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算命学余話 #U13「気と血縁の混濁」/バックナンバー

 数少ない弁護士の友人が仕事の話を聞かせてくれた。専門は民事で離婚調停や相続問題を扱っている。ある依頼人の遠縁のじいさんが死に、配偶者も子供もいない場合、次の相続人は親に遡るそうで、その親ももう他界しているとそのなるべく近い親族へと権利がたゆたってゆくのだが、調査の過程で戸籍を辿って行くと存在さえ知らなかった腹違いの兄弟姉妹に遭遇することがままあるという。
 夫婦が離婚すると夫は再婚して子を儲けることもあるが、最近だと再婚相手の名前がなんとかスカヤとかロシア・東欧系だったりして「ああ…」と思わずため息が出てしまうこともしばしば。しかもそういう未知の親族を生み出した男に限って子づくりに熱心で、あっちのナターシャやこっちのマリアの畑へ作付けに励み、大豊作なのは結構だが本人も収穫を見定めないうちに他界したため、残された血縁の薄い遺族がもらえもしない遺産のために「一体隠し子は何人いるんだ!」と思わず叫んでしまうような事態も珍しくないという。

 日本の法律ではこの種の問題はずばり戸籍が解決してくれる。この国では夫婦同姓の固持やら私生児に対する冷たい視線などやや時代遅れな風習が物議を醸しているが、これらの風習を支える戸籍制度は徹底しており、両親が未婚であっても親が誰であるかは必ず届け出なければ子供の戸籍はもらえない仕組みだ。このルールが堅持されているお蔭で上述のような怪しげな国際結婚で生まれた子供も出自が一応は辿れ、その親の出自も日本人であるなら延々と辿れ、止まるとしたらそれは関東大震災による戸籍の消失ぐらいだという。制度としては大変良く機能していると言えるだろう。

 さて今回の余話は算命学における親子の話です。戸籍に記載された両親は法律上の両親ですが、生物学上の両親がこれと一致しない可能性はありますし、戸籍も遺伝子も概念のなかった算命学の成立期に、先祖と家系を重んじる算命学がこうした入り組んだ親子関係をどう認識したか、考察してみたいと思います。

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