見出し画像

【大撃沈】チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン(4 Lakes)その①

2023年4月16日、表題の大会に参加して無事(では無いが)完走してきたのでいつものように詳しすぎるレポート。

ウルトラマラソンとは、普通のフルマラソン(42.195km)より長いマラソン全般を指すが、一般に100kmの大会を言うことが多い。大会は日本中で開催されていて、有名どころではこの富士五湖以外にサロマ湖、野辺山、飛騨高山、丹後、白川郷、宮古島、葛飾柴又、茨城鹿行など枚挙に暇がない。それほどにウルトラが好きな人が沢山いるということの証左でもある。

エントリー

元々、自分はウルトラにはあんまり興味はなくて、というか興味はあるにはあるんだけど「そこまでやらなくても・・・」とか「まあ、その内にチャンスがあれば、いつかは出るかな」くらいの位置付けだった。そのまま行くと一生出ないパターンの思考である。

しかし、トライアスロン仲間にウルトラを10年以上続けていて100どころか150とか200とかの大会に出るような変なすごい人(知り合いなら書かなくてもわかると思いますがM上さん)がいて、毎年その人の話を聞いてるうちに次第に「出るのが当たり前じゃん?えっまだ出てないの?」みたいなおかしな思考が伝染しつつあった。

とは言え、自分の本分はあくまでトラ屋であってウルトラ屋ではない。そのための練習もしてないし、普通のマラソンも含め年中大会だらけでウルトラの入る余地などなかった。しかし今年は「出る気満々」だった四年ぶりの宮古島に落選してしまい、4月の予定がポカーンと空くことになった。

その時偶然、チャレンジ富士五湖が「宮古島と同じ日に開催される」事を知る。そしてまだエントリー期間中である事も。天啓かな、と思った。次の瞬間、後先考えずポチッとしていた。

練習

それまで「ウルトラ用」の練習など何もしていない。何をどれだけやれば良いかも分からないし、自分がウルトラでどこまでやれるのかもサッパリわからない(だからやるんだけどね。どうなるか予測のつくことなんて面白くない)。

さらに3月下旬の板橋まではフルにフォーカスした練習をしたいから、ウルトラの準備ができるのは実質三週間だけだ。いろんな人のブログやらYouTubeやらを見るとやはり事前に60kmや80kmといった「超ロング走」を実施している人が多かった。

しかしさすがにもう3週間しかない状況であまりに酷いダメージを負うのも考えものだ。日曜のJETTエンデュランスライド(アップと含めてだいたい120は走る)の後のブリックランでなるべく距離を踏むことで代替にしようと考えた。

しかし結局3週間前は板橋のダメージが抜けきっておらず、ハーフで撃沈。2週前に30kmを5分50で、1週間前にハーフを5分半でまとめ、あとは運を天に任せるしかなかった。そのほかの日は適当にジョグをしたり、ビルドアップをしたり(いずれもライド前後)。

まぁ、どう考えてもウルトラの前の練習としては走り込みが不足していたが、自分も一応アイアンマンの端くれであるからして、最低限完走はできるだろう。あわよくば10時間台とかのちょっといい成績も望めるかな?などとこの頃はウルトラのことを何も知らないウブなオッサンであった。

アレルギー

さて突然出てきた「アレルギー」の話。数年前から悩まされている、いわゆる「アトピー性皮膚炎」。なぜか両手の中指と薬指「だけ」が荒れるという不思議な症状で、もちろん何度か皮膚科にも掛かったのだが、いつも保湿剤とステロイド軟膏で様子を見ましょうとなるだけ。根本原因が不明だからいつまで経っても治らない。内臓の環境を整えるために食い物を工夫したりしているが、決定打が見つかっていない。ストレスのせいかもしれない。

症状が緩和しているときは普通に過ごせるのだが、時折悪化することがあり、そうなると激しい痒みに襲われ、寝ることもできない。痒みというのは恐ろしいもので、掻くことで憎悪するため、最終的に皮膚がボロボロになり痛くて耐えられなくなるまで掻きむしってしまう。

こうなると、痛みに耐えながらぼろぼろの皮膚が修復されるまで最低でも数日〜1週間はかかる。今回、最悪なことに直前にこのBad cycleに陥ってしまった。金・土・日で計5時間くらいしか寝られないという酷い有様。普通だったら「ああーもうサイアク!!なんで俺がこんな目に」などとなるところだが、これまでにもいろいろとサイアクな目に遭い続けて来たので「なったもんはしょうがない。今できることをやるだけ」と割りきることができた。

実際、前もどこかで書いた気がするが、初ロングだった2016の五島でも前日は一睡もしていなかったがレースはちゃんと完走した。大丈夫。どうにかなる。とはいえ、前日の夜もやっぱり掻きむしってしまった指は、当日の朝「サイアク」の状態であった。

前日〜宿泊

今回は嫁さんに「俺、ウルトラに出ることにしてん」と言ったところ「なにそれ面白い!見に行く見に行く」ということになった。えー早朝にスタートしたら夕方まで帰ってこーへんねんで?「そんなんトライアスロンも一緒やし。100キロも走ったあんたがどうなんのか興味深い」・・・

それなら前日から近くで泊まりましょうということで、せっかくなので30年来のおつきあいである山中湖の「ぱうぜ(阿部寛的なサイトが見られます)」さんに泊まることにした。そこから会場の北麓公園までは高速にのればものの20分で着く、なかなかのロケーションである。

土曜日はいつもの週末の買い物ルーティーンを済ませ、試合の準備を万端(たぶん・・・)整えて出発した。まずは会場の北麓公園に行き、参加賞のTシャツの引き換えと会場の下見である。以前北麓公園に来たのは自走でスバルラインに登った10年くらい前のことだが、かすめただけなので今回の会場についてはまったく不案内である。

富士五湖だけでなく、ほかの大会との合わせ技みたいなTシャツ

着替えエリア〜荷物預け〜スタート・ゴール地点などを確認後、翌日のシャトルバスの運用について念のためスタッフに聞いたところ、応援に来た人は当日9時になるまで駐車場行きのバスに乗れないことがわかった。4時半にスタートを見送って、何もない会場でどうしろというのか?

仕方がないのでスタート見送りは断念した。当日は会場に自分だけドロップしてもらってそのまま宿に帰ってもらい、あとは適当に近いところで少し観戦して、ライブタイミングをみながら頃合いを見計らって迎えに来てもらうことに。その間は宿の近くの100均などで楽しく時間を過ごせるからノープロブレムだそうだ。

その日は冷たい雨がしとしとと降り続いていた。昨年の大会もこんな天気だったらしいが、今年は幸運にも明日の試合当日は早々に雨は上がり、最低気温もせいぜい10度前後、日中は20度にも達するそうである。これは防寒や雨天の装備を検討しなくて良いのでずいぶん気が楽である。

その後は宿にチェックインする前にスーパーで晩飯と翌日の朝飯の買い出し。ぱうぜさんではコロナ以降お食事の提供をやめてしまったそうなので、食い物は全部持ち込み。それはそれで気が楽で良い。豚重におにぎり、さらにミニうどんもつけてガッツリローディングしておく。あとは飲み物や追加の補給の買い足し。

チェックインして装備の準備。なにぶんウルトラに出るのは初めてだから、何をどれだけ用意したらいいのか未知数だったが、トライアスロンに比べると断然楽ちんである。絶対に忘れてはいけないのがゼッケン・タイミングチップ・マイカップ・マイボトルを装備すること。あとはシューズ・ウェア・補給食さえ適宜あれば良い。エイドは非常に充実してるとの噂なので、補給食は最悪なくてもどうにかなる。

ひとついつもと勝手が違ったのが「4時半スタート」という点だった。トライアスロンのスタートは早くても6時だからいつも3時起きには慣れているが、今回はいくら準備がランだけとはいえ2時には起きないといけない。とすると晩飯は夕方の5時には食ってさっさと寝るに限る。その日はなにもかも普段の2時間「巻き」で動くことになった。

少し寝てからしばらくして指を掻きむしってしまったあとはろくに寝付けず、痛み止め(かゆみも緩和される)をのんでしばらくうつらうつらしたと思ったらたちまち2時のアラームが鳴った。ボロボロになった指に傷保護フィルム(予期していたので持参)をベタベタに貼り付け、あとは痛みに耐えながら覚悟を決めて行くしかない。とはいえ、ロングのトライアスロンの朝のような悲壮な感覚はなかった。後で指の痛みなどどうでもよくなることを知らなかっただけなのだが・・・

会場へ

嫁さんに運転してもらい、会場へ向かう。ところが、高速の河口湖インターを降りた途端大渋滞が始まった。どうやら参加者が駐車場に入ろうとして詰まっているようだ。あまりに進みが遅いのでこのままでは準備が間に合わなくなる恐れがある。一計を案じ、「ぐるっと回って他の道から直で会場前に行ける。Uターンしよ」・・・正解だった。なんとその渋滞が起因して多くの選手の会場入りが遅れ、制限時刻が緩和されたことを後に知った。結果オーライとはいえ、そんなことで気を揉みたくはない。

出るのがちょっと遅かったこともあり、結局会場に着いたのは3時半頃で、すでに4時スタートの118キロ部門の整列が始まりつつあった。大丈夫。30分もあれば準備はできる。落ち着いていこう。体育館の着替えエリアで残りの準備を済ませ、バナナ食ってジェル吸ってBCAAの粉も飲んでタイミングチップつけて、残りの荷物を片付けて預ける。万端整った。あとは走るだけだ。

4時になり「100キロ、第一ウェーブの選手は整列してください」とのアナウンス。ボチボチと待機場所に向かう。気温は予報通り10度前後とのこと。カッパもゴミ袋も必要なく、上はJETTの半袖ロードジャージ、下はいつものランパン。ソックスはタビオ、シューズは東京チャレンジマラソンから実戦投入したマジックスピード2だ。

今年は4年ぶりに国際エントリーを開放したので、さまざまな国からの参加者がいるとのこと。参加者数は118キロ、100キロ、62キロを合わせて3千人超。ちょっとした地方都市のマラソン並だ。さすがに30年以上の歴史を誇る大会だけのことはある。

それにしても未体験のレースに挑戦する割には、まったく緊張感がなくいつものマラソンと同じ気分だった。ちょっと朝早いだけ。この時はもちろん、その後の地獄の時間のことなど(もちろん想像はしていたが)知る由もない。そのうちにぞろぞろとスタート地点へ移動し、カウントダウンを経て4時半。ついに人生初の100kmウルトラマラソンがスタートした。

つづく


いいなと思ったら応援しよう!