算命学余話 #U44「魅力星の中殺と結婚」/バックナンバー
自分より遠い人種や顔立ちに美を感じるといえば、昔海外に暮らしていた頃に同じくらいの滞在歴の既婚・未婚の日本人女性らと話していて、どういうわけか国際結婚をする日本人女性は不美人ばかりだ、なぜだろうという議論をして大いに笑ったのを覚えている。実際国際結婚をしている方々には申し訳ないですが、その場に居合わせた全員がこの説に頷いたものです。
原因としてはやはりコーカソイドの男性にはモンゴロイドの顔はどれも同じに見え、特に不美人を選んでいるわけではなく単なる偶然であり、それはちゃんと相手の人格を見て選んでいる証拠だから非難には当たらない、というのが良心的な意見だったのに対し、辛口な意見としては、美人さんは日本で常にモテているのでチヤホヤされるのに慣れているし男に不自由もしていないが、不美人は慣れていないので外国人に声を掛けられると嬉しいのを通り越して感謝してしまい、相手を逃がすまいとあれこれ尽くすから、今まで女にお弁当なんて作ってもらったことのない悲しい白人男性らに感銘を与え、勢い結婚に到達するのではないか、というものが多かった。
更に厳しい意見では、あまり相手に逆らわない大和撫子はその控え目さが世界的にも珍しく、自己中心的な白人男にとって都合がいいのだ、しかも先進国製というブランド、もっといえばジャパン・ブランドとして、男らはソニーかパナソニックの製品みたいに高級な持ち物として女を見せびらかしたいだけだ、という愛情論とはほど遠い辛辣なものまで出た。私はロシアにいた時はこの持ち物説には頷けなかったが(つまりロシアにはその種の国際結婚や日本人に対する憧れは、少なくとも当時は見受けられなかった)、その後日本人女性が多く暮らすロンドンの街で英国人や外国人らと意見交換したところ、どうも持ち物説が主流であることが感じられ、これが消費社会と旧共産国の偽らざる違いなのだろうと痛感したのを覚えている。この点についてロンドンに暮らす日本人女性らはどう思っているのか訊いてみたかったが、時間がなくて調査できなかった。しなくて良かったかもね。アジア蔑視から目を背けていないと西洋の国々に長期間は暮らせないものです。
奇しくもパーム最新刊『TASK』では主人公のジェームスが「核ミサイルに電子頭脳をくっつけたりしてた」科学者と友人だったのが似合わないと言われて、「そうでもないさ、道徳に反する行いでいちいち絶交してたら友達が一人もいなくなる」とうそぶいていたように、道徳や正義を基準に人間をぶった斬ると誰もいなくなってしまうので、倫理観は大変重要ではありますが、現実世界を泳ぐ我々としては海水が濁っているからといってそこで暮らさないわけにはいかないのです。せいぜい自分という個体がストレスで死なない程度に汚れた一角で、ささやかな平穏と安寧を確保するのが関の山。そして各個体はその快適と感じる環境の基準がまちまちで、極論すれば放射性物質の充満した区域で平然と生きられる個体もいれば、たちまち健康を損ねて命を落とす個体もある。だから自分に快適な基準を他人もそうだと判断することは危険だし、ましてやそれを他人に押しつけるのは間違った行為になる。
算命学の生き方指南では、そうした個々の個性の違いを宿命に起因するものとして読み解いていきますが、もとより違っている個々の価値基準や倫理観を無理やり統一するなどという行為ははっきり云って無意味だと切り捨てる一方、それでも大体この辺りならばといった落とし所は設けています。大勢の人が暮らす汚れた社会で、ストレスで死なない程度の基準値と、そこから外れてどうしても我慢できない人のための特別な処方です。
冒頭の例から云えば、人はなぜ国際結婚するのか、わざわざ遠い世界の人間と、価値基準どころか意思の疎通も不確かな相手とつるみ、何を得ようとしているのか、といった疑問について、算命学は一定の見解を持っているので、今回はそのことについて考えを巡らせてみます。
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