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思っていたより、自分はプレゼントをするのが好きらしい―ブックサンタ2023雑感

サンタさんからの最後のお手紙

「あなたも誰かのサンタクロース。」

その合言葉を見た時、私は子どもの頃サンタさんからもらった言葉が頭に甦りました。

それは小学校6年生のクリスマス。
「今年が最後のクリスマスプレゼントです。」
サンタさんからのプレゼントについていたお手紙にはこう書いてありました。(英語で書かれていたので、親に訳してもらっていた記憶があります)
そして、結びにはこんな一言。

「これからはあなたがサンタになる番です。」

当時小学校6年生の頭にはその言葉の意味もよく分からず、子ども時代の思い出はいつの間にか記憶の奥底に沈んでいたのですが、去年の冬、ある作家さんのSNSで「ブックサンタ」という言葉を見つけ、公式サイトを覗いたとき、ふいに浮き上がってきたのでした。

ブックサンタの詳細については運営元をはじめ多くの方が既にnoteでも言及しているのでここでは省きます。

児童向け文庫でも1冊500円は軽く超える、ハードカバーで装丁の凝ったものは2000円超えることはざら。後述する図鑑なんて本好きからすると「このサイズと情報量と印刷の綺麗さで3000円弱?!コスパ良すぎかよ!!」と思ってしまいますが、確かに食べ物や衣服などと比べたら優先順は後回しになってしまうのは分かります。
それでも、本って一度手元に置けばサブスクのように月ごとに料金を払う必要も無ければデータ容量も気にせずに楽しめる、ある意味とても「コスパ」の良い娯楽。そして何より子どもの頃に出会ったお気に入りの本は、何度も読み返して心に残るもの。
難しいことは何も必要なくていつも書店で買い物をするように、プレゼントしたい本を選んで、その1冊が誰かの人生を少しでも楽しくして、書店と出版社と作家さんの売り上げにも貢献できる―なんて素敵な取り組みなのだろう!と昨年も参加しましたが、今年は提携書店が大幅に増えたので参加回数もプレゼントする冊数も増やすことができました。

以下、今年私がプレゼントに選んだ本の中から一部をここでご紹介します。

小さいころお世話になったアイツ

実を言うと、小学校低学年の頃の私は本をほとんど読まない子どもでした。そんな私でも好きで読んでいたのが「かいけつゾロリ」シリーズ。
最初の方の刊は図書館にもあるだろうなと思いますが、最新刊は地元の図書館で予約数十人待ちだったことを思い出し、平積みになっていたこの刊をチョイス。

楽しんで学べる本

雑学系の本や図鑑も人気だということで選んだ本たち。
久々に児童書売り場をじっくりと見ていると、その充実ぶりに驚かされます。
先ほど食べ物や服に比べたら本は後回しになるのも無理はないと書きましたが、本から得た知識って無くしてしまうこともなければ誰かに盗られることも無いんですよね(知識の性質によってはアップデートも必要ですが……)。今の子どもたちは世間を生きていく上で大事な知識や、すぐに役に立つものでなくても知っていると一生楽しめる知識を楽しく身につけられる本が沢山あって羨ましいなと思います。
大人が読んでもためになりそう。親御さんと一緒に楽しんで読んでくれるといいな。


気付くと自分も救われていた

実は、この数カ月私の周囲でちょっと、いやかなりしんどいことがありました。ネガティブな気持ちが自分の中でグルグルと渦巻いて、どうしようもなく心が押しつぶされそうになることも一度や二度ではありませんでした。
それでも、SNSでブックサンタに参加した人々の投稿を読むと、まだまだ世の中には優しい気持ちを持った人が沢山いるのだなと思えました。また、しばらくご無沙汰していた児童書売り場を巡り歩くと「最近はこんな本が人気なのか~」「この作家さんのシリーズまだ続いているのか!」とたくさんの発見があって心が浮き立ち悲しい気持ちを紛らわすことができました。
そして、誰に届くのかは分からなくても、相手の喜ぶ顔を想像しながらプレゼントを選ぶ、このプロセスが自分は思っていた以上に好きなのかなと感じました。「こんな自分でも誰かを喜ばせることがまだできるかもしれない」そう考えると、冷え切っていた心が温もりを取り戻してきたように思えました。月並みな表現かもしれませんが、誰かを幸せにしようとする思いは、自分も幸せな気持ちにできるのだなと感じました。

以下は次回に向けた個人的な覚え書きです

・確実に贈りたい本は早めに注文して取り寄せる。

今回は特に最初からこの本にしようと決めていたわけではなく店頭で実物を見てから贈る本を決めていました。
それはそれで店頭で色々悩むのは何とも楽しい時間です。
が、
後から「そういえば昔読んだあの本良かったな〜あれもブックサンタでプレゼントしたいな〜」と数冊思いついても、調べてみるといつの間にか絶版になっていたり取り寄せに数週間かかるとのことだったりと、今年は諦めざるを得ませんでした。
本の流通サイクルはとても短い。その傾向は年々加速しているように感じます。人気作家さんの本であっても刊行から数年経ったものは店頭に置いていないことも珍しくありません。
なので、来年は受付期間が始まったら確実に贈りたい本はすぐに取り寄せようと思った次第です。

そして、注文をかけることで「この本はまだまだ需要がありますよ!!」というメッセージが本屋さんや出版社に伝わって、本の寿命が延びるのならば本好きとして嬉しいかぎりです。


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