素描という技
久しぶりに、家の周りで風景の素描をする。
木の葉が落ちて、交叉する枝が良く見えるこの時期が好きだ。
素描というのは、自分が何を見て感じているのかを、描くことで確かめるというような感覚があって、面白い。
知らない自分が見えるからだろう。
結果を求めているのではなくて、瞬時に移り変わっていく自分を、見極めている感覚を維持することが目的だ。
描きながら、ふと池大雅に真景図と称する物が多いことを思い出す。
彼にとっての真景図は、大陸の古典に習った雪舟様式でもなく、明清風の表現主義的気分とも異なる。まして西欧の一点透視図法ではあり得ない。
となると、何なのか。