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格闘競技における一般・特殊・個別についての考察 第2回



前回の要旨

 

 前回は無作為に借り物の一般論を掲げ、現実の試合を個別とみて一般論を検討してみた。
 その結果、格闘競技の一般論は「相対する競技者が、勝敗を競い合うルールに規定された格闘競技」と仮定した。今回はここから特殊をどうみるか考えてみたい。

格闘競技の一般論を一部修正する


 まず本題に入る前に一般論について修正したい。何故なら、ある試合を観て格闘競技における勝敗すらもルールに規定されているという事にふと気がついたからである。
 例えば、勝敗は判定に委ねられる事が多々有り、判定に物議を醸す事も珍しくない。
 判定以外にもレフェリーが止めに入ったら試合終了だし、セコンドからタオル投入されても試合終了なのである。
 他にもカウントの様に勝敗を決定するルールが存在する以上、「相対する競技者が、勝敗を競い合うルールに規定された格闘競技」から「相対する競技者が、ルールに規定された勝敗を競い合う格闘競技」へと修正しなければと思い至った。そうでないとあらゆる現象に筋が通らなくなると思うからである。
 どうやらスポーツとは、私が思っていたよりも強力にルールに規定されているようである。
 やはりこの程度では一般論の検討は足りず、現時点では仮説に過ぎないという事であろう。「医学原論」にも気が遠くなるほど繰り返すと明記してあるとおりである。
 スポーツ全体を考えるようになった時に、またどう変わるのか楽しみにしている自分がいるが、自分の認識が変わっていく過程というのはやはり楽しいものがある。
 何においても楽しいという感情は新鮮な像が関係しているのかもしれない。

 余談だが、ある格闘漫画では負けを認めていないから負けではないという描写があったが、ルールが無ければそれも一定の正当性があるかもしれないとふと思った。意外にも本質的な違いを突いていたのかもしれない。
 勝敗まで規定するルールについてもう少し深く考えてみたいと共に、ルールの無い勝負についても統一して深く考察しなければならないが、それは今後の課題としておこう。

技で一般論へ繋がるか検討してみる


 まずは格闘競技の試合を各競技の技で括れるか検討してみよう。ボクシング、キックボクシング、総合格闘技は使われる技の違いで括るのはそれほど悪くないように思える。
 実際に各試合を観てみても問題無いように思える。しかし、何か腑に落ちないものがある。一般論とうまく繋がらないのである。
 では一般論を修正すべきかというと、それも違う気がする。或いは練習だったら筋が通るのかもしれないが・・・ 
 実際の試合で使われる技はルールに規定されていると考えると、技で特殊を括っていく事に少し違和感が残るので、現時点では一般論にはじかれたと捉える事にしておく。後々また検討していけば良い。

ルールで一般論へ繋がるか検討してみる

 
 では次にルールの違いを特殊として括れるのかを検討してみよう。単純に一般論を「相対する競技者が、ルールに規定された勝敗を競い合う格闘競技」としてみた場合は問題なく繋がると言えるだろう。
 では次に個別の試合で考えてみるとやはりしっくりくる。ルールにより試合がボクシングとして現象し、キックボクシングとして現象し、総合格闘技として現象していると考えても違和感はなく、これらは全て格闘競技一般としても括れる。
 その上で再度格闘競技をルールで区別できるか考えてみても、やはり違和感は無い。
 となるとこれはルールの違いを特殊として括る事ができると言って良いのではないかと思う。
 この分け方だと私の認識もスッキリする。

競技で一般論へ繋がるか検討してみる


 ルールで括れるという事は取り敢えず良しとしておこう。次に競技別に特殊を括った場合に破綻しないかも検討してみよう。
 個別の試合を観てみると、これは全く問題無いというより、むしろこれが一番しっくりくる。
 何故ならルールで試合を観るより、ボクシングとして、キックボクシングとして、総合格闘技として試合を観る方が自然だからである。
 では次に一般論へ繋がるか検討してみよう。一般論は「相対する競技者が、ルールに規定された勝敗を競い合う格闘競技」なので、格闘競技を競技別に分けたとみても問題ない。
 再度特殊としてボクシングやキックボクシング、総合格闘技で括ってみても違和感は無い。
 しかし格闘競技とはルールで規定されるので、各競技もルールにより規定されると考えた場合は、本質的にはルールの違いが競技の違いと考える方が正しいのかもしれない。
 ともあれ、競技で括る事それ自体は大きな問題は無いように思える。

各競技とルールは直接的同一性と言えるのだろうか?


 ここで一つ考えてみたい事がある。それは各競技とルールの関係は直接的同一性と言えるのか、相対的独立の関係と言えるのかという事である。
 ここに関しては正直なところ解らない。解らないが、読み返す度に考えるように現時点での自分の考えを残しておく事にする。
 現時点では、一般をどこに設定するかによって変わるのではないか?と考えている。
 つまり格闘競技を一般とみた場合は相対的独立の関係であり、格闘競技がルールによりボクシングとなったり、キックボクシングとなったり、総合格闘技となったりするのではないだろうか?
 そしてボクシングを一般としてみた場合はボクシングはボクシングルールと直接的同一性であると言えるのではないだろうか?現時点では答えは出せないが、これも今後の課題である。

他の括り方を試してみる

 
 では、他に特殊性として括れないだろうかと考えてみたが、結果としては複雑になり過ぎるので、後回しにしようという結論になった。
 例えば性別で括ってみたら、特殊の分け方が二重になってしまったり、階級や団体で括ってしまったらわけがわからなくなってしまった。
 最初はあまり複雑にしたくないので、取り敢えず性別は考えずに基本的には男性の試合で考察する事にする。
 団体や階級については格闘競技一般で考えると複雑になり過ぎるが、各競技別に考えるとそれほど複雑ではないのかもしれない。
 その後に格闘競技一般へ登ってみると、像の相互浸透化が始まるかもしれない。難易度が高そうではあるが、これも試してみよう。「やってみる」が無ければ何も始まらないし、何も変化が起こらないのだから。

次は特殊を一般へ持ち上げて考えてみる


 というわけで、次回は特殊を一般へ上げて考えてみる事にする。例えばボクシングは格闘競技の特殊に位置するが、ボクシングを一般とみて特殊、個別を考えてみる事にする。
 逆に一般を特殊とみる事もできる。例えば格闘競技を特殊とし、球技や陸上競技なども特殊とし、スポーツ全般を一般とみる考え方である。
 いずれは必要になる事だが、まずはシンプルに考えたいので、当分の間は格闘競技を上限として考えてみる事にしたい。
 しばらくはボクシングを中心に考えていく事にする。

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大神独歩
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