![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173352001/rectangle_large_type_2_783cc3ca13bf9ea07a4702bc20ee52ff.jpeg?width=1200)
アメリカの刑務所に通う。
刑務所・コロンビアリバー矯正施設へ
オレゴン州ポートランドにある刑務所、Columbia River Correctional Institution(コロンビアリバー矯正施設。以下CRCI)に4回ほど通いました。あまりにも目ウロコで、刺激を受けたので、ここにまとめておきます。
CRCIはアメリカの刑務所の中でも制限が最小限で、収容されているのはもともと量刑が軽い、もしくは別の施設にて行いが良好だったために移送されてきた受刑者たちです。
ちなみに、最初の訪問の前に元・法務大臣の河井克行氏の体験談をこれで見ました。彼が収容されていたのも、CRCIと同じように制限が少ないはずの刑務所なのですが…
刑務所、受刑者…と聞いて、どんなことを想像するでしょう?
私はなんとなく、暗くて、冷たくて、緊張感があって、なんとなくジメジメした雰囲気をイメージしていました。
ちなみに外観はこんな感じ。ずっと孔子鉄線が張り巡らされていますが、実は、左奥のグランドスペースで収容者がバスケットボールをしている様子が肉眼で見えました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738826480-MBZwW6saDIgJoXkh1HKF0rvm.jpg?width=1200)
この立て看板にも書いてあるのですが、青い服を着ていけません。収容者が青い服を着てるからというのが理由だそうで、映画で見るようなツナギの青いのを着てるのかなと想像していました。(違いましたけどw)
青がダメだと言われたので、紺ならいいだろうと思ったら、紺も青のうちだそうで、慌てて上に着ていたシャツを脱いで車に置きましたw
免許証だけを持って敷地内に入ると、建物の中に入る前に受付をします。そこで免許と引き換えにビジターバッチを受け取り、建物の中へ。セキュリティチェックを受ける前に不必要なものは全てロッカーに入れます。そして、空港や永田町の議員会館みたいなセキュリティチェックを通過しました。
刑務所の中
入って、びっくり!明るい!!!(びっくりNo.1)
真っ白な壁に囲まれた吹き抜けの空間は、奥の上の方に大きな窓があり、外は曇り空だったにもかかわらず、多くの光を内部に取り入れていました。
体育館ばりに高い天井と、体育館がそのまま廊下になったようなその空間はとても開放的でした。進行方向に向かって右手には、いくつか教室のようなものがあり、小さな廊下から奥にも行けるようになっていました。そして、そこにはコミュニティカレッジ(公立の短大)のサインが。(びっくりNo.2)
コミュニティカレッジは、日本の専門学校と職業訓練校とカルチャーセンターを合わせたような公立の学校で、アメリカでは大抵どこにでもある教育機関です。なので、受刑者も、各種技能資格や、短大卒業資格、それに高校を卒業していない人にはその資格を取得することもできるとのこと。
広い廊下の逆側の壁には、大きな鏡と棚が作りつけられた、”オープンキッチン”ならぬ”オープン理髪店”が!(びっくりNo.3)各コーナーごとに、理容室用の椅子が並んでいました。その一脚で、受刑者の一人が散髪してもらっていました。ローラが彼に「ハロー。後で来るでしょう?」と声をかけると「うん、すぐに行くから!」と彼は応えました。(びっくりNo.4 自然体でめちゃいい返事w )
広い廊下の突き当たり部分までくると、左手に入り口があり、そこからはまるで学校のようになっていました。(本当にうちの娘が行ってた中学校みたい)そのいちばん手前の部屋が、私たちのクラスでした。教室の前には、参加するのであろう受刑者たちが何人も待っていました。(それにもびっくりNo.5。みんな一緒に行動するんじゃないんだw)刑務官が来て教室を開けてくれるまで、彼らと一緒にしばし歓談。(これもびっくりNo.6。こんな自由におしゃべりしていいの?)そして、話していたうちの一人のおじさんは、「僕は日本人の男の子をアダプト(養子に)したんだよ!」と言いました。(へ!?受刑者が日本人をアダプトした養父!?びっくりNo.7)
刑務所の収容者たち
青いツナギを着ているのだろうと思ったら、ほとんどみんなブルージーンズとネイビーのスウェットでした。(びっくりNo.8)なので、囚人感はあまりなく…だって、こういう格好の人、普通にいるでしょう?w
中には柄物のシャツを上に羽織ってる人もいて(びっくりNo.9)、帽子被ってる人もいる(びっくりNo.10/ちなみに訪問者の私は帽子ダメで脱がされた!)し、かなり自由そう。足元はコンバースが多いけど、ブーツだったり、色々。
4回訪ねたうち、クラスの参加者はいつも10-13人程度。そのうち、見た目で黒人だと認識できる参加者はいつも2名程度。訪問する前に、友人から「差別的逮捕が理由で、刑務所には黒人の比率が異様に高いというデータがある」ということを聞いていたので、ちょっと気にしてみてみました。ポートランドの人種の比率で言うと、黒人は人口の5%程度。そう考えると20%近いわけだから、やはり高いと言えます。あくまでも参考程度だけれど。
ちなみに、最初の訪問の日、二人いた黒人の参加者のうちの一人の書いた文章に、私は泣きそうになってしまいました。彼は高等教育は受けていません。高校もろくに卒業していないようです。本が好きなわけでもなさそうだし、文章も決して上手なわけではありません。後で彼の文章の中で知ったけど、人を銃で撃ったそう。でも、4回クラスで会った彼は、とても穏やかで素直で、一生懸命で、私が泣きそうになるほどに心に響く文章を、彼は紡いでいました。
心が揺り動かされるのは彼の文章だけじゃなく、次から次へと、さまざまなリズムと角度から、感情が揺り動かされました。とても温かくて、切なくて、美しくて、そして、何よりもそこには「希望」と呼ぶのにふさわしい何かがあって、私は訪ねる度に感激しています。
誰が刑務所に行って、感動すると期待するでしょう?私はまた、ソーシャルプラクティスというアートの探求を大きく一歩進めたのだと思っています。