいれのぼうけん』の楽しさがぎゅぎゅっとつまったトランプになりましたね。
そうですね。子どもから大人まで一緒に楽しめるのが、ロングセラーの『おしいれのぼうけん』ならでは、ですね。
私も家で小学生の息子とすごろくなどゲームで遊ぶことがあります。平日だと仕事のあとで大変だなと思うこともあるんですが(笑)、そのときにいろいろな話をしたり、笑いあったりといい時間になるんですよね。
そのうれしさは絵本を読むひとときとも重なると感じます。
今回の「おしいれのぼうけん 立体すごろく」や「おしいれのぼうけん トランプセット」も日々のご家族で過ごすひとときや、おともだちがたくさん集まる特別な日など、さまざまな場面で楽しんでいただければと思います!
――今年は『おしいれのぼうけん』の冬になりますね! ありがとうございました。
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