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ヨロイマイクロノベル

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思いつくままツイッター上であげていた140字ほどのお話(あるいはその断片のようなもの)をまとめています。
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記事一覧

ヨロイマイクロノベルその34

331. 80歳になっても母は「かたたたきけん(えいきゅう)」を使用する。通知が届くと十分かけ…

8

ヨロイマイクロノベルその33

321. あるもの出せよ。路地裏に連れてきたブルボンを脅す。何も持ってない、と涙を浮かべる。…

渋皮ヨロイ
2か月前
6

ヨロイマイクロノベルその32

311. ミモザの花がこぼれるように咲き誇る。その下で小さな女が口を開けて立っていた。わたし…

渋皮ヨロイ
4か月前
9

ヨロイマイクロノベルその31

301. 古い籐椅子が死ぬ。長く共に暮らした女が裏山に埋めた。夜、狸が掘り起こすが、椅子はす…

渋皮ヨロイ
7か月前
5

ヨロイマイクロノベルその30

291.「賑わう海の家」 秋が過ぎても海の家は解体もされず、夜な夜な賑わっていた。煌々と明る…

渋皮ヨロイ
8か月前
6

ヨロイマイクロノベルその29

281. 愛のブーメランは五年前に完成していた。でも作業が楽しくて夜ごとヤスリをかけ続けた。…

渋皮ヨロイ
9か月前
3

ヨロイマイクロノベルその28

271. 白と赤の彼岸花がそれぞれ列をなして咲き誇る。真夜中、茎が曲がり、交差する。6本の雄蕊と1本の雌蕊も細く長く広がり、互いに交わる。白と赤の線によって浮かぶX、×、メ、乂。蕊の先はやがてほのかに光を帯びる。火、火、火、火と変わる。朝方に輝きは消えて、すべてが元に戻る。 272. 寺に見知らぬ犬といる。背後で音を立てて一粒の銀杏が落ちる。犬がくわえる寸前、慌てて握ってしまった。みるみる掌が赤く腫れていく。熱を持ち痛みもある。分厚くなった手を犬が舐める。少しずつ姿が変わる

ヨロイマイクロノベルその27

261. 一日署長をはじめとして、一日巡査や一日巡査長、さらには一日被害者、一日犯人が集まる…

5

ヨロイマイクロノベルその26

251. 「今夜、貴方の夢に参上します」。獏からメッセージが届く。うっかり昼間に眠ってしまう…

3

ヨロイマイクロノベルその25

241. 黒い獣の赤ちゃんを二匹育てる。「フーダニット」「ホワイダニット」と名付けた。無邪気…

5

ヨロイマイクロノベルその24

231. 瓶のキャップを集める男と七秒で恋に落ちた。男はすべての指にキャップをはめていた。ど…

3

ヨロイマイクロノベルその23

221. 大晦日くらい俺たちにも笑わせてくださいよ。多様な角を生やしたあらゆる色の鬼がサロン…

6

ヨロイマイクロノベルその22

211. うまいもん食わせてやるよ。叔父と林の中を進む。枝先に丸くて白いものがつるされている…

7

ヨロイマイクロノベルその21

201. 恋人が顔はめ看板ごと帰ってきた。大名の格好がやけに似合う。「ようこそ古都××へ」。知らないところだ。一度は否定されるけれど、唇にはうぐいす餡がついている。満喫してるじゃないの。観念したのか、外すの手伝ってくれない、お土産あげるから、と二次元めいた恋人がぐいと近づく。 202. 零時に出されたバースデーケーキ(ビターチョコロール)。ナンバーキャンドルが間違っている。どうして72なのか(正解は33歳)。違うなら燃やし切らないと最悪な一年になる、と言われ、7(緑)と2(