思い出のガリガリ君。
「こーーーーい。」
「ナイキャッチーーー!」
暑さで少しバテ気味の声が、夏のグラウンドに響き渡る。
高校2年の夏。私はソフトボール部に入っていた。同学年は私を入れて4人。後輩も数人で、みんな集まってようやく試合に出れる人数。
夏休みの練習はほとんど午前中が多かった覚えがある。
ランニング、ストレッチ、キャッチボール、ノックなど。
昼が近づくにつれて、どんどん気温もあがっていく。それに伴い奪われていく体力。あと2時間、、、、1時間。
そして、練習も終わりに近づき、最後のストレッチ。
「ありがとうございましたーー!」
練習が終わった。他愛もない話をしながら荒れたグラウンドにトンボをかける。
「ビック行く?」
きたーーーーーー!
「うん、行くよ!」
ビックとは、高校の目の前にあるスーパーだ。
いつしか、夏休みの練習後はビックに行ってガリガリ君を食べる事が日常になっていた私たち。
「今日は、梨味かな!」「定番のソーダで!」
それぞれ、その日の気分のガリガリ君を手に取ってレジへ向かう。(ジュースもたまに。)
クーラーのきいた、入口横にある休憩所で、買ってきたガリガリ君を食べる。誰がやろうと言ったわけでもなく気が付いたらルーティーンになっていた。(もちろん毎日ではないけれど。)
そこでの会話は、もう何も覚えていないくらいの他愛もない話だった。
一通り話尽くしたら、家へ帰る。私以外の3人は、同じ方向だったから、なんかうらやましかったというのが正直な気持ち。
練習をして、近くのスーパーでアイスを食べて帰る。
ありふれた日常だけど、思い返すととても幸せな日常だった。
あの4人だったから、ずっと部活も続けてこれたし、楽しくできた。人生で幸せな出来事は?と聞かれたら、間違いなく「この仲間で部活ができたこと、この仲間に出会えたこと」が入ってくるだろう。
ビックにたまに行く事があって休憩所を見ると、つい思い出してしまう思い出。
きっとみんなにもそんな思い出があるだろう。
まだ寒い北海道で、ストーブの前でガリガリ君を片手に思い出に浸るそんな日も悪くない。
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