算命学余話 #U77「宿命消化と内なる声」/バックナンバー
宮本常一という古い民族学者が著した日本人の民俗誌集『忘れられた日本人』には、実に興味深い記述があります。戦後の農地解放で農村の土地をどう処理・分配するか村民が集まって議論していたところ、誰もが自己主張を声高にするのでなかなか決まらない。すると老人が出て来てこう言うのです。
「皆さん、とにかく誰もいないところで、たった一人暗夜に胸に手を置いて、私は少しも悪いことはしておらん、私の親も正しかった、私の祖父も正しかった、私の家の土地は少しの不正もなしに手に入れたものだ、とはっき