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「翻訳絵本の作り方+外国語でkindle出版する意味」

 中5日で有料記事(投げ銭設定)を書こうチャレンジ、3回目となります。

 今回はkindle出版中の「人間は滅んだ後も指示された仕事を続けるぬいぐるみ絵本シリーズ」の英訳版作成記録となります。

 以下の2冊は既に英訳済です。

 今回はシリーズ最新刊「しょうせつを かきたかった さる」の英訳作業を進めていく様子をお伝えしていきたいと思います。


「ぬいぐるみ小説集」の中の一編「小説を書きたかった猿」を独立させ、アレンジして絵本化したものです。

 元々のお話は「廃墟を撮影する『私』が旅先で出会ったぬいぐるみたちと会話を交わす」という連作です。前2作に比べると、原案を大きく変えているわけではありませんので、文章の意味を大きく変えてはいません。ただ、なるべく簡潔な文章で、20ぐらいのシーンに分ける感じで、と進めていきました。

 原文

 その廃墟で出会った猿のぬいぐるみは、何かを熱心に書いていた。読ませてもらったところ、様々な言語で書かれた文字の羅列で、意味が成立していなかった。

ぬいぐるみ小説版「小説を書きたかった猿」


なにかを かきつづけている さるの ぬいぐるみが いました
(改ページ)
なにが かいてあるのか さっぱり わかりません

絵本版「しょうせつを かきたかった さる」

 文章を簡素化していくのは、子どもが読みやすいように、ということだけではなく、元々1ページあたりに長い文章が書き込まれている絵本が好みではないからです。多くても4~5行までに収めたいと思っています。


絵本版「しょうせつを かきたかった さる」より


絵本版「しょうせつを かきたかった さる」より

 英訳は1冊目の時はChatGPTに丸投げでもできたのですが、今はまとまった文章の英訳を頼むと断られます。なのでGoogle翻訳を利用します。


 翻訳を逆方向にして、違和感がないか検証します。


 この場合「いました」が「ありました」になっていますが、ぬいぐるみなのでまあいいか、ということでこのままに。逆翻訳して違和感があった場合は、原文を変更して、納得のいく文章になるまで修正していきます。

 英語の細かい表現の正しさなどは気にしません。


 意図していたのと違う訳され方の例が出てきました。


 修正後。


 レイアウト例。


絵本版「しょうせつを かきたかった さる」より

 正方形の画像の上端を1630ピクセルまで伸ばして、文章を入れるスペースにしています。後々各国語の翻訳版を作ることを考え、文章を入れる前の空白の画像を保存しておきます。

 フォントはSegoe UI、フォントサイズは55です。文章量の多いページはフォントサイズを小さくして調整します。

作業中の英訳版「しょうせつを かきたかった さる」より

 という感じで進めていきます。

 前2作の翻訳版を出して反響はどうだったかというと、日本語版と比べてDL数は半数ほどでした。カテゴリが日本より細分化されていることもあってか、そのDL数でもランキング上位には一時入りました。もちろん無料キャンペーン中の、無料版kindle本の、狭い狭いカテゴリランキングでの話です(その辺りは伏せて「海外のAmazonで売り上げ1位を獲得しました!」とか言える性格ならいいのですが)。


 ではそもそもどうして絵本の翻訳版を作ろうと思い立ったのか、という話を書いていきます。

 ChatGPTを導入した直後、生成画像と組み合わせて絵本風の話を作ることにはまりました。

 勢いでKindle出版したのが、処女kindle出版作となります。

 一連の作業をしているうちに、「絵本を作るのはどうだろう」と思い立ちます。子どもたちが読む絵本を図書館で探している時に、いつも避けている系の絵本がありました。
・教訓系
・文章量の多いもの
・絵が怖すぎるもの
・子ども向けだからこれくらいでいいでしょ、的なお話
 もちろん、私が選んで子どもたちも気に入ってくれた絵本ともたくさん出会いました。それでも打率はあまり上がりません。それならいっそ、自分の好みの絵本を自分で作ってしまえばいいのだ、と気付いたのです。

 というわけで、こちらもふと思い立って始めていた「ぬいぐるみ小説集」から、絵本化に向いた話を抜き出してアレンジしていきました。

 次に、1ページあたりの文章量を削っていく作業中に思いました。簡潔に、分かりやすく、予備知識がなくても読める(たとえば日本固有の文化がなくても理解できるように)ようにしていくうちに、「これくらいの短い文章なら、外国語に翻訳しても違和感がないのでは?」と思い始めます。

 自分は日本人だから、日本語で書いてるから、日本語を理解する人間が一億人以上いるから、という理由で日本語だけで出版するのはもったいない気がしました。かつて佐伯一麦「ノルゲ」を読んだ時のことを思い出します。ノルウェー人の作家は、始めからノルウェー語ではなく英語で本を出すことが多いのだそうです。読まれる母体数の数が桁違いだからです。ノルウェーの人口は555万人、それでいてノルウェー語の話者人口は460万人だそうです。対して英語圏は80ヵ国、話者数10億人です。

 日本とノルウェーの人口の違い、他国との距離の違いもありますが、敢えて日本人だけに向けた日本語の作品しか作らない理由は、それほどないように思えました。

 もちろん、極端に簡素化した絵本の中の文章だから翻訳しようと考えたわけで、私が普段書いている文章を英訳しようとは思いません。でも、各国語に翻訳されても違和感のないような、簡潔な文体だけで構成したお話とかどうだろう、とちょっと考えることはあります。

 以上、「いつかkindleで絵本を出してみたいな」「海外出版するとどうなの?」と思っている方のお役に立てば幸いです。ここまでお読みいただきありがとうございます。さらに記事を購入していただければ、飛んで喜びます。


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