観劇感想 『廣島物語』Bチーム 7/14
史実を題材にしているので突飛な事は起こらない中で、広島のある家族、ご近所さん達が歩んだ戦中・戦後が丁寧に丹念に描かれ、演じられていて、2時間20分が満ち満ちて過ぎてゆきました
描かれる舞台の絵面自体は大きく変わらない中、ずっと引き込まれるのは役者さんらの力でしょうか
地味過ぎず、派手過ぎず
劇に適当な良い演技を見た気がします
そして良い、登場人物達でした
セット、小道具、衣装に始まり、第二総軍司令部(東の第一、西の第二総軍)、畑俊六元帥への言及、米兵の武装であるとか、また戦後の政治運動の差し込みだったりと知っている人は知っている、分かる人には分かる細かい所への気配りも素晴らしいです
それらによっても、そこに生きる人々の模様がよりリアル(あったこと)なものに感じられました
また私は英語をほぼ解さないのですが、米兵らのシーンは解らない(単語、場面で類推は出来る)点も含めて、劇にひとつ説得力、臨場感が増して良い試みだなと感じました
いわゆる玉音放送の場面においては、半藤一利著《日本のいちばん長い日》が思い出され、本土決戦を頑なに主張して反乱、宮城事件まで起こした畑中少佐らと、廣島物語で描かれる市井の人々のありのままとのギャップを巡らせていました
現代に起こるとは思っていなかった正規軍と正規軍の戦争の現実が沢山映像で流れ、不意にアップデートされた頭で、77年前を劇と言う形でも観させて貰うと、従来とはまた違う濃度で感じ入るものもあるな、と思いました
付け加えると先日の大事件の直後でもありますから、さっき生きていた人が、もう亡くなってしまっていると言う理不尽に思い巡らせる事、場面もあり...
自身最長の観劇時間でしたが
不快無く、ただただ没入出来る良い時間でした
千秋楽まで無事の完走を(‐人‐)
余談:会場で自由に手にとれる無料パンフレットがとても上質なもので、広島の歴史、戦争、原爆、復興の事柄をかなり丁寧に書かれていました。この辺からして、真摯に丁寧に作ったのだなぁと感じられます