人から人へ、希望をつないだ―― 『はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ』
2011年3月11日に発生した東日本大震災から、13回目の春です。
発災直後、極度に燃料が不足した東北の被災地に石油や灯油を届けるために活躍したディーゼル機関車を、皆さんはご存知ですか?
不通となった東北本線に代わり、普段は貨物列車が走行しない磐越西線(ばんえつさいせん)という線路に、全国から集められたディーゼル機関車が走った、被災地の人々を助ける大プロジェクトです。
その出来事を描いた絵本が『はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ』なのです。
デーデはディーゼルきかんしゃです。
けいゆでうごく おおきなエンジンをもっているので、
でんきがなくても はしれます。
DD51-852号機、通称「デーデ」は、かつて新潟‐郡山を結ぶ磐越西線を走っていましたが、働ける場所が少なくなり、今は山口でセメントを運ぶ仕事をしています。
3月11日、大きな地震が東日本を襲い、大規模な停電が起きました。
その数日後、デーデたちディーゼルきかんしゃが集められたのです。
デーデは、新潟の貨物ターミナル駅から燃料タンク10両を連結して福島の郡山まで走ることになりました。
相棒は、大阪からきたディーゼルきかんしゃ、「ゴク」です。
整備士さん、運転士さん、そしてデーデたちディーゼルきかんしゃ。みんなの思いをのせて、雨の中を夜中の1時に出発しました。
久しぶりに磐越西線を走るデーデは、街の様子から大変なことが起きたのだと感じとります。
難所を乗り越え、ひたすらに郡山をめざすデーデたち。
「ばんだいさーん。ねんりょうを とどけにきたよー。
もうすぐだ。はやく、もっとはやく、はしらなくちゃ」
そして朝10時、ついに郡山に到着しました。
人々の思いをつないで走るデーデの姿が、「希望」があるからこそ困難を乗り越えていけるのだと語りかけてきます。
(すとうあさえ・文 鈴木まもる・絵)
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