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Amazonよりも本屋が勝った日
ファイブスター物語、というマンガがあ
最初の頃はその世界観に没頭し、いつしか、こんな神がかったコンテンツを自分も創れたらいいのに、と恋焦がれるようになった
作者は、かのガンダムにでてくるモビルスーツ(ロボット)のデザインも手がけるアーティストでもあり
そんなロボット大戦モノにも関わらず、性や憧れの女性をそこに観て、青春もした
1986年からもう35年以上も続いているが、実は最初の最初から、すべての出来事の年表が巻末に用意されていた
細かい設定やプロットまで、最初に描かれており、基本的にはその年表に倣って、その時代を行ったり来たりしながら、物語が紡がれていく
年表をみてるので、すでに結末はわかってるのだが…
というより、ひとつの国ならいざ知らず、ひとつの星どころか、ファイブスターストーリーズというから、5つの星のことなの?ですらなく
もう地球みたいな、数多の文化や歴史がある星が集まった銀河系のような星団が、それもいくつかあって
そのすべての人たちの言語や文化や歴史を描いている
地球の人類の それ、とどこか似通った部分も多数登場するが、だからこそイメージしやすく、感情移入や没入できるという面もあるので
その画力、メカだけでなく、そのファッションに至るまでのデザインセンスなど、アーティストとしての才だけでなく
ストーリーテラーとしての才まで
つい数年前のある日、登場人物の名前以外は、すべての名称や、その登場するロボットたちのデザインまで、何事もなかったのように改変された
それでもファンは離れていかないどころか、その改変の妙すら、お戯れとして楽しんだ
きっと僕のように、遅々として進まないこのマンガが発売されるたびに、変わらずワクワクが止まらない大人たちが、たくさんいることだろう
ハンターハンターのように、まったく音沙汰もなくなる、ということはないのがせめてもの救いであり
今となっては、そういう普遍的コンテンツを生きながらにして持っている作者が本当に羨ましい
そんな物語の16巻が、本日10/8、発売された
そんな風に恋焦がれているものだから、きっと要所要所で溢れていて、それをAmazonは見逃さなかった
広告が事あるごとに表示され、ついに僕は「予約」してしまった
そして、知る
それが、届くのは
なんと、当日ではない
下手すると、2日後の日曜日だと、Amazonのアプリは言っている
マジか…
そんなことを思いながら、こないだから滞在している片田舎を散歩していたら
風情ある本屋を見つけてしまう…創業100年…入らなきゃいいのに…探さなきゃいいのに…
けして大々的に山積みされてはいなかった。が、新刊の本棚に、それは並んでいた
一冊だけ、燦然と輝いていた、少し分厚いのがまた期待を煽ってくる
思えば、予約せずに、もしかしたら早く手に入るかも、と移動中にたまたま見つけた本屋さんの店員に訪ねてみたりもしてたのに…
そのアート性がゆえ、Kindleなど電子出版してしまったら、ネットに溢れてしまうだろう、という懸念からだろうか
どんな背景があるにしろ、作者の永野護先生自身が、頑なに電子書籍化していないというのに…
なのになぜ…俺は本屋で買わなかったのだろう
もう本屋という存在自体が絶滅危惧種かもしれない
もう本屋で買うということ自体が、珍しいエンターテイメントになってしまうかもしれないというのに
いつ売れるかもわからないたくさんの本を抱えて、いくら返本が可能とはいえど、フロアに本棚に、経費を湯水のように浪費していく
ともすればそれは色褪せ、古くなり、文字通り「古本」と化していく
必要な本だけ流通させていくAmazonさんのそれと比べれば、あまりに非効率で、あまりにリスクが大きいビジネスだ
それでも頑張ってそこに佇んでくれているというのに…そこに一冊、ちゃんと並べてくれているというのに…
Amazonアプリをみる…もう発送済みとな
この歳になって、なんだかすべてを捨てることになり、新たなチャレンジみたいなことになってしまっている俺にとって…二重に買うことは苦難すぎる…
あきらめきれないままに本屋をあとにする
おいおい、それでいいのかよ?
結局、我慢しきれないから、毎回毎回すべてを失ってきたんだろ?いまさらなに我慢してんだよ?
どうしたらいい?
ファティマよ、教えてくれ…
「騎士なら、もし騎士なら、戦ってください、マスター」
そうだ!そうだよ!
立ち上がれ!
「マスター…19時までです、その本屋さん」
2時間も前に、俺の戦いは終わっていた
結局、俺に出来ることといえば、アマゾンからやってくる🐈⬛が横切るのを待つのみか…