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Clicks Keyboard for iPhone 16 Pro レビュー
㌉。Clicks Keyboard for iPhone 16 Pro と同棲を始めて2週間くらい経ったので,新生活をレビューします。
同時に,12月3日に開催された Clicks Meetup Tokyo に参加したのでそのリポートもします。
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Overview
Clicks Technology は iPhone 向けの物理キーボードを搭載したケースを販売しており,iPhone 14 (Pro/Pro Max), 15(全モデル), 16(全モデル, 無印/Plusは今後登場) 向けが用意されています。
カラバリは機種ごとに差異があるので注意。
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16系向けは,左から Spice, Onyx, Surf の3色があります。(これから Tokyo Smoke という白色が追加されます。末尾参照。)
【2025年2月追記】16, 16 Plus に対しては現状 Onyx のみの提供となっており,この2機種について Onyx 以外の色の展開については現状では情報がなさそうです。
価格は 無印/Pro 向けは139USD, Plus/Pro Max 向けは159USDです。
パッケージはこんな感じ。今回はくすんだ明るい青っぽい Surf を買いました。
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背面はこんな感じ。
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11月くらいに海外のレビューを見ていて,箱の背面に「紙」マークを発見し,「これは日本に来るぞ!!」と期待していました。実際,日本市場には公式に12月に参入しました。まぁ最初から公式サイトで日本に発送可能でしたが。
ケース本体はこんな感じ。
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USB端子で iPhone と接続します。
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電源や音量ボタン類は質感の高い金属仕上げ。
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装着時の重さは285gと重量級。
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Pros
ぷちぷち!
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タイプライターみたいでかわいい
ぷちぷち押せて最高。入力が楽しくなります。
ただ,筆者が以前使っていた BlackBerry KEYone と比較するとキーはちょっと硬め。長時間入力すると,やや指が疲れてくる。が,個人的には許容範囲。
キーを近寄ってみてみるとこんな感じ。初代モデルよりもキーがより指に馴染むように再設計されました。
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Clicks Technology の共同創業者のひとり,CrackBerry Kevin 氏は自身の記事の中で以下のように述べています。
The new "dipped" shape of Clicks' round keys make the buttons feel bigger under your thumbs, and the raised inner edges make it easier for your thumbs to get to their targets without even having to look at the keyboard.
(Clicks の丸いキーの新しい「ディップ」形状により、キーが親指の下でより大きく感じられるようになりました。また、内側の盛り上がったエッジが親指を自然と正しいキーに導いてくれるため、キーボードを見なくても的確に入力できます。)
BlackBerry 出身のインダストリアルデザイナーを招いて,タイピングパフォーマンスを最適化するデザインを追求したとのこと。
また,キーの形状を BlackBerry KEYone, BlackBerry 9720 と比較してみたのでご査収ください。
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キーの形状をみると,KEYone は盛り上がってますが,Clicks はへこんでいますね。
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大きいキーボードと違って親指の先でキーを押すので,KEYone の場合は膨らみのてっぺんを指先で押さえます。一方 Clicks は中央がへこんでおり,最も標高が高い部分を押さえるかたちになります。
クリック音は,KEYone がしっとりめで,Clicks はやや乾燥気味。ぜひみなさんにも実際に触ってみてほしいのですが,現状オンラインでしか販売してないのでそれは難しそうです。。街中で Clicks ユーザを見つけたら,ぜひ話しかけて触らせてもらいましょう。
バックライト
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暗いところでもバックライトが! 綺麗ですね。イルミネーションとして Clicks を街路樹に取り付けてみたいです。
専用アプリでバックライトの輝度と消灯までの時間を設定できます。
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専用アプリの恩恵として,ショートカットとしていくつかのアクションを登録できます。筆者はコントロールセンターにバックライトのONとOFFのショートカットを置きました。
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なお良いけどまぁそれは今後に期待
以前筆者が利用していた BlackBerry KEYone では,キーボードバックライトのオンオフ,および輝度は周囲の明るさに合わせてインテリジェントに変化していたと思います。
それと比べると手動オンオフは手間ですが,ケースとして外部接続しているのでこれは仕方ないのかな。。
Premium feel
14, 15 向けの前作から確実に改良が加えられており,マットな素材で質感は良好です。
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Kevin 曰く,
Clicks for the iPhone 16 has a more device-like feel than its predecessor, thanks to replacing the silicon rubber side walls with TPU. This new casing means Clicks is easier to slide in and out of your pockets and offers more protection to your iPhone.
(iPhone 16用の Clicks は、シリコンゴム製の側面をTPUに置き換えたことで、前モデルよりもよりデバイスらしい感触を実現しています。この新しいケース素材により、Clicks はポケットへの出し入れがよりスムーズになり、iPhoneをさらに保護できるようになりました。)
背面の革のカバーも安っぽくなくGood.
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CIO製のMagSafeみたいな端子を差し込んでいます
ケース内部の繊維仕上げも触り心地よく iPhone をなめらかに挿入できます。
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Cons
まあ重くて長い
個人的に重さは気にしない方ですが,280gの巨漢を片手でずっと持ってると疲れてきます。逆に言えば,中身が詰まった感触の質量を感じることができます。
それから,iPhone の方が密度が高いので重心が上の方に,top heavy になります。そのままでも入力できますが,じっくりキーボードを打つ際は,背面にスマホリングなどを取り付けて手に固定すると打ちやすくなります。
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自分の場合は,じっくり入力するときだけこのように装着。リングなしでスマホを持っている時よりも、入力はだいぶ速くなります。しっかり手に携帯が固定される。
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それから,長いです。ポケットに入っても,キーボードが飛び出る。おしゃれだけども。ポケットに入れたまま自転車とかは漕ぎにくいというか,落としそうで怖いです。
バッテリー消費
自分の(比較的ライトな?)使い方だと,Chrome とか Instagram と消費電力の1位を競ってる感じで,決して少なくない電力を消費しています。
「USB-C アクセサリ」というのが Clicks ですね。
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専用アプリに,操作がない場合自動的にキーボードと接続を切断する機能が備わっています。切断までの時間を最小の3分に設定していますが,それでもそこそこバッテリーを食います。
それでも物理キーボードが欲しい,という物理キーボード原理主義に忠誠を誓う敬虔な信者たちのためにこの製品はあります。大物理キーボード万歳!
【2025年2月追記】雨がちな日の旅行の際,Clicks を外して3日間 iPhone を利用してみました。Clicks ありだと1.4日ほどもつバッテリーが,Clicks なしだと2日もちそうです。体感でわかるくらいの電力消費はある。これをどう感じるかは,みなさんの判断ですね。ワイは今でもつけていますが。
美しい
美しすぎてずっと触っていたくなります。ずっと眺めていたくなります。ずっとぷちぷちしていたくなります。LINE が来ると即レスして無限にメッセージを打ちたくなります。
その他の言及すべき点
ショートカット
Clicks キーや,地球儀みたいなかたちの globe キーや,コマンドキーとその他のキーを組み合わせてたくさんのショートカットを作ることができます。便利です。ショートカットアプリで好みのショートカットを登録した後,設定の
アクセシビリティ > キーボードと入力 > フルキーボードアクセス > コマンド
でキー入力とショートカットを紐づけします。どうやら Clicks キーは tab キー, globe キーは fn キーとして認識されているようでした。
各種モード
カーソル位置を移動するカーソルモードやデータ転送を行うデータパススルーモードに簡単に切り替えられます。まぢで便利。
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日本語入力について
ビルトインの Apple のキーボードで問題なく入力でき,変換候補選択も快適です。
最近でいえば android 時代の BlackBerry や, uniherz のようにデフォルトのキーボードアプリが日本語で使い物にならずキーボードアプリを別途用意したり,ということはここでは考えなくてよさそうです。KEYone では AquaMozc for BlackBerry に随分お世話になりました。AquaMozc では句読点の組み合わせが自由に選べたのがよかったです。私は「,」と「。」派。
Verdict
ということで,現代的な環境をもつスマートフォンで物理キーボードを利用できる Clicks Keyboard. 万人向けとは言いませんが,刺さる人には刺さる。まだ刺さってない人には,実際に触ってもらえば確実に刺さるでしょう。刺さらなさそうな人も,刺してみると意外と刺さると思います。差しつ差されつ呑みながら Clicks を刺しつ刺されつ。
以上,物理キーボードライフを復活できて嬉しすぎるワイからのレポートでした。
冷静な視点からは,一長一短ございますので,購入を検討している人はよくレビューやXのポストなどを読んで検討すると良いと思います。
物理キーボード信者でない場合,メリットが十分に感じられず使用をやめてしまう例が多いようなので,十分ご検討ください。
かつての BlackBerry ユーザーや物理キーボード好きの方,変態の方なら,きっと楽しめる製品だと思います。
Clicks Meetup Tokyo
ちなみに,12月3日に東京でオフラインイベントが開かれ,同時に日本での展開も発表されました。日本向けのamazonで購入できるようになりましたが,amazonだと高いですね。公式サイトでは頻繁にセールなども実施しており,公式サイトから直接購入することをおすすめします。
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ミートアップでは,Clicks そのものの他,たくさんのプロトタイプが展示されていました。キー配列やキーの形状,クリックの感触が様々であり,数多くの試行錯誤がなされていたことがわかります。
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筆者の BlackBerry KEYone
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Clicks Technology の CEO Adrian 氏の他,BlackBerry 出身だという CMO の Jeffrey Gadway 氏, CrackBerry Kevin 氏が登場。直接,製品について質問することもできました。
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ここではなんと東京にちなんだ白いカラバリ,Tokyo Smoke の登場が予告されました。ある日本のスマホ系 YouTuber が白を打診して,命名もしたそうで。Clicks キーのオレンジのアクセントカラーがかわいい。
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現状の入手方法は,先述の通り公式サイトかamazonで,となります。
個人的には,物理キーボードの魅力は実際に触って初めて理解できるものなので,家電量販店と連携するなりポップアップストアを出すなりして,実機を体験できる機会を多くの人に提供すると良いのではないかと思います。
高校1年生の時に BlackBerry KEY2 の登場を知り,触ったこともないのにそれから物理キーボード機を持ちたい欲求に駆られ,中古で KEYone を買うような変態にとっては期待を裏切らない英雄的商品でした。
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お会いできて最高!