ある所にひとりの若者がいた 詩を書いて暮らしていた 誰かが結婚するとお祝いの詩を書き 誰かが死ぬと墓に刻む詩を書いた お礼に人々はいろいろなものをもってきた 卵を籠いっぱいもってくる者もいた シャツを縫ってくる者もいた 貧しいので部屋の掃除をするだけの者もいた 男は何をもらっても喜んだ 金の指輪をくれたお婆さんにも 自分で作った髪の人形をくれた女の子にも わけへだてなくありがとうと言った 男にもちゃんと名前があったが 誰も名を呼ばずに男を詩人と呼んだ 初めのうちは恥ずか
行きつけの模型店でこのキットを見つけたときは心が震えました。 (しかもビックリするくらい格安で) あれは1983年。 私がまだ小学6生生だったときのこと。 愛読していた模型紙「ホビージャパン」に広告を載せていた大阪の輸入プラモデル取扱店に手紙を書き、このキットを通販で手に入れたのでした。 まだまだネットもない時代です。 どうやって代金を払ったのか、送料が幾らだったのかも覚えていませんが、届いたとき、箱を開けたときのワクワクは相当なものだったのを覚えています。 店員さんが
“DAD ROCK” という言葉があるらしい。 “親の世代が聴くようなロック” ってことだそうだが、それってどんなアーティストたちが挙げられてるのかしらと調べてみたら、まさに自分が80〜90年代にかけて夢中で聴いてた方々ばかりで、そっか……そりゃそうだよな〜いつの間にか僕らも若いつもりが歳をとったんだな〜 〜と妙にしみじみ納得したんだった。 日本では“おやじロック”と直訳されてて、ネット界隈を眺めると “オッサンたちが今の音楽を認めず、いつまでも若い頃を引きずってずっ
二十年前、DOODLIN' BARBER SHOPを開店した際、旧友カワサキから「これ、きっと店に合うと思うから……」と預からせてもらったボ・ディドリー モデルの四角いギター。 開店当初より “GOOD MUSIC & POSITIVE VIBRATION ”を基本コンセプトとして標榜して来た我が店の核となるものとして、ずっと飾らせてもらっていました。 だけどもだけど、私はギターを弾けません。 雑に扱ったりはもちろんしませんでしたが、ただ飾られているだけになってしまってい
十数年ぶりに映画『ダイ・ハード』を観ました。 放送予定を番組表で見つけたときには心が躍理、迷わず録画予約をしましたよ。 公開年は1988年、私は高校2年生。 映画界ではまだ無名に等しかったブルース・ウィルスを一躍スターに押し上げた大傑作であります。 見始めてすぐ「むむ?」となりました。 ココ最近のアクション映画やSFスペクタクル大作などでお約束となりつつある、オープニングからの「ドドーン!ドンガラガッシャーン!よっしゃ掴みはオッケー!」的な展開は一切なし。 ススーッと静
相変わらず、時間を見つけては散歩に繰り出している。 道中、カブトムシやクワガタが捕れそうな樹をチェックするのがクセになってて、昆虫採集にシーズンインした今、あちこちでその黒光する勇姿を見かけるのだが私は捕らない。 近づいてゆっくり眺めた後、溢れ出る樹液の匂いをクンカクンカしてから立ち去るのだ。 小6となった息子は昆虫に対する興味を急速に失ってしまったようだ。 私が採って帰っても、あんまり喜んではくれないだろうと予想がつく。 思い返せば私もそうだった。 夢中だったはずのも
以前からその存在は知っていて、いつか読みたいと思っていた本が文庫化されたという情報を入手し、これはナイスな切っ掛けだぜと早速手に取ってみた。 で、読み始めたのだがチンプンカンプン。 まずイメージが湧いてこないし、登場人物の名前が覚えられないし、物語が入って来ない。 かと言って、決してつまらないわけではなく、その独特な語り口と世界観にはビリビリ来るのだが「あ〜これは今の自分には手に負えないな〜」と30ページほど読んだところで、そっと本を閉じたんだったんだったん。 私は、世紀
今読んでいる本の舞台が北海道の“増毛町”というところなのですが、どうにもこの町名が覚えられないのです。 増毛町で“ましけちょう”と読むのですが、何度も聞いたことあるし、その度に「覚えよう!」と決意するのですが、ちょっと経つと「あれ?あれれ?」と失念してしまうのだから人間って不思議です。 いや、オレって低脳。 で、さすがに今これを書いてて、さすがに覚えたんジャマイカと思います。 もう忘れないぜ、ましけちょう! マシュケナダ! 日々の生活の中で、こういう物事って結構ありませ
“VIDEOTAPEMUSIC” の新譜が出ると聞き、胸が踊ったのも束の間、何とテープのみでの販売だとのいう。 絶対レコードで欲しいアーティストだけに、いやちょっとそれは……と尻込みしたのだが、その曲目リストを見て瞠目した。 多摩湖…… 私の実家のすぐそばにある人造湖“村山貯水池”の通称である。 それが一曲目のタイトルなのだ。 今まで、多摩湖をフィーチャーしたアーティストがいただろうか? 私が知る限りいないぞ! では何故? 俄然聴きたくなったのは言うまでもない。 も
最近どうにもレコードを聴いてても音が抜けない。 何ともなしに くぐもる感じがして、どうにもスッキリしない日々が続いていたのである。 さすがに針がもうダメなのかと、交換してみるのだが、それでとやはりモッキリしない。 そうこうしているうちに、レコードを回す機会も減り、流行りのサブスクとやらをBluetoothとやらで飛ばして「うむ、こういうのも悪くないね!うふふ」などと嘯いていたのだが、ハッと思い立ったのである。 これはもう、針がどうこうではなくカートリッジそのものが劣化して
思わず胸がズキズキワクワクするような、とびきり熱い話が舞い込んで来たのです。 当店の北側、某学校の農園芸グラウンドの向こう側の土地にですね。 どうやら縄文時代の竪穴式住居跡などの遺構があるっつーことで、埋蔵文化財発掘調査が行われるっつーんだからロマンティックが止まらないわけです。 ほんの数十メートル離れたところに、そんなもんがあったっつーことは、ひょっとして我が家の下にも?まさか?パードン? と興奮してしまうのも致し方なし。 これで、かなり貴重なものでも発見されたりした
あれは四十数年前にもなるのか。 少年テッペーが、初めて作った戦車(正確には対戦車自走砲)のプラモデル、それがこのタミヤの1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ 『ドイツ マーダーII 』だった。 その側面に描かれたヒゲオヤジのマスコットに強く惹かれたのを覚えている。 しかし、作り始めたらそのあまりの難しさに早々にギブアップ。 さっさと放り出してしまったんだった。 それが巡りに巡って、再び作ることになるから人生は面白い。 しかも、当時もの。 すなわち、三、四十年前に販売さ
本日、まことに有難いことに私の誕生日でございまして。 どうにか無事にさりげなく五十三歳になれました。 ありがとうございます。 そんな目出度い日和なので、今日の店内BGMは、ひねもすクルアンビンをナイスチョイス。 こんな音楽が似合う店にしたい。 そんな店に相応しい床屋のオッサンになりたい。 そんな願いがこもった選曲でございました。 リリースされたばかりのクルアンビンの新譜も言わずもがな最&高。 こういう音楽が生まれる時代に感謝です。 五十三歳の床屋のおっさん。 今年で二
毎年、この時季になると我が家周辺をツバメが飛び交うのです。 軒下まで入ってくるし、一度は店内に入って来たこともある。 専門家ではない無知男なりに推測するに、これはもしや巣を作る場所を探しているのでは?どう? で、まだ巣が作られたことはないので、彼らのお眼鏡にかなわなかったのでは?どう? と考えているのです。 今、この駄文を書いてる最中も、ツピッピさえずりながら、軒下を偵察していやがって、なんだかとても可愛いのである。 ほら、軒下に巣を作ったツバメは雷や火事を防ぐ生き物
おはようございます。 この二週間ほど、レコードが聴けませんでした。 耳障りなノイズが目立ち始めたので、あ〜これはとうとうレコード針が駄目になってしまったのだなと悟りましてね。 何が“とうとう” だったかと言うと、私が使用するカートリッジM44G専用の針を製造しているメーカー“SHURE”がフォノ製品の生産を終了して6年が経ちまして。 私がストックしていた針も、とうとうこれにて終了だったっつーわけです。 じゃあ、どうするべ……と思案してたのが、この二週間。 店内BGMはA
小5息子と “プラモデルあるある” について語り合った。 「組み立て中、左右、上下、中か外かで迷ったとき……迷いに迷った果ての選択が必ず間違っているんだよね〜」 と私が言ったら、くぅ〜スゲーわかる!と息子。 「パーツを落としたとき、こっちに落ちたはずと探しても全然なくて、まさかそっちじゃないよな〜ってところに落ちてるよね!」 と息子。 わかる、わかるぜ、息子よ。 ん?待てよ。 これって人生にも当てはまらないか? プラモデルから、人生が見えてくることが時々あるよね。