【好きなものを語る】ロビンソンの神イントロは「20世紀で最も美しいアルペジオ」だと思う
こんにちは、どーめーです。
はじめましての方も多いと思いますので自己紹介ですが、ギターを弾いたり、ギターアンサンブル・ソロギター編曲をしたり楽譜販売したり演奏動画をYouTubeに上げたりしている者です。
いきなりですが、スピッツのロビンソンって、良いですよね。
この曲との付き合いは、リリース間もないくらいの幼少の頃にどこかで流れてるのを聴いてから記憶の片隅にあるも曲の調べ方もわからず、中学生くらいでMDウォークマンを買ってもらってから「この曲だったか!」とヘビロテで聴き始め、高校でギターを始めてからフレーズを練習したり分析したりで、今の今まで魅了され続けている、といったような次第です。
もう20年近くも昔になりますが、このフレーズのスゴさについて友人と意気投合し、「20世紀で最も美しいアルペジオである」と勝手に認定したものでした。(独断ですが今のところ、21世紀でも最も美しいアルペジオだと感じています。)
今回は、そのロビンソンのイントロについて、自分なりに感じるスゴさ・思いの丈を、勝手気ままに書いていきたいと思います。
【すごい点①】メロディとして限りなく美しい
「イントロのアルペジオが~」と言うと、「え、メロディだと思ってた。。」という感想が返ってくるくらい、このフレーズはアルペジオにしては限りなく美しいメロディラインを形成しています。
楽譜で示すとこのような流れです。
一番上の音(トップノート)を中心に色を付けていますが、確かにここだけに集中して聴くと、メロディにしか聴こえないと思います。
ついでなので、赤いとこだけを鳴らすとどうなるかを試してみました。
とても、アルペジオの一部のフレーズだとは思えないですね。※各小節頭の音もメロディとして扱って良いレベルですが、後述します「3rdの音」扱いとしました。
通常、アルペジオのフレーズは「和音を分解しただけ」になりがちなので、メロディとして美しく聴こえるというのは、まず素晴らしい点の一つだと言えます。
【すごい点②】和音の機能を(ほぼ)完璧に満たしている
次いで、このアルペジオは和音としての機能も、ほぼ完璧に満たしています。
ちょっとだけ音楽理論のお話になってしまいますが、和音において、コードの性格(メジャー・マイナー等)を決定付ける音は、3rdの音です。
Cのコード、「ドミソ」だったら「ミ」といった具合ですね。
イメージ的には以下のような、和音の「基本形」における「真ん中」のものです。(以下はC#mですが)
和音においては3rdの音が最も重要とされ、5thやルートの音は、時と場合によりますが「最悪なくてもOK」とされています。※特に、ロビンソンのアルペジオにおいては、ルート音は概ねベースに託されています。
楽譜を基に見てみましょう。
色を付けた箇所が、各コードにおける3rdの音です。3小節目はsus4コードなので、それであることを決定付ける「シ」の音に色を付けています。
こうしてみると、各小節とも「頭の音~1拍目裏」などの早いタイミングで3rdの音を登場させていて、コードの性格について早々に明言する形となっています。これは、前述した「メロディの美しさ」と両立させるのは非常に難しいことです。
4小節目だけは3rdの音の登場が3拍目と少し遅いのですが、メロディラインの「ファ#→ソ#→ラ→ソ#」の綺麗な流れを優先した結果と考えられ、加えてこれまでとの違い・フレーズの区切りを感じさせ、これまたクールです。
先のお話の通り、「和音を分解しただけ」になりがちなアルペジオにおいて、「メロディとして美しい」に加えて、和音の機能まで考慮されているという点で、本当にオーパーツ的なフレーズだと感じています。
【すごい点③】初心者でも頑張れば弾ける絶妙な難易度
これは、ギター弾きには特に分かっていただける気がしていますが、このフレーズ、ギター始めて間もない方でも「頑張れば弾ける」くらいの難易度なんですよね。
もちろん、数ヶ月は余裕でかかると思いますし、アルペジオとして美しく響かせようと思ったら、効率的な運指をけっこう考慮しなければならないので、奥が深いフレーズではあります。
この絶妙な難易度は、ギターを弾かない方、音楽にそれほど関心がない方に対しても潜在的な効果があると感じています。
何と言いますか、「口ずさみやすい」んですよね。
スピッツのギタリストである三輪テツヤ氏はアルペジオの名手ですので、弾こうと思えば、もっと難しい・テクニカルなフレーズとして弾くことだってできたはずです。
しかしながら、「シンプルな8分音符の連続」に留めつつも、その美しさによって聴く人に退屈を感じさせません。
その絶妙な親しみやすさが、全体的なノスタルジックさと相まって「届きそうで届かない」といった魅力を増大しているように感じます。
【すごい点④】90年代当時も一際目立った「イントロの長さ」
昨今、AppleMusic等のサブスクによって、最初からクライマックスである「イントロ0秒・サビ開始」の曲が増えてきていますが、その感覚でロビンソンのイントロを聴くと「いや長いよ!」といった印象を受けることと思います。(比較すると、ですが)
しかしながら、これは「昨今だから特に」というわけでもなく、90年代当時の音楽シーンにおいても「長い」という印象を持たれていたみたいです。
上記リンク内にもありますが、当時のMステでタモさんに「これ、イントロ⻑くね?」って突っ込まれて話題になった、というから恐ろしいですね。
とはいえ、何と言いましょうかこのフレーズ、それほど長さを感じなくないですか?私がこのフレーズを愛してやまないからかもしれませんが、「いつまでも聴いていたい」という気持ちにすらなります。
ちなみにこの曲、当のスピッツ・草野さんとしては「地味な曲、売れるとは思わなかった。今でも売れた理由はわからない。」と言われています。
しかしながら、私見になりますが、その「売れると思わなかった」という中でも「イントロは16小節で行ける」という思惑があったのではないか、と感じています。
ロビンソンの楽曲分析動画
アルペジオだけじゃないですが、コード進行やフレーズ含めて分析した動画を作ってみたので、よかったら見ていただけると嬉しいです。
※色々とふざけた台本になってるので、苦手な方はすみません。。
おわりに
ロビンソンのイントロについて考えていたことを、思うままに書かせていただきました。
最近の曲もヘビロテで聴いたりもしますが、20年以上聴き続けている曲はこの曲くらいだと思います。
「イントロ0秒・サビ開始」全盛の昨今においても光を放ち続けるこの曲を、今後も愛し続けていこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【追記】
手前味噌で恐縮ですが、ソロギターアレンジして弾いてたりもします。
よかったらご覧いただけると嬉しいです。
楽譜・TAB譜もあります。
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