脱Notesのフェイクニュースにご注意を!
2022年にHCL社から古いバージョンであるV9、V10のサポート終了が発表された以降、インターネットでNotesを検索すると、『Notes/Dominoが2024年にサポート終了!』、『迫る脱Notes!気になる移行先は?』このようなタイトルで脱Notesを煽るネット記事を多く見かけるようになりました。
もし、これらの記事を読んだことがあり『移行先はともあれ、とにかくNotes/Dominoから移行しなければ』と危機感を感じた方は、ぜひこの記事を最後まで読んでいただきたいです。
HCL社によるプロモーションが弱い為か、Notes/Dominoを利用している企業のシステム担当者の方でさえ、最新情報に詳しくないことが多々あります。
また、最新情報は届いているが、自社ビジネスへ有効活用する方法が分からず、昔からある一部の機能しか活用出来ていない企業も多くあると実感しています。非常にもったいないことです。
それはさておき、先の記事を読んだNotes/Dominoの有識者は、以下のようなことを感じたでしょう。
・Notesを勝手に終わらすな!
・Notes/Dominoの動向を知らない、誤った認識の方が書いている
・自社サービスの為の悪質なフェイクニュース
この記事では、脱Notesを検討する際、フェイクニュースに踊らされない為に知っておくべきNotes/Dominoの新常識をご紹介します。
Notes/Dominoは終わらない
まず、1番の誤認を招く書き方がされているのが「Notes/Dominoサポート終了」です。2024年6月にサポートが終了するのは、あくまで古いバージョンであるV9、 V10です。
しかし、サポート終了を謳う記事では、新バージョンの存在には触れず、読者がNotes/Dominoという製品自体が終了すると誤認を招くような表現がされています。
WindowsやOffice製品ですら、過去バージョンのサポートは当然に終了していきます。特にV9に関しては、2013年4月にリリースされてから10年、IBMからのHCL移管後も約5年間もの間サポートされていることは、むしろ評価に値するのではないでしょうか?
最新バージョンはV14
Notes/Dominoは毎年のようにバージョンアップがされており、2023年12月には、V14がリリースされています。最新バージョンの利用にあたり、追加ライセンスは不要です。現在有効なライセンスを保有していれば、そのまま利用することが可能です。
また、アプリケーションの互換性に関しても、V9、 V10からのアップグレードであれば特に大きな問題はないと公表されています。
※JVMなどDominoに組み込まれているJava環境も更新されている為、XPageやJavaエージェントについては、動作確認をした方が良さそうです。
モバイルやWebブラウザに対応している
「モバイルやWebブラウザからNotes/Dominoは利用できない」と記載されている記事もありますが、これも嘘です。
Webブラウザからの利用に関しては、2000年頃からすでに対応しています。2010年頃にはXPageの登場でより簡単に高度なWebアプリケーションの構築が可能でした。ただ既存のアプリケーションをXPageを利用してWeb化する為には、別途Web用の画面の構築が必要でした。
2019年以降は、モバイル版やWebブラウザ版のNotes Clientである『Nomad Mobile』や『Nomad Web』がリリースさたことにより、既存のNotesアプリケーショがそのまま利用可能となっています。
このように、Notes/Dominoは近年のテレワークやリモート環境にも対応している製品と言えます。ただ、これらを有効活用できていない企業が多いことも事実です。
クラウドに対応している
Dominoサーバーは必ずしもオンプレミス環境である必要はなく、AWSやGCPなどクラウドプラットフォームに環境を構築することも可能です。
また、自社でサーバーを管理はしたくない場合であれば、HCL公認のMSPを利用することも選択肢としてあります。
UIは簡単にモダナイズ可能
機能面では不満がなくとも 、Notesが古臭いシステムと言われる原因の1つが、時代遅れになりがちな各Notesアプリケーションのデザインです。
これは製品の問題というよりは、Notes技術者のデザインセンスによるところが大きいでしょう。また、企業のHPやWebサービスのよう社外向けのものであれば、定期的にトレンドに合わせてリニューアルがされますが、社内向けの業務システムであるNotesアプリケーションについては、多くの利用者が古臭いと感じても、機能的に問題がなければ、わざわざデザインのリニューアルがされないのが実情です。
Notesアプリケーションのデザインのコツがわからない場合は、以下のリンクの情報を参考にするとよいでしょう。設定を少し変更していくだけで、ずいぶん印象がよくなります。
HCL社もこの見た目のモダナイズ問題に取り組んでおり、Domino Restyleという、アプリケーションのUIリニューアルを簡単な操作だけで行える機能も提供されています。(Nomad Webから利用)
最後に
企業の規模や社風などが様々な為、どのシステムを採用することがその企業にとって最適であるかは千差万別です。Notes/Domino技術者の立場か言えば、Notes/Dominoをより有効活用していく為に、バージョンアップや既存アプリケーションの改修、また運用の見直しなどを検討して頂きたいですが、思い切って他システムへ移行した方がビジネスが成功すると判断された際は、それも良いと思います。
システム移行については、多くの時間やコストが必要となる企業にとって重大な場面だからこそ、フェイクニュースにはご注意ください。