ふりかえりでチームにどのような変化をもたらしたいか考える
はじめに
これはふりかえり(裏) Advent Calendar 2023の2日目の記事です。
今年はふりかえり手法をうまく組み合わせるとふりかえり時間がとても有意義になるよ!というお話です。
効果的なふりかえり
Codezineの記事「アジャイル開発で欠かせない「ふりかえり」、チームを強くするための3つの段階とは」では、ふりかえりを以下のように定義しています。
「チームの行動を少しづつ変えていく」にフォーカスして掘り下げてみます。「少しづつ変える」ことを実現するためには、どのようなアクションが考えられるでしょうか。
明示的に新しいアクションを行う
もともとやっていたアクションに変更を加える
マインド面での変化をもたらす
1についてはKPTにおけるTryなどが該当します。新しいアクションを追加しているわけですから、わかりやすく変化を起こしています。
2についてはstar fish/small star fishにおけるmore/lessなどが当てはまります。朝会が20分まで伸びがちだから15分におさめよう、などが具体例として挙げられます。
3についてはFun,Done,LearnやCelebration Gridにおける学びの共有がイメージしやすい例になります。目に見えるアクションを実施するわけではないけどそれぞれが感じたことを共有することでチームに内面的な変化が生まれます。
SNS等で「ふりかえりは必ずしもアクションを設定しなくてよい」という意見を見かけることがありますが、これは3のことを指してるのかなーと想像しています。
そのふりかえりで何を目指す?
では、ふりかえりを実施するときには1-3のうちどれを目指すのがよいでしょうか。
明確な課題がある場合、やったほうがよくなるとわかっているアクションがある場合は1がよいでしょう。
ある程度チームがstableな状態で、そこからよりよくなりたいときは2がフィットします。
比較的安定していたり、チームにとって区切りとなるタイミング(大きめなリリースがあった、メンバーの入れ替わりがある、など)では3を目指すことでチームの一体感が増す、というよい変化が生まれます。
私の経験では、チームが形成されていく段階では1が活躍する場面が多く、ある程度成熟してくると2-3をいったりきたりすることで効果的にチームを成長させることができます。
目指すところにたどり着くためコンビネーションを考える
1の場合はある程度チームの課題が見えていたり、少し考えると課題にたどりつきます。KPTや学習マトリクス、small star fishなどの手法を単発で実施することで十分に効果的なアクションを得やすい状況です。
2の場合はチームの現状を把握し、そこからどう変化していくかを考えたい。なのでいきなり課題の掘り下げをするのではなく、まずチームの状態を明らかにするのがよいでしょう。状態を明らかにしたあとでアクションを考えていくことをおすすめします。
例:
- 状態を把握するワーク: タイムライン/Fun, Done, Learn/Celebration Grid
- アクションを考えるワーク: Small Star Fish/KPT/ペイオフマトリクス
3の場合は、いったん2のうち「状態を把握するワーク」に絞ってやるとよいでしょう。それで内面的な変化が生まれるのであればそれでゴールとしてもいいですし、もう少し突っ込んで話したいぞ、となったらLean Coffeeでみんなの関心事を掘り下げるというのが有効です。
タイムボックスを忘れずに!
前述のように、チームにちょっとした変化をもたらしたいとき(2)や内面的な気づきを得たいとき(3)はいくつかの手法を組み合わせることでより効果的にふりかえることができます。(逆に、この状態で単一の手法のみを用いると浅めのアクションを濫造してしまうことにつながったりします)
このときに気をつけたいのが、タイムボックスの遵守です。複数の手法を組み合わせると、手法の説明だったりそれぞれの手法でのアウトプットをまとめる段階だったりで意外と時間がとられます。また、2つ以上の手法を組み合わせるとき、2つ目以降は場が温まっているがゆえに議論が活発になることがあります(いいことです)。そういったときにはファシリテーターの想定以上に時間がかかってしまうということになりやすいので、気をつけてください。なんでそんなことをいうかというと、自分がよく時間オーバーさせてしまうからです。
目指すところを定め、効果的にふりかえろう!
今回は、ふりかえりで目指すところを見極め、それに合わせて手法を選択すること・組み合わせることを提案しました。ぜひみなさんの現場でも取り入れ、効果的なふりかえりの実践にチャレンジしてください。
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