ふりかえり手法「通知表」がいい感じに次のアクションを引き出してくれた
これはふりかえり Advent Calendar 2024 9日目の記事です。
OKRトラッキング
「アジャイルチームによる目標づくりガイドブック」を出版して以降、目標づくり、特にOKRについて相談をいただく機会が増えました。
社内ではOKRそのものの相談に加えて、設定したOKRの進捗を共有し必要に応じてリカバリープランなどを検討する「OKRトラッキング会」の運営についても相談を受けていました。(今回の主題ではないので詳細は省きます)
トラッキング会のふりかえり
新しい運営方法になってから3ヶ月ほど経過したタイミングで、ふりかえりをやろうということになりました。運営側の肌感覚としては、概ねうまくいっているものの、まだまだ改善の余地があると感じていました。
改善したいポイントとしては、それぞれのKRについてKRオーナー以外から質問や意見が出づらいという点でした。自分が担当しているKRだけでなく、全体のOKRを意識し主体性をもって意見をぶつけあえるようになりたい。
運営を主導している方は、当初KPTでのふりかえりを想定されていました。ですが、KPTで引き出される意見は過去の期待に対する過去の実績をもとにしたものです。たとえば、KRの達成状況が思わしくなかったね、とか、あのときのファシリテーションはよかったね、といった具合です。
今回でいうと、運営の問題意識は「今後なりたい姿と現状のギャップ」をいかに埋めていくかにありました。
これはKPTではない手法のほうが状況にフィットしていると考え、選択したのが「通知表」です。
この手法では、評価したい項目を選択し、評価し、議論を深めていきます。どうやら自分たちが話したいことにフィットしてそうだということで、こちらの手法を使うことにしました。
「通知表」をカスタマイズ
やり方については、上でリンクを貼ったものから少し変えています。
たとえば、評点については「大変よくできました/よくできました/がんばりましょう」の3段階ではなく、1-4点の4段階で評価するようにしました。これは、3段階だと「よくできました」に寄ってしまうことが想定されたためです。
また、通知表で評点をつけたあと議論を深めるものは最終的に決定した評点が低いものに限っての実施としました。これは予定した時間内になすべき議論をやりきるためです。
ここでのカスタマイズがどの状況にもフィットするわけではありませんが、このように状況にあわせてカスタマイズするといいよ、という例として紹介しました。
評点の共有で共通認識が形成される
個々人で評点をつけたあと、チームで議論しながら最終的な評点を決定していきました。この作業を通して、それぞれの項目に対してその場にいるメンバーがどういった評価をしていたかが共有され、そのうえでチームとしての共通認識が形成されていきました。
改善するべきポイントに絞った深堀りで改善ポイントが明確になる
そのあとは、チームとして最終的に決めた評点が低いものに絞って深堀りをしていきました。
いきなり「この点を上げるには?」とするのではなく、「なぜこの点なのか?」「この点になる状況を作り出している環境はなにか?」など、現状そうなっている原因を深堀りするアプローチを取りました。
この段階では、それぞれが持っているナレッジの差異や発言のハードルとなる心理的安全性、トラッキングで扱う内容のスコープや実施する曜日・時間帯など、今の状況をつくりだしている様々な環境要因について議論を深めていきました。
だんだんと方向性が明確になっていき、最終的には「これをやったらうまくいくかもね」というアイデアにまで落とし込むことができました。
現状を知り、理想とのギャップを測り、アクションにつなげる
今回いいかんじにふりかえることができたのは、ファシリテーターをやってくれた方が相当ファシリがうまかったということもありますが、自分たちで自分たちの状況を深堀りするよう仕向けた点にあったと考えています。
アクションを出さなきゃ、と焦ってアクション出しに飛びつくのではなく、まず現状を把握して深堀りし、解決するべきものが何なのかを明確にすることが大切、という基本に立ち返るいい機会になりました。