人事のためのAIは、人事がつくる – HR×生成AI領域の会社『株式会社Algomatic Works』を始動します
こんにちは!株式会社Algomatic WorksでCOOをしている高橋と申します!
本日プレスリリースを出させていただいたのですが、生成AIスタートアップの株式会社Algomaticは、HR×生成AI領域に特化したグループ会社である株式会社Algomatic Worksを始動させました。
実は会社自体は既に存在しており、水面下でプロダクト開発や各種許認可の取得を進めておりまして、既に上場企業様や外資企業様など中心に数多くのお客様にサービスをご利用いただいております。
これまで会社について公にしてこなかったこともあり、本noteでは改めて、Algomatic Works立ち上げの経緯や今後目指す世界観を書かせていただきます。
1. なぜ今、HR×生成AIなのか?
1-1. 圧倒的なスピードで普及する生成AI
ChatGPTが2022年12月にサービスを提供開始してから、全世界で1億ユーザーを達成するまでに要した期間はわずか2か月です。
電話が1億ユーザーに到達するまでは75年、携帯電話が1億人に使われるまでは16年、インターネットの場合は7年を要したことを考えると、私たちはこれまでの人類史にないスピードで、時代の変化を経験しています。
1-2. HR領域で起きている、生成AIのイノベーション
私は、生成AIと最も相性のよいドメインの1つがHR(Human Resource: 人事をはじめとした人的資源に関わる業務)だと考えています。
そして、HR領域の中でも「採用」「従業員支援」「労務」においては既に生成AIの導入が活発に行われはじめています。
たとえばMoonhub(米国)は人材採用のプロセスを自動化する「AIリクルーター」を開発しています。LinkedInやSNSをはじめとしたWeb上のデータをもとに10億人以上にものぼる巨大な求職者データベースを構築しており、企業からの要求に応じて自動で候補者を表示し、スカウトから面談設定のやりとりまですべて自動で行うという生成AIネイティブなプロダクトを開発しています。
また、Beamery(英国)は「TalentGPT」というキャリア開発プラットフォームを提供しはじめています。各従業員のプロフィールデータをもとに「◯◯さんには、どんな教育機会がある?」「■■さんの経歴サマリを出力して」などの分析が行える、いわば各社専属のAIキャリアアドバイザーです。
労務領域ではCentral(米国)という業務自動化エージェントが開発されています。給与計算や税金計算、政府への提出書類の作成といった業務を、Slack経由であたかもリモートワーカーに仕事を依頼するかのように、AIエージェントにお願いすることができます。
1-3. HR×生成AIには、なぜ無限のポテンシャルがあるのか
なぜ生成AIと最も相性のよいドメインの1つがHRだと言えるのでしょうか。その鍵は「データ」にあると言えます。
これまでの人事業務の現場では、面接での評価結果、転職前後の業務経歴、社内規則文書、トレーニング・研修記録、人事評価履歴などの、テーブルに整理されていない「非構造化データ」が取り扱われることが多く、従来の技術ではこれらのデータの活用には限界がありました。
一言でいえば、HR領域は他のドメインと比較して「Excelやデータベースに収まらないデータ」があまりにも多すぎるため、自動化や効率化が進みづらかったのです。これがHR領域においてIT活用が進みづらい一因になっていると考えられます。
しかし、大規模言語モデルをはじめとした生成AI技術を用いることで、こうした非構造化データも効率的に処理することができるようになりました。
人事戦略、採用、配置・移動、評価・制度、育成研修、組織開発、労務、福利厚生…など様々な業務において「データベースに格納されていない大量の非構造化データ」が眠っているHR領域には、生成AI技術を使うことでイノベーションが起きるポテンシャルがあるのです。
私自身もこれまで、大企業やスタートアップで組織作りや人材採用を経験してきました。人事に関する業務には労働集約的な要素も多く「人海戦術で足元の活動をなんとか乗り切っているが、本質的な活動に時間を割けていない」といったシチュエーションも多々あります。
生成AIを活用することで、労働集約型の業務を知識集約型・情報集約型に転換させることこそが、この国の生産性改善の鍵だと考えています。
2. HR×生成AIの「首都」を作る
Algomatic Worksが目指すのは、HR×生成AIの総合カンパニーです。
以下の4テーマを中心に、事業展開を進めています。
①生成AIを活用したHR領域でのSaaS事業
②人材業界向けに特化したAI導入コンサルティングおよび受託開発事業
③生成AIを活用した人材紹介事業およびRPO事業
④HR領域での生成AI技術の研究開発および共同研究
2-1. スローガンは「人事のためのAIは、人事がつくる」
Algomatic Works社が掲げるスローガンのひとつが 「人事のためのAIは、人事がつくる」というものです。
Algomatic Worksには既に、CHRO・人事責任者の経験者、人材企業の経営者、HRBPやリクルーターとして活躍している現役のHRパーソンをはじめとした強力なメンバーが、すでにドメインエキスパートや事業開発、アドバイザーなどの様々なロールで参画しています。
メンバーの原体験にあるのは「人事業務を担当してきたからこそ、既存のサービスでは物足りない領域がある」「人海戦術で足元の活動を行っており、本質的な活動に時間を割けず、組織が疲弊している」といった当事者としてのペインです。
HR領域を変えたいという当事者の強い想い、そしてHRパーソンとしての経験から得られたドメイン知識がなければ、価値あるプロダクトは作れません。ゆえにAlgomatic Worksでは、ドメインエキスパートである人事経験者のノウハウや経験則をプロダクトに落とし込むことに徹底的にこだわっています。
Algomatic Worksは単なる「HR領域にいっちょ噛みしてきたテック企業」ではなく、日本で一番「人事領域のエキスパートが集まる企業」でありたいと考えています。
また、企業の人事責任者やCHROを対象とした招待制カンファレンスイベント「NEO WORK LOUNGE」も12月より開催いたします。 組織運営に関わるエグゼクティブを対象に「テクノロジーを活用した新たな働き方を浸透させること」「人事コミュニティと共にプロダクトを開発すること」を目的に、イベントを継続的に開催していきます。
2-2. "生成AIネイティブ"なサービス・組織を0からつくる
先日、大手ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が"Death of a Salesforce"という刺激的なタイトルのエッセイを公開しました。
セールステック領域を例に「生成AIネイティブなサービスがどのように生まれるか?」が論考されていますが、私は以下の点が重要であると考えています。
生成AIをはじめとした新しい技術は、既存サービスに「足し算」するよりも、その技術を前提としたサービス開発をゼロから行った方が、顧客の深い課題を解決しやすいものです。Algomatic Worksでは、生成AIネイティブなプロダクトを次々に展開していく計画です。
そして、この構図はプロダクトに限ったものではないと考えています。既存の組織に生成AIを「足し算」しようとしても「業務プロセスの壁」「組織カルチャーの壁」「ビジネスモデルの壁」といった大きな壁が立ちはだかり、AI導入はなかなか進みません。
Algomatic Worksでは生成AIありきの業務プロセス、組織、ビジネスモデル設計に挑戦しており、「生成AIが当たり前になった世界観で、我々の仕事はどうなるのか?」といった問いに対して、Algomatic Works自身がひとつのロールモデルを示せればと考えています。
(どういった組織設計をしているか気になる方には、ぜひカジュアル面談でお話できればと思います!)
2-3. 日本の実情にあわせたガイドライン策定・ルール作り
ところで、欧州のHR×領域のプロダクトをリサーチしていると、営業やCS、マーケティング向けのAIツールが積極的に開発されている一方、HR領域のサービスが少ないことに気づきます。理由としては、2024年5月に成立した欧州委員会(EC)のAI規制法の影響が大きいものと考えられます。
AI規制法では、AI活用のユースケースごとにリスクの高さを分類していますが、「採用の自動化や応募者の選別」「雇用や労働者管理」「教育・職業訓練」「求人広告」といったHR関連のユースケースが高リスクとして分類されており、EU圏内においては、人事領域のAIサービスを提供するのに一定のハードルがあるというのが現状です。
一方日本国内では、経産省・総務省が中心となってAI事業者ガイドラインを取りまとめており、透明性や適正利用が担保されていれば、HR領域でも他領域と変わらず生成AI技術を利用することが可能とされています。
労働力減少という避けられないトレンドがある日本だからこそ、諸外国とはまた異なった方向性でイノベーションの促進が図られているのです。
Algomatic Worksでは国内外のAI活用動向や法規制動向についても知見を集積しており、独自の生成AI活用ガイドラインも定め、お取引先の企業様にも公開をしております。HRという「人」に関わる領域だからこそ、安全性とイノベーション促進の両立が生成AI導入の鍵です。
今後Algoamtic Worksでは
「"人"に関わる業務で安心して生成AIを使うためには、どのような社内規定を敷くべきか?」
「採用や異動などの意思決定を支援するAIからバイアスを除外するにはどうすればよいのか?」
「人事情報を扱う生成AIサービス事業者はどういった自主規制を実施するべきか?」
といった、ガイドライン策定やルールメイキングにも積極的に取り組んでいきます。
3.Algomatic Works社が目指すもの
3-1. 「働く人たちの1日の価値を、100倍にする」
私たちが掲げるのは「働くひとたちの一日の価値を、100倍にする」というミッションです。
日本の総人口は2008年をピークに減少しており、50年後には労働人口が約半分になるとも言われます。
しかし、現在も日本は人口ボーナス期に形作られた労働集約型の成長モデルを維持しています。つまり、会社の成長=労働者(社員)の数を前提とした仕組みがこの国の根幹にはあるということです。
この成長モデルが善か悪かという話はさておき、人口ボーナス期が既に終わったいま、あらゆる産業を知識集約・情報集約型のモデルに変化させなければ、数十年後の自分自身や、私の子世代・孫世代が豊かに生きられないのでは…という危機感を持っています。
労働集約型の産業へ依存した日本は、このままでは様々な産業が成り立たなくなるかもしれません。そこで私たちは「働く人たちの、1日の価値を100倍にする」ことを目指し、人とAIエージェントの協働をサポートするHRプロダクトを複数開発しています。
AI革命というビッグウェーブを利用して日本の産業のしくみを変え、将来世代の労働のあり方を(ポジティブに)変化させたいと考えています。
3-2. HR市場における巨人は、常に時代の変化と共に生まれてきた
リクルート社、パーソル社、ビズリーチ社…といった現代の人材業界の巨人たちは、時代の波によって生み出されてきたと、私は考えています。時代の波が新たな雇用や新たな組織形態を生み、その新たな社会の波を支える企業がカテゴリーキングとなるのです。
大学新聞広告社(現:リクルートホールディングス社)は、1960年代以降の大学進学率大幅増加と新卒一括就職という時代の波とともに求人広告で急成長を遂げてきました。
インテリジェンス社(現:パーソルキャリア社)やリクルートキャリア社は、1999年の職業安定法改正(民間事業者による職業紹介解禁)という波を捉えてきて成長してきました。現在は数千億円の市場規模である転職エージェント業も、25年前まではほとんど市場のないベンチャーマーケットだったのです。
ビズリーチ社の成長の裏にも、2009年以降の有効求人倍率の増加つまり売り手市場と企業の採用難という大きなトレンドが少なからず影響していると考えられます。
そしてこの労働人口減少・生成AI革命という時代の波においても、恐らくHR領域において新たな巨人が確実に生まれるはずです。
私たちAlgomatic Worksは、HR領域で生成AI時代を代表する企業になることを目指します。
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