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算命学余話 #R33「集団の命運」/バックナンバー

 世襲議員が不祥事を起こすと、報道では世襲議員の弊害が取沙汰されるのですが、そしてそうした世襲をくさすのは決まって世襲とは無縁の成り上がり者だったりするので、手前味噌に聞こえていまいち説得力に欠けるのですが、先日珍しく世襲を擁護する声が聞かれました。親の票田を努力なしに受け継いでしまう議員については置いておき、一般企業のトップは世襲の方が社命は長続きするというのです。
 なぜならトップが余所から引き抜いてきた雇われ社長だと、その任期が3年とか5年とか短いので、自分の任期満了までの成果に注力するあまりその後の十年、二十年先の展望まで見据えた舵取りをしない。退任後に会社がどうなるかまで腐心しないから、目先の利益だけに捕らわれ、結果として会社の寿命を延ばすに至らないというのです。仮に先々の展望を見据えた布石を打つ社長であったとしても、次の社長がこれを覆してしまえば事態は同じです。なるほど。
 しかしだからといって世襲制を固持する企業がどこも盛況で長命かといえば、そうとも言えません。世代交代がスムーズにいかず会長と社長が大喧嘩する会社もあれば、先代までに積み上げてきた業績や財産を一夜にしてギャンブルで食い潰す馬鹿息子を社長に頂く不幸な会社もある。あからさまなギャンブルではなくとも、投資という名の危うい賭け事に大金を投じた大手企業が往時の栄光見る影もなくなっているのは、昨今では珍しくもない現象です。
 こうした事例を挙げて、両者のいいとこ取りをするには婿社長が良い、という意見があります。余所から連れてきた優秀な人材であることと、一族の娘と結婚させることで長期間腰を据えて経営に携わることができるという利点を兼ね備えたのが、婿社長だというわけです。

 算命学の立場からすれば、婿社長というのは企業の寿命を延ばすという点では有効です。勿論、そのお婿さんが本当に優秀な人材であることが条件ですが。確かにトップをちょくちょくすげ替えるというのは集団内を混乱させ、ひいては集団全体の衰退につながるので、今どきの会社や国家元首の任期では集団を強くすることは難しいと、算命学は考えています。大きな集団であればあるほど、既に長い歴史を積み上げた集団であればあるほど、トップの短い任期はそぐわないのです。
 現在の日本はここ数年珍しく首相が長もちしていますが、少し前までは二年と待たずにちょいちょい交代していました。しかしだからといって国家が存亡の危機に直面したり、あからさまな混乱や衰退兆候を見せたりしたことはありません。世界標準からすれば、日本は実に安定した豊かさを誇る先進国であり続けています。
 政治学者などは、これが日本の官僚機構を中心とするシステムのお蔭だとし、この優良なシステムのお蔭でどんな人物がトップに座ろうとも通常運行で上手く回る社会を維持できているのだと主張しています。そうかもしれません。そうかもしれませんが、算命学は家系論の観点から、全く別の原因を日本に見出しています。それは何だと思いますか。

 というわけで今回の余話のテーマは、集団の安定した存続についてです。集団というものは、何がどうなっていると長続きしやすいのか、短命で終わり易いのかといった辺りを、算命学の思想に基づいて考察してみます。この種の話は軽々しく扱ってほしくないので、購読料を上げてあります。ご注意下さい。

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