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ティーン⇒ 20代で体重が減少??これってヤバくないか

最近、突発的な身体の不調や中期的なコンディション不調を感じる機会が増えたこともあり、心身の土台を整える試みの一環として、カロミルというアプリで食事内容をウォッチする生活を始めている。
私が平均体重よりもかなり痩せ型ということもあり、カロリーや各種栄養素の目標値算出のため、厚労省が5年おきに策定している『日本人の食事摂取基準』を読んでいるところだ。


とんでもないデータを見つけた

自分の目標値をおおよそ算出できたのはいいが、その途中で気になる記述を目にしてしまった。「Ⅱ 各論」のエネルギーの章で、参考資料として付されていた内容の中にそれはある。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 p.79

18〜29 歳女性の参照体重は 15〜17 歳より少ないため、15〜17 歳の参照体重を用いて算出した。

ええ〜〜!?そんなことある?嘘だろと思いながら、私は参照体重の載ったデータを探した。本当だった。。15〜17歳女性の参照体重「51.9 kg」に対し、18〜29歳女性のそれは「50.3 kg」とのこと。
15〜17歳といえばちょうど高校生の時期とかぶるだろうか。たしかに高校生は育ち盛りかもしれないが、とはいえ20代の大人の方が体重が大きくなるのが普通ではないだろうか。
現に、同じ箇所を男性側で比較すると、15〜17歳→ 18〜29歳で5kg近く値が増えている。いやまあ、そりゃそうでしょうね。


この体重は何を意味するのか

さて、もう少し注意深くこの数値を深掘りしてみたい。それは「参照体重」が何を意味しているか、という点だ。

再度『「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書』内を検索すると、「Ⅰ 総論」の中に手掛かりがあった。
「参照体位(参照身長、参照体重)」の表の下にある注釈を読むと、細かい調査発表主体は異なるものの、当該の性および年齢区分における「中央値」を用いているようだ。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 p.11

中央値(median)は「平均」とは異なり、すべての値を大小順に並べたときに中央にくる値のことだ。つまり、18〜29歳女性の参照体重50.3 kgを例にとると、調査結果の中で50.3 kgより体重が軽い人と50.3 kgより体重が重い人が、それぞれ同数いるという解釈になる。
無論、各年齢の総数は異なるし、この調査結果はとある年(タイミング)のスナップショットに過ぎない。今18〜29歳の人が15〜17歳だったのは5年前や10年前なので、追跡調査のように年代を遡って分析すれば、別の景色が見えてくる可能性はゼロではない。
ただ、体重のトレンドが短期間で大きく変化するという事態は通常考えづらいし、高校時代から体重が横ばいあるいは減っているという20代女性が相当数いるであろうことは否定できないと思われる。


グラフ化してみた

さて、ここまで体重にのみフォーカスを当ててきたが、もう少し視野を広げてビジュアライズしてみたいと思う。
たとえば、さきほどの年齢区分の間で身長が小さくなってるようなことがあれば、体重も減るのは自然なことだ。あるいは男性においても同様の傾向が見られれば、女性に特異な事象ではなく、別の広い影響要素がある可能性がある。

今回は、前述の参照体位の表をスプレッドシートに転記し、そこからグラフ化を試みた。
注意点として、まず年齢区分はグラフで表しやすいよう、中央値をとった。3〜5歳の場合は3.0歳から5.9999…歳の区間なので、両端からおおよそ等距離にある4.5歳を代表値(中央値)として用いている。そして、1歳未満と75歳以上は本ケースにおいて重要度が低いかつ扱いづらいため、グラフ化にあたっては除いている。
また、身長・体重ともに変化がやや捉えづらい点が気になるが、特定の目盛り範囲を切り取ると意図的でなくとも偏ったデータ解釈が起き得てしまうことを考慮し、今回はグラフのセオリー通り最小値をゼロとした。

まず、各年齢区分をシンプルに横並びにしたグラフが以下である。
黄色の男性体重は緩やかな放物線を描いているのが分かる。一方、緑色の女性体重は24歳(18〜29歳の年齢区分)がペコっと突然下がっているのが見て取れる。就業率? で有名なM字カーブを彷彿とさせる。
女性身長のカーブが男性に比べやや下がっているように見えるものの、元の表を確認すると男女ともに高校生よりも20代の方が身長はやや高くなっている。

折れ線の身長は左軸、棒の体重は右軸

ここで、上記グラフの問題点に触れておきたい。それは横軸(年齢中央値)の目盛り幅が適切ではないことだ。隣との差分が2歳のところもあれば、16歳も離れているところもある。これは適切な身長・体重の変化カーブを描くという点で問題がある。
できればグラフの編集機能で調整したかったができなさそうだったので、今回は0.5 歳刻みで空のデータを挿入することで、適切な目盛り幅を実現することとした。

それが、以下のグラフである。
いかがだろうか。不格好で見づらい仕上がりとはなったが、各年齢階級の距離感を考慮するとこのような見た目になる。
再度元となった表を見てもらうと分かるが、20歳手前までの成長期のデータは数か月〜数年刻みで細かく示されているのに対し、大人になった途端非常に粗い年齢幅でデータが示されているので致し方ないところではある。
17歳までと18歳からでデータ参照元が異なること、また食事摂取基準を策定する上で、一通り成長を終えた後の大人と急激な成長期にある子どもでは必要なデータの精緻さが異なることなどが、要因として想像されるだろうか。

折れ線の身長は左軸、棒の体重は右軸

いずれにしても、20代女性の体重がペコっとへこんでいる点についてはやはり違和感があり、さらなる情報収集が望まれるところだ(女性ホルモンの影響も考えられるのかなど)。
※ 時間と気力の関係上、このnoteではこれ以上の深掘りはやめることとする。


若年女性(ティーン後半〜20代)の健康を考える

最後に、このような体重減少が発生している背景として何が考えられるか、いくつか思い浮かぶものを挙げておく。

若年女性の身長・体重や健康状態に関しては、各国データや人種・遺伝的特性、食事内容のトレンドなどを加味する必要がありそうだが、1つ言えるのは日本社会の女性における「体型」や「体重」への意識はとてつもなく強い可能性があるという点だ。
アジア人、特に日本人は痩せ型の人が多い傾向にあると記憶しているが、若年女性においては芸能人やモデルへの憧れや各種の抑圧などが影響し、特に熱心に痩せようとする傾向があるはずだ。医学的に見れば十分痩せているにも関わらず、さらに痩せようとダイエットに励む女性たちは多いだろう。
私は時々献血をしているが、献血では数々の事前チェック項目があり、採血もその1つだ。以前何かのニュースだっただろうか、若年女性で血液の比重? が足りず断られるケースが多いと耳にした気がする。ダイエットや食事制限等によってもたらされる、いわゆる栄養不良が影響するもののようだ。

これは、1人の人間として何らかの心身不調の可能性を高めるリスク・社会活動への影響だけでなく、特に出産を望む女性にとってはお産の安全性や胎児への影響を憂慮せずにはいられない事態である。


言うまでもなく、人生において身体の健康は超重要項目である。
この社会においてみんなの健康をどう底上げし、危険ラインを超えないようにアシストしていくのか。考え行動していくことが必要かもしれない。


'24/09/16 最終更新

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