エコキュートの修理
エコキュートの修理が終わった時、僕はどこかほっとしつつも、妙な罪悪感に苛まれていた。それは単なる機械の修理で済む問題ではなかったからだ。リモコンのラインが断線していたというのも、実は僕自身が原因だったのだ。
その日、庭の片隅に生えた雑草を見つけた僕は、特に何も考えずにそれを切ることにした。雑草というのは、どこからともなく生えてきて、いつの間にか庭を占領するものだ。まるで人生の中で、いつの間にか自分の思考や感情に絡みついている些細な不安や後悔のように。だが、その雑草の下には、僕が全く気が付かなかった大切なものが隠れていた。リモコンへとつながるラインだ。
先程それがリモコンのラインだったと気づいた瞬間、僕の中で何かが崩れる音がした。それは、無意識のうちに何か大事なものを壊してしまったという、どうしようもない後悔の感覚だった。人はよく、目に見えないもの、意識の隅に押しやられているものを無視しがちだ。そして、その無視した結果が、思わぬ形で現れることもある。
修理に来てもらった技術者は、手際よく断線したラインを直してくれた。彼の手際の良さに感心しつつも、僕はその背後にある自分の不手際が恥ずかしかった。申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、彼はまったく気にしていない様子で仕事を終え、さっと帰っていった。
人生には、こういう風にまったく気が付かずにミスを犯してしまうことが往々にしてある。僕たちは、自分の意図しないところで誰かに迷惑をかけてしまったり、大事なものを失ってしまったりすることがある。そしてそのたびに、僕たちは自分の無意識の中にある、見えない雑草に気を配る必要があるのだと感じるのだ。