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拝啓 正社員様

派遣社員、アルバイト、外注、フリーランス……等々の立場で、皆さまと働く可能性のある身として、ひとこと申しあげます。

派遣社員、アルバイト、外注、フリーランスの人たちは「あなたの会社」と契約しているのであって、「あなた」と契約しているわけではありません。気のせいかもしれませんが、ときどきこのことをお忘れになっている正社員様とお会いすることがあります。

たとえば、フリーランスの場合、契約書をかわす相手はたいてい「会社(法人)」です。書類を用意したり、やりとりしたのはあなたかも知れませんが、あなた自身との雇用関係はありません。

派遣社員の場合はさらにもう一段階離れています。彼らは派遣会社と契約しており、その派遣会社があなたの会社と契約しています。やはりあなた自身が雇っているわけではありません。

にもかかわらず、フリーランスや派遣社員を指して、「使える」「使えない」等の発言をなさる正社員様がおられるようです。個人的には、人が人を指して「使える」「使えない」と評すること自体、大嫌いですが、100歩譲ったとしても、それをいえるのは御社の社長だけではないでしょうか。

正社員様のなかに実務ができない人がいて、せめて派遣社員、アルバイト、外注の管理でリーダーシップを発揮することで上司にアピールしようとするも、そもそも仕事ができないのでうまくまわせず、結果、非正社員を「使えない」と言って自らの責任を回避する。そのようなことは、ないでしょうか? ……いえ、きっと考えすぎでしょうね。

実務はできないけれど口だけはうるさい正社員様に対し、上司や先輩が派遣やアルバイト等、非正社員をいわば「あてがう」ことで、その正社員様が他の正社員様の仕事をかきまわさないようにしている場に遭遇したことがあるようにも思います。そんな正社員様に限って「忙しい忙しい」とおっしゃっていることが多いので、失礼ながら、内心、笑わせていただいています。

また、これも大事なことなので知っておいていただけるとありがたいのですが、派遣社員やアルバイト、外注の人たちのなかには、「正社員であること」に価値を見出していない者が多数います。

ですから、正社員様だけが参加する飲み会の話題や福利厚生について自慢げに話されても、あまりピンとこないのが実状です。もし、それをうらやましがっているように見えるとすれば、「これも仕事のうちだ」と、作り笑顔を浮かべているからでしょう。

大企業様とご縁がありますと、「大きな会社には非正社員にくだらないことをする役職があるのかな?」と思うこともしばしばです。

たとえば、故意に非正社員の仕事を邪魔するような行動をとる正社員様がいらっしゃるようです。

非正社員は社員じゃないとばかりにセクハラまがいの会話をする。ふいに大声を出す。物音をたてる。非正社員同士の仕事のやりとりの会話を遮る。あまりにも堂々としていらっしゃるので、こういう人なんだなと思っていると、たまたまその方の上司がいらっしゃったときには「ご迷惑おかけしました」と謝っていらっしゃったという話を聞いたことがあります。つまりその正社員様は、他人に迷惑をかけていることをご承知のうえで、音を立てていらっしゃったのです。

重ねて申しあげますが、非正社員の価値観は、正社員様のそれと異なる場合がありです。あわよくば正社員様に取って代わろうなどという考えは、毛頭ありません。どうか、我々を恐れることなく、あなた様自身のお仕事にまい進していただければと思います。

敬具


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