『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ)読了
私の持っているエネルギーはこの167(192)ページにすべて注がれたといってもいい。そのくらいひどく体力を消耗させた。
この本のタイトルは1982年生まれに多い名前から付けられたものらしいが、これが女性にとって"ありふれた人生"であることに恐怖を感じるし、また疑問を持たなければならないと思った。なぜなら、私の人生にも"よくある場面"として散りばめられているからだ。
最後の一行を読んで、「えっ...」と呟いたあと、私はしばらく本を閉じて床を見つめた。これはハッピーエンドでもなければ、バッドエンドでもなく、もっともっと遠い場所にピリオドがあるような気がしてしまったから。
でもこの本を読んだ私は、今度こそ目を逸らしてはいけないと思った。どうしても悲しくて虚しくて苦しくて目をつむる日があっても、次の日には痛々しい傷口を真っ直ぐ見つめられるようになりたい。
私は男性にこの辛さをわかってほしいんじゃなくて、このことを"自分のこと"のように考えてほしいと思った。生理を経験したり、出産を経験したりすることが物理的にできない以上、どんなに心を寄り添わせても本当の意味で理解することはできないだろう。でも、自分のことのように考えることはできるはずだ。男性だけじゃない、この物語に共感できなかった人、その人生たち、それぞれが知り、考える。
この苦しみにピリオドを打つには、想うよりも、"考えること"が必要だと思う。何が正しくて何が間違ってて、何が苦しみを生んでいて、誰が泣いているのか。
そしてあなたが私に対して考えるように、私もあなたに対してそうでありたい。
もっとも、この本が街の本屋に並ぶこの光景こそに意味があるのだと思う。
考えよう。
この本に対して、誰ひとりも共感などしないせかいを目指して。