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「雰囲気の魔法」を使いこなせ


今回の記事では「雰囲気」がいかに強力で、
人を惹きつける力があるのかを僕の経験から説明します。
僕の個人的な経験なんて読みたくない方がほとんどだと思いますが、
最後には介護スタッフやリーダーの方に知っておいて欲しい
「雰囲気の魔法」の話をしますので、そこまで我慢して読んで
いただけると幸いです。




「場の空気」に合わせ続けてきた学生時代


僕は小・中・高までずっと地元の学校に通っていました。
ど田舎なので高校は1校しかなく、市外の高校に行く人は
数人しかいないので、大体の中学生はその地元の高校に進学していました。
「どんなに成績が悪くても入れる」と当時から言われていましたが、
「地元の高校だから」という理由で入ってくる中学生がほとんどでしたから、
頭がいい人も悪い人も混じりあっているので実は平均的で素朴な高校だったと思います。

僕のように小・中・高と地元で過ごした人ならわかると思うのですが、
地元には地元のノリというものがあり、それから少しでも外れると
仲間外れにされるような閉塞的な雰囲気がありました。

まして僕の通っていた中学校は1学年10人ほどしか生徒がいませんでした。
高校は1学年に3クラスで、1クラスに30人の生徒。
高校で生徒数は少し多くなりましたが、それでも一般的に見れば少ない方だと思います。
このような少人数の生徒しかいない環境で仲間外れになると、
新たに仲間になってくれる人やグループを探すことも難しくなります。
例えば、1学年10人の中学校のクラスで仲間外れになると、転校などしない限りは
3年間仲間外れのまま中学校生活を送らなければなりません。
だからこそ仲間外れになることは死活問題だったわけです。

気がつけば僕は「地元で仲間外れにならないための戦略」を実行していました。
それは次のようなことでした。

■地元のノリに合わせる
■なるべく目立たない(出る杭は打たれる)
■人気者・ムードメーカーと仲良くする

これらを一言で言えば「場の空気に合わせる」という戦略でした。
ただ、僕は本来は空気を読まずに、人と違うことでも
黙々とやり続けられるタイプの人間でした。
なので僕は本来の性格を押し殺して、社会で生き残るために
仲間外れににならない戦略を立てて実行していたのです。
これはまさにお金のために少々嫌なことも我慢して
朝から晩まで身を粉にして働くサラリーマンの姿と同じでした。
(サラリーマンは偉いですし、僕も自分の人生を卑下しているわけではありません)

しかし大学に入ってから状況は一変しました。
僕の行っていた大学は東京のような大都会ではないですが、
田舎育ちの僕からしてみれば都会に近い場所で、それなりに賑やかな場所にありました。
結論から言えば、大学に入ってからは
「場の空気に合わせる」という戦略が取れなくなったのです。
大学ではいろいろな地方から、それぞれの地方の固有のノリが持ち込まれます。
だから僕としては「どのノリに合わせればいいのか」と常に悩まされることになりました。
要するに、今まで場の空気に合わせて人間関係を築いてきた自分ですから、
「決まった場の空気が存在しない」大学でどう振る舞えばいいのかわからなくなったのです。
僕にとっては大学のキャンパスですれ違う人が全て個性的に見え、
一方で自分らしさや個性のような「核」になるようなものを僕は見失っていました。

このような大学生活を過ごしていたある日から、異変が起き始めました。

大学のキャンパスやスーパーやカフェや駅のホームなどで、知り合いから
声をかけられる場面があると思います。そのような時に決まって鈍い頭痛が
起きるようになりました。
また、電車に乗っている時に他人の目線が気になるようになり、ひどい時は
汗が止まらなくなり電車を途中で下車してしまうこともありました。
おそらくパニック発作のようなものだったのだと思います。
このようなことがあったので、僕はどんどん人間を避けるようになりました。
なので、大学では友達という友達もできませんでした。
また、このような症状があったため僕は大学を半年留年し、就職活動をしないまま
大学を卒業することになりました。




そしてまた地元へ


このような経験をしたら普通は、
「場の空気に合わせすぎるのは良くない」
というような結論にたどりつくことが一般的だと思います。

ですが僕には自分らしさや個性といった「核」となる部分がなかったので、
「自分自身に従って生きることを諦め」ました。
この時に「諦めた」ことで、ものすごく楽になったことを覚えています。

「諦める」というのは「明らかにする」が語源だそうです。
僕がその時に「明らかにした」こととは、
僕には「核」となるものがなく、何か特別な才能があるわけでもなく
「場の空気に合わせて生きるしかない」
ということでした。

「自分自身に従って生きることを諦め」、
「場の空気に合わせて生きる」ことを選択したことは、
僕にとっては大きなターニングポイントとなりました。

「場の空気に合わせる」ためには、大学生活での経験から
いろいろな人が集まる大規模な場所はダメだとわかり、
僕は地元に戻る決断をしました。




僕を救った地元の「雰囲気」


「場の空気」は「雰囲気」とも言い換えられます。
僕が地元に戻ったのも「雰囲気に惹かれた」からという理由が大きくありました。
僕の地元は田舎で何もないところではあるけれど、
その分自然が豊かで、人々は競争を好まず穏やかに暮らしています。

一方、たくさんの人が集まる都会では、自分らしさや個性といった
自分の「核」を明確に持った人が集まる傾向にあると思います。
また、都会はお金や物やステータスなど、社会的な立場を上へ上へとあげていくような
「上昇志向の雰囲気」がある場所だと考えています。

僕はそのような競い合う場所で生きていくのは自分には無理だと思ったのです。
だから「ただ、なんとなく生きているだけ」の自分は
「がんばらない雰囲気」がある地元に戻ることにしたのです。
僕は今、生活のために働き、趣味のゲームをしたりアニメを見たり
ときどきnoteを書いたりして、自分らしく生きていられています。
このように穏やかに過ごしていられるのは、
「がんばらない雰囲気」のある地元に戻ってきたからだと思います。
僕は地元の「雰囲気」に救われたのです。




雰囲気の魔法


お祭りの屋台で食べる軽食や、
温泉あがりに飲む飲み物やアイスや、
バーベキューがおいしい理由に共通していることがあります。
それは「雰囲気」です。
「雰囲気」がある場所では、人はより一層楽しむことができます。
場合によっては自宅で一人で食べる高級料理よりも、
お祭りの屋台の軽食や、温泉あがりのアイスや、
バーベキューの方がおいしいこともあるのです。
ディズニーランドが何年経っても「千葉の遊園地」ではなく
「魔法の国」として成功し人気が絶えないのも「雰囲気」があってこそのものです。

「雰囲気」は「魔法」のようなものだから。
魔法がかかれば、かぼちゃの馬車も黄金の馬車になります。

そういえば、僕が小学生のとき何かの行事で友達のお父さんが
校庭でクラスの生徒みんなに焼きそばを焼いてくれたことがありました。

このような時、友達のお父さんが作ってくれた焼きそばに対して
いちいち細かい文句を言う人がいるでしょうか?
よっぽど肉や野菜が生焼けだとか、味が薄すぎる・濃すぎる
というようなことがない限り誰も文句は言わないと思います。

また、友達のお父さんも特段やる気があるわけではないかもしれません。
ある人は仕事で疲れた体で焼きそばを作ってるかもしれませんし、
ある人はビールを片手に呑気に焼きそばを作っているかもしれません。
でも、そんなやる気のない友達のお父さんが作ってくれる焼きそばでも
校庭で友達や、友達のお父さんお母さんみんなと一緒に食べると、格別においしいのです。
なぜなのかというと、ここでも「雰囲気の魔法」が働いているからです。
焼きそばの美味しさや、作る人のやる気なんかよりも
「楽しめる雰囲気」がそこにあれば、悪いところは目に入りません。




「雰囲気の魔法」を使いこなせ


ここまで書いてきたことを介護スタッフやリーダーの方が
仕事に応用できる話にまで落とし込んでいきます。
(やっとここまで辿り着きました。パソコンに向かいすぎて腰が痛いです)

一度職場の「雰囲気」が作られれば、人はそれに合わせるようになり
その「雰囲気」に合うような人が集まってきます。
陽気な職場には陽気なスタッフが、
互いを認め合う職場には優しいスタッフが、
互いを貶し合う職場には攻撃的なスタッフが集まります。

僕が思う素晴らしい職場というのは、
「スタッフがやりがいを持って働ける職場」です。
そのためにはやりがいを感じられる「雰囲気」を作ることから
リーダーが始めなければなりませんので、
デイサービスに勤めていた頃は「雰囲気作り」のために
いろいろな工夫をしていました。

スタッフとの定期的な1対1の面談。
自己評価シートに記入してもらいスタッフと一緒に
できているところ・できていないところを確認。
スタッフ一人一人に目標を立ててもらう。
そのために自分のwill(目標)、can(できていいること、強み)
 must(目標達成のためにしなければいけないこと)を
シートに整理してもらうなど、たくさんのことを行いました。

「スタッフがやりがいを持って働ける職場を作りたい!」
と言いながら、僕も「やる気がない人間」です。
できれば楽をしたいし、辛いことは避けたい。
(だって、「がんばらない雰囲気」の地元に戻ってきたくらいなんだから)
でも目の前の利用者さんが困っていたら手を差し伸べたり、
「こうしてあげたら喜ぶ」と分かることをしっかりやり切れるような
そんな職場が最高だ!と心から思っています。

そのためにはいくらやる気のない個人に向かって
「やる気を出せ」と言っても無駄なんです。
できないことを「やれ」と言われても無理なんです。
じゃあどうすればいいのか。
勘のいい方ならもうお分かりですよね。
やる気のないおじさんが焼きそばを焼いても雰囲気が良ければ、おいしいんです。
ちょっとくらい味が悪くたって誰も文句は言わないんです。
僕みたいに「やる気がない人間」でも、魔法がかかったかのように
その職場で働いているだけで「やる気に溢れている人間」に見えるような
そんな職場を「雰囲気の魔法」で作ることができるんです。

つまり「雰囲気」がスタッフを引っ張ってくれるので、
最初に「いい感じの雰囲気」さえ作ってしまえばオールOK。

「いい感じの雰囲気」さえできてしまえば、
そこの職場はお祭り会場やディズニーランドさながら。
スタッフも利用者さんも誰もがウキウキするような
まるで魔法にかかったような職場になると思います。

今のあなたの職場の「雰囲気」はどんな感じですか?
そして、どんな「雰囲気」の職場にしたいですか?
よかったらコメント欄で教えてください。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



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