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算命学余話 #U27「礼節を欠く人」/バックナンバー

 奇しくも同時期に発刊され私もまた同時に読んだ佐藤優氏と苫米地英人氏の著書には、互いに全く異なる分野から話を進めておきながら、結果的に似たような結論に達しているという共通点がありますが、そうしたいくつかある共通点の中にも、どちらの著者も日本人に、そして人類に賢くなって欲しいという願望が見てとれます。

 本当に賢い人というのは知を駆使してやりとりする喜びというのを知っているので、自分より賢い人が増えることを幸せと感じるのです。反対に、ただ自分が賢くなりたいという人は、他人より上位に立っていい気分になりたいというだけの低い意識の人なので、自分より賢い人が増えるのを嫌います。喜びどころか劣等感を煽られるからです。こうした感覚は嫉妬という形になって現れ、人の足を引っ張って喜ぶ人格を作ります。

 算命学の語る知性とは、前者のような本当に賢い人の持つ知性のことであり、後者は名誉心、虚栄心に係わるので印(知性)ではなく官(名誉)の部類に入ります。印と官は隣り合っているのでしばしば混同されやすい性質がありますが、根本的には別物です。もちろん印と官の両方を保持する人は、それはそれは美しく知性溢れる品格の高い人物となり、周囲の憧れとなります。ロシア人がいうところのインテリゲンチアがこれに当たるのでしょう。

 では今日の世界がこういう人を多数輩出できるかというと、算命学の見地から見ても、残念ながら難しい。それは苫米地氏が奇しくも看破したように、この世の中心に座っているのは財だからです。財は土性属で、その本体は地球です。地球は引力を持ち、万物を引きつけて離しません。知性は水性属で、相関関係は土剋水と、土性に剋される立場です。つまり知性は常に金銭によって劣勢に立たされる宿命であり、地球の引力に反発する性質を課されているのです。

 苫米地氏の主張の通り、現代において世界を支配しているのは米国であり、その力の源は財力です。この国は二百年余の歴史しか持たないくせに、その大半を重商主義と金融政策でやってきて勝ってきたため、世界で一番大事なのはお金だという社会通念を育ててしまいました。
 財が世界の中央にあるというのは間違いではありませんが、世界は中央だけでできているわけではありません。周囲には東西南北があり、中央を巻き込んで福寿禄官印が互いに交流しています。地上の力は五等分されており、もしどれか一つだけ、例えば財だけが肥大して活発に活動することがあれば、その後には必ず急速な減退が待っている。このことについては前回の余話#U26で触れました。一人勝ちという事態は世界の調和に適っていないので早晩排除される、というのが算命学の見解です。

 米国の崩壊は既に始まっているのでしょうか。あの国は軍事行為と金融国家としての色彩が強いのでこうした分野から崩壊すると考えがちですが、私はあの国の国民の心身の健康に着目しています。全人口に占めるおそろしい肥満率と精神的後退(算命学では食欲(寿)と知性(印)は反比例します)が判断力を鈍らせておかしな指導者を選んでしまう。しかし現大統領は、日本のような国民皆保険を自国に導入しようとして、これまで永らく君臨してきたカネ本位の既成概念と闘っています。これは米国の「この世の沙汰はカネ次第」という品のない通念を打破し、別の形の人の幸福を模索しようという現れのようです。
 オバマのような政治家が大統領になったこと自体が、米国という国をこの先も存続させるか否かを天が試そうしている証拠ともとれます。もしこれで米国の意志が変革を退け、従来の価値観の継続を歓迎するようであれば、それは国家としての死期を早めることになるでしょう。

 さて導入が長くなりましたが、今回のテーマは散法の中の刑についてです。刑というのは冲動に次ぐ強い威力を持つ散法で、現象としてはずばり「品格」に現れます。
 私はメールで有料・無料の鑑定依頼を引き受けてますが、結果だけ聞いてお礼も言わずにそのまま去る人が時々いて、呆れております。どんな結果であろうとも自分が教えてくれと言って教えてもらったことなのだから、無料なら尚更、その労に対して礼も言えない人はいずれかの理由で品格を欠いていると言わざるを得ません。私もちょっと怒っていますので、品のない人、礼節を欠く人を宿命の点から斬ってみたいと思います。刑についての詳しい解説をとり上げますが、心当たりのある人にとっては厳しい内容ですので、購読料金にご注意下さい。

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