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2023年ふつうの生活
今年のふりかえり。
2022年は半分旅に出ていたので、2023年はHOMEをつくるのがテーマ、のはずだった。半分はできた気もするし、半分はむしろまた旅ばかりしていたような年だった。そういうものなのかもしれない。
ノンアルバー
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なんといっても、今年はノンアルバーを始めたのが大きい。渋谷某所のバーを間借りさせてもらって、最初は月2回、今は月1回で実施している。これまでまったく客商売をやったことがなかったので、多くの発見があった。
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メニューを開発すること、冊子を編集すること、イベントを企むこと。これまでの広告制作では映像やグラフィックやサイトだけだったものが、飲み物や体験として、実体を帯びてくるような楽しさ。
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一方で、ひとつの場所にずっといることへの飽き。つくづく接客が好きじゃないことなどもよく分かった。あと肉体労働もぜんぜん好きじゃない。企画&オーナー的な立ち位置がちょうどいいってことも自覚した。
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だから、今年最後にやった出張ノンアルバーはとてもよかった。現代美術作家であるにいみさんのアトリエに行き、そこでノンアルコールをつくって提供する。紹介してもらったお客さんと話す。その心地よさがすごくちょうどよかった。出張用にキットを揃えても楽しそうだ。ネオンのサインとかつくって。
元々は、オフィス兼スタジオ兼ノンアルバー的な場所を借りて、広告クリエイティブと自主制作とノンアルバーを同時にやりたい、という展望があったんだけど、こうして、それに近い機会をひとつひとつ体験してみると、自分で場所を持たなくても、出張していくだけで十分なのかも、と思うに至った。
とにかく飽きっぽいので、固定費になるようなことは避けた方がいいかもしれない。だから法人化にも二の足を踏んでいて、当分は個人事業主のままでいきそうな予感がする。
サブスクCD
代理店に勤めていた時は、とにかく「広告」をつくっていた。独立してからは、もう少しその手前のことをしているような感覚がある。企業のMVVを決めたり、新しい事業を売り込んでいくためのコピーを考えたり、営業用のムービーの構成を考えたり。規模は小さくても、経営者の横で、クリエイティブの手前の相談に乗り続けるような感覚。
特に、単発でサイト制作やムービー制作をやるよりも、月額制で、コピーと企画の相談に乗り放題にしている仕事がいくつかあって、「サブスクCD」と呼んでいる。クリエイティブのコンサル的なことだろうか。ひとつひとつの仕事をクライアントと受注者の関係で受けるというより、どこか「準社員」的な立ち位置になり、お互い仕事しやすい気がしている。もちろん、お互いいつだって、切る/切られる関係にあって、その緊張感も心地よい。
今年は独立して2年目だが、1年目は半分旅だったので、実質1年目だと思い、仕事はなんでも受けていた。が、10月くらいにふと思い立って、やりたい仕事しか受けないことにした。11~12月に至っては、ストライキ期間と定めて、新しい仕事はほぼ受けていない。たぶん、お金よりも、時間よりも、自分が心地よくできる仕事に優先度が高いのだと思う。または、ストレスに極端に弱いか。今後も、興味ある仕事のみ受けていきますので何卒。
サブスク形式でお仕事している企業例↓
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グッドデザイン賞
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珍しく賞をいただいた。商品企画から携わったオーダーの美濃焼「MINOIRO」プロジェクトである。事業主体は「カネコ小兵製陶所」。100年を超える老舗の製陶所であり、リブランディングプロジェクトにも参加させてもらった。グッドデザイン賞は、応募、展示、トロフィーに至るまでとにかくお金がかかるので、「ぜひ応募しましょう!」と言い出したプロデューサーに感謝である。
番組脚本
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Abema「TOKYO CREATIVE SALON」の広報番組脚本を書き、撮影に少し立ち会い、編集やMAにも立ち会った。広告制作とは違い、企画時よりも撮影や編集での伸び代が多く、楽しかった。またやりたい。ブラックミラーのような不条理系サスペンス現代劇の脚本とか・・・。
AIとテクノの挫折
いろいろと挑戦してはいるが、元来飽きっぽいため、少しでもうまくいかなかったり、つまづくことが多いと、すぐに嫌になってしまう。今年挫折したものはAIとテクノである。
AIは生成AIを研究してみたり、インタラクション展示を企画してみたり、AIだけでつくる新聞を考えてみたりと模索したが、どうにもつまらないというか、今世の中にあるものの最適解を組み合わせる以上のアウトプットが出せず、飽きてしまった。逆に、AIにできないようなことしかやりたくないな〜と思うようになったというか。
テクノは「マシンライブ」のようなことがやりたくて、機材をいくつか買って、環境を整え、1、2度スタジオにも入ったが、なんだか面倒になってきてしまった。逆にギターを弾きたくなったりもした。こう書くと、AIにしても、テクノにしても、テクノロジーへ浸かろうとして、結局アナログで肉体的なものへ回帰しているのかもしれない。
モンゴルへの旅
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世界旅行から帰って、当分は東京に根を張ろうとしていたのに、気がつくと先輩の誘いに軽くのっかって、モンゴル旅行をしてしまっていた。世界旅行の中でも印象的だった中央アジアの旅に近い異国感があり、めちゃめちゃ楽しかった。ドローンも飛ばし放題だし。旧共産圏の国がとにかく好きすぎる。
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その旅の予習として、ピエール瀧の「ユアレコ」を見まくった。モンゴル以外にも、いろいろな場所へ旅していて楽しい。ルールが「レコメンデーションには必ず乗る」つまり、オススメを聞いたら、そこへ行き、それを食べ、それを体験する、というものだ。映画「イエスマン」のようで楽しい。
高知に行きすぎる
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高知市の土佐山で旅づくりワークショップを月一度やっている。この移動だけでも結構ヘビーだが、そこにプラス、県の仕事もやることになり、今年の後半は、月2回高知に行く生活になってしまった。ありがたいことに仕事は楽しいけど、飛行機移動が大変である。しかし、ここまで何度も訪れると、ふるさとが増える感じにもなるので、それはそれで楽しい。
写真集
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旅について、自主制作の写真集をつくった。この編集作業が大変だったが、とても楽しく、カメラ熱がさらに高まった。もっと解像度の高いカメラが欲しくなっていて、2023年中に新カメラ買っちゃおうかな〜なんて思い始めている。
ジムとサウナ通い
正直に言うと、いまちょっと暇になっている。それは仕事がない、ということではなく、差し当たっての目標的なものがない状態ということである。それなりに働いていれば食べていけて、やりがいのある仕事もあり、趣味も楽しい。だけど、苦しみながら何かを目指す、というようなことがまったくなくて、ちょっと人生が暇なのである。そこで、結婚、運転、健康のどれかに投資しようかな〜なんて考えた。
結婚は、あまり興味がわかなかったし、変な結婚するくらいなら一人の方が500倍いいので、保留にした。車の免許については、差し当たって車が必要でもないし、そのためにメガネをつくることなども考えたり、人を殺す可能性が少しでも上がることなんかを考えて、これも保留にした。
それで、消去法的に、健康のためにジムにでも通ってみようと思ったのだ。家から歩いて5分。駅前のジムは、サウナとコワーキングスペースが併設されており、ウェアもぜんぶ貸してくれる。つまり、朝起きて、何も考えずに手ぶらでいけば、筋トレと運動とサウナと仕事ができるのだ。(結局仕事はほぼしてないけど)
フリーランスにとって、毎朝通うところがある、というのは、生活リズム的にもけっこうよくて、朝8時半くらいに起きて、バナナとヨーグルト食べて、9〜10時くらいで運動とサウナを済ませて、朝の光が降り注ぐ恵比寿の街に出てきた時に、少し風が吹いて、気持ち良い感じになるのはいいものである。もう今日1日はこれで終わってもいい、って感じになる。
よかったコンテンツ
TAR
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見終わった瞬間はそうでもなかったのに、じわじわとよくなっていった映画。とにかく奇妙な視聴体験だった。権力は必ず腐ること。いい仕事のために何かを犠牲にすること。その先の美しさと傲慢さ。おもしろかった。
muda TRAIL
アラスカを何日もかけて歩いて、その先の湖で飲む酒がうまいはず、というYouTube番組。また旅に出たくなったし、山を縦走した後の温泉や食事の幸せを思い出した。とんでもない苦労を人工的にでも作り出して、その後の幸福度を高めるという暇つぶしが、人類に与えられた最高の贅沢なのかもしれない。
お茶酔い
お誘いいただいて参加したお茶酔いイベント。中国茶を何杯も飲んでいるうちに酔っ払ってくるという都市伝説的な試みが楽しい。高級な香りを「伊勢丹の1Fのようだ」などと、ワインの香りの表現を模したようなジェネリックなラベリングをして文学的に楽しんだ。
まとめ
2023年は、やりたいことがだいたい叶った、とてもラッキーで、周りの人たちに感謝したい年となった。一方で、ヒリヒリするような生きてる感はなく、ちょっと暇だな〜と感じるような穏やかな年でもあった。それが幸せなのかもしれないが。2024年は、なんていうか、何かに集中するような年にしたい・・・ような気がしている。夢中とか熱中みたいな、そんな感じの。
とにかく飽きっぽい自分を飽きさせない仕組みというか、なんかプラットフォームのようなもの?をつくる必要があるのかもしれない。でもそれは、スタジオやお店のような場所ではないような気がしている。もっとメタバースっぽいというか、人と人のつながり的なものというか。ずっとハマっているポッドキャストにヒントがあるのかもしれない。誰かと散歩しながら話を聞いていく「あるくラジオ」も再開したくなってきた。
今年は、やりたいことが叶う頃には飽きていた、みたいな、アホな年でした。楽しかった。来年は、もっと何かに集中したいです。よいお年を。
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