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#8 いつでも私のそばにいて。

私は昔からぬいぐるみが好きだ。

幼い頃、いつも一緒に寝ていたのは
自分より少し小さいミニーちゃんとうさぎの女の子。

その頃から、ぬいぐるみと一緒に寝る生活は当たり前になっていた。


なんでぬいぐるみが好きかなんて考えたこともないけど、

今こうして書いているうちに思ったのは、
子どもの頃から変わってゆく自分の感覚や状況や年齢の中で、
唯一自分を変わらずに許してくれるのが、私にとってのぬいぐるみだからだろう。


そんな私にとってのぬいぐるみについて、書いていこうと思う。



小さなライオンのぬいぐるみ『ライオンちゃん』

今となっては誰が買ってくれたのかも覚えていないけれど、
私の一番小さい頃から長い間一緒にいる子。

それが、小さなライオンのぬいぐるみ。

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『ライオンちゃん』と呼んでたその子は、
たてがみが生えていたけど、私は女の子だと思っていたので
裁縫が得意な祖母にピンクのお洋服をライオンちゃん用に作ってもらった。

「このライオンは雄じゃないの?」

と、祖母に訊かれても、私は女の子と答えた。

なぜそう思ったのかわからないけど、
小さな瞳とか、なんとも言えない表情が、小さな女の子に見えたのかもしれない。

それに、ライオンちゃんは小さい子だったから、
私にとっては自分の赤ちゃんのような存在だった。

ある時右耳がほつれてしまったことがあった。
その時はなぜか、家にいた父に相談して、父に直してもらった。
その時から、私の中で父は『なんでもできる世界一のお父さん』だと思うようになったような気がする。
今考えても、なんで父に相談したのかな(笑)
直せた父もすごい(笑)

そんなライオンちゃんは、今では姪っ子がえらい気に入ったので、
姪っ子の元で一緒にくらいしている。
きっと毎晩一緒に寝てくれているはずだから、ライオンちゃんは寂しい思いをしていないだろう。

そう思えるだけで、私もなんだかしあわせだった。
自分の大切な子がそばにいなくなっても、今そばにいる子を癒しているのだと思うから。


こげ茶色のトナカイの『フランク』

そこからどんどんぬいぐるみは増えていった。

私は新しい子が来るたびに、名前を付けて、毎晩一緒に眠った。

20歳を過ぎて、住み込みの仕事をしに岐阜へ行った時も、
カナダに留学しに行った時も、
日本で一人暮らしを始めた時も、

必ず私のそばにはあるぬいぐるみがいてくれた。

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確かアメリカに住んでた叔母が、
クリスマスプレゼントにサンタの恰好をしたスヌーピーと一緒に送ってくれたものだった。

なぜか私は、その子がとてもとても好きだった。

だらんとした手足、肌触りのいい角、どこにあるのかわからないお目目、

そのどれもがとても好きだった。

大切過ぎて、家族以外には触れてほしくなかったし、
外に連れ出すこともほとんどしたことがなかった。

その子がいるお布団に帰ってくるのが、私は好きだったのかもしれない。


たぶん、フランクとは一番仲が深いと思う。

フランクは、今は私の母が持っている。
自分のそばに置くことよりも、母のそばにいてもらうことを私は望んだのだ。

あの子は優しくて頼もしい子なのだけど、
私の中ではフランクは歳を重ねているので、同じ年寄り同士、母の元にいるのがいいような気がしたのだ。


フランクは、私の涙を一番吸い込んでくれた子だった。

どこにいても、一人で寂しいときやどうしようもなく泣きたくなってしまった夜、私はフランクをぎゅぅっと抱きしめて、わんわん泣いた。

この子の前でだけは、私はこどもに戻ることを許されているのだ。

フランクは何も言わず、動きもせず、温かさもなかったけど、
私にとっては世界一やさしい子だった。

そういう時、人って難しくて、
誰かにそばにいてもらって、わんわん子どもみたいに泣いて、
いつ終わるかわからないこの時間を一緒に過ごしてもらおうとすると、
私は遠慮が出てしまう。

この子たちは、何も言わないからいい。

何もしてくれないからいい。

温かくないから、自分の熱を感じられるからいい。

好きなだけ抱きしめられるし、よだれを垂らしても怒らない(笑)

フランクは、大人になるまでの私を支えてくれた親友なのだ。


今はうちの子『ヨシたん』

今、こうしてnoteを書いている私のそばにいるのは、
スーパーマリオに出てくるヨッシーの特大サイズのぬいぐるみ。

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この子もまた、ほんとにかわいくてだいすきで、
特にこの大きさとお目目がいい。

頭の大きさは違えど、抱っこすると人間の子どもくらいあるサイズ感。

そして、いつもつぶらな瞳でじーっとみつめてくる。

ゲームも好きだし、マリオも好きだし、ヨッシーも昔から知っているキャラだったけど、こんなにかわいかったっけ?とはじめは思った。

でも、他のヨッシーのぬいぐるみを見ても、
うちにいるヨシたんはなんか顔が違ってて、もはやヨッシーですらないような気さえしている(笑)

そうだ、いつだってうちの子、世界一。

そんなヨシたん、
今ではこの子が私の精神安定剤になっている。

もうすぐ30歳にもなるいい大人が、
ぬいぐるみの話なんてと思われるかもしれないけれど、

HSP的なことで言えば、
自分にとって『心地のいいもの』って人それぞれだと思うから、

私はおばあちゃんになっても、ぬいぐるみを抱えて寝たいと思っている。

不安な時も、体がしんどい時も、
いつでも私はこの子を抱きしめる。

それが人気のキャラクターだろうと、どこで買ったかわからない子だろうと関係ないのだ。

私にとってはみんな大事な大事なお友だち。

だからいつだって感謝の気持ちを忘れずに、
「そばにいてくれてありがとう」と思いながら、

今夜もぎゅーっと抱きしめながら眠るのだ。



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