算命学余話 #U43「官星の中殺を考える」/バックナンバー
最近の科学の見解によると、人間の老化というものは免疫力の低下が主たる原因だそうで、具体的には免疫細胞が正常な働きを失うことによって健康な細胞たちを誤って無駄に攻撃し、それにより病気が発生・進行するということらしい。なぜ免疫細胞が正常な働きを失うかというと、免疫細胞のある種類は人体が子供の頃に胸腺で性能を厳しく選別され、たった5%が試験をクリアし精鋭部隊として体内に放出されるのだが、胸腺という器官は成人する頃にはほとんど消滅するため成人後は補充されない。成人後の人生が長いとそれだけ精鋭部隊を使い回すので、くたびれて精度が落ちるらしい。ではなぜ新兵が補充されない仕組みなのかといえば、成人といえばもう生殖可能な体なので、生物としての人体は子孫を残した段階でもう命を終えてもよいという判断がなされた結果なのだそうだ。子供を作ってある程度自立できるまで育てたなら、人間の役目は終わりなのだ。老後の心配などもとより生命プログラムには入っていないのである。
最新の医療研究によれば、この疲れてまともに働けなくなった免疫細胞の老兵たちを、例えばiPS細胞で新兵の状態に甦らせることは理論的には可能である。免疫細胞が新品になれば、健康な細胞たちも余計な攻撃を受けず、従って現在加齢に伴うとされる病気にもならず、総じて寿命は延びるであろう。老化自体、大幅に遅らせることもできるだろう。
そこで算命学者は考える。五行のバランスで成立しているこの世界は、果たしてこのような事態を許すであろうか。否、これでは寿が突出して全体のバランスが崩れてしまうので、どこかが割を食ってその分を補填することになるだろう。そのどこかとは何か。
一番考えられるのは、既に今日の社会にも現れて来ているように、出生率の減少である。寿命が延びるということは老人が長生きするということであり、バリバリ働いてくれる自活老人なら結構なのだが、既に手足や頭が弱って物理的に自活できない老人が増えたり、社会的には福祉費が増大したりすると若い世代の家計を圧迫し、シワ寄せは下の世代に集まってくる。少子化の根本原因はここにあり、多くの老人を生かすために次世代の子供、つまり出産そのものが犠牲となり、結果的に人口は横ばいを保つ、というのが算命学的な理論に沿った未来予測になります。繰り返しますが、「子供」が犠牲になっているのです。
算命学の五行説を無理やり現代社会に当てはめたこじ付けだと言われるかもしれませんが、これは上述のように医学的観点からも傍証されており、老いた免疫細胞はもはや新兵の頃のような機能を果たせず、それどころか健康な細胞を無駄に攻撃して病気を促している。人間社会においても、老いた人間がいつまでも生や財にしがみつくと家族や社会のお荷物となり、結果として次世代は豊かさや活動性を損なうのである。しかし人間が自然の摂理に従って老衰し、丈夫な子孫を残した段階で生命を終えれば、次世代は新たな精鋭となって活力ある豊かな社会を生きることができる。
新兵とは誰のことか。子孫のことか、それともiPS細胞で再生した我が身個人の免疫細胞のことなのか。算命学の理論では、その差はあまりありませんが、いずれの場合も誰かが、何かが、その新しい事態を支えるために陰で割を食って犠牲になるということです。
算命学のダークな部分に抵触するイントロになってしまいましたが、この種の話は深いので別の機会に回すことにし、今回の余話のテーマは前回の生殺局と殺局にちなみ、引き続き車騎星・牽牛星についてです。生殺局と殺局は共に火剋金によって生じる官星の現象を扱ったものですが、相剋ではなく中殺を受けた場合、官星はどうなるのか。
私が請け負っている運勢鑑定では恋愛相談をお断りしておりますが、算命学は理論的には恋愛相談は可能です。というより結婚相談が可能なのであり、結婚を前提としていない恋愛の相談はいくらやっても意味がないと考えているため、鑑定者個人の判断で受けるか受けないかを決めているわけです。私は受けませんが、結婚に対する見解は官星にまつわるものが多く、今回はその点を少し考察してみようと思います。ずばり、女性にとっての結婚運は、男性にとっての仕事運と同じ見方をするのです。
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