医療保護入院とは
『ルポ・収容所列島』
今回は、『ルポ・収容所列島』(風間直樹、井艸恵美、辻麻梨子 著)を読んだ内容をアウトプットしていきます。
現代のニッポンの精神医療の現状について書いてある本です。
ルポとは、ルポルタージュの略で、取材記者やジャーナリストなどが自ら現地に赴いて、取材した内容を各種メディアにて報告することです。
なので、実際に精神医療にかかった人たちの声がたくさん書かれています。
その実態は、実際に起こっているのが信じられないくらい酷くて、僕は「ええっ!?」とびっくりして声を出しながら読み進めました。
まずはそのびっくりした一例を本文から挙げてみます。
介護施設を経営していた、原山さん(仮名)さんの話です。
「医療保護入院」
引用した文章、かなりショッキングですよね。
この後、原山さんは「認知症はありません」と主張するも結局、隔離室に閉じ込められ、外部との連絡も取れず、薬を投与され、1ヶ月も入院をさせられる結果となったのです。
そしてたったの1ヶ月の入院により衰弱した原山さんは、仕事もできない状態になってしまいました。
本当に意味わからないですよね。しかも、これ2018年12月の出来事なんです。
しかもこの一例だけじゃないです。もっと意味のわからない事例もたくさん本書では記されています。
病院じゃなくて、刑務所かと思いました。
日本でこんなことが起こっているなんて信じられないですよね。
しかし、日本は世界でもトップの精神病床を持っているんです。
精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本で400万人を超えていて、精神病床数は世界の5分の1も占めているそうです。(2017年)
そして上で引用した文章、これだけでは一体何が起こっているかわからないですよね。
問題なのが、「医療保護入院」という制度があるからです。
医療保護入院とは、精神科特有の制度で、本人が入院に同意しない場合、家族などの1人の同意に加え、精神保健指定医の1人の診断があれば、強制的に入院させられるというものです。
本人が精神疾患により自分で判断ができないからという理由でこのような制度ができたんでしょうが、この制度により上の例のように患者(いや患者じゃない人でも)を家族や医者が利用しているという現状がかなり多いです。
原山さんの例では、金銭トラブルを起こしていた、原山さんの長男が同意していたとのことでした。
医療ビジネス
そしてこのような被害は子供の虐待、夫のDV、病床内での虐待、薬による病気、貧困ビジネスなどたくさんの問題に繋がってきます。
一例として、夫が妻を不快に思っており、精神医に対して「妻は鬱です」と言ったら、医者が「鬱病です」と診断します。
こんなことで妻は精神病でないにも関わらず、入院させられるということが可能になるのです。
そして医者も儲けたいですから、病室から出れないようにして薬を出し続けてずっと入院してもらう。
診察も適当です。
このような酷いビジネスが繰り広げられているんです。
まーじで意味わからないですよね。
まずは知ることから
僕は医療従事者でもないので、もちろんこの制度も全く知らなかったです。
そして多くの人も知らないと思います。
この「多くの人が知らない」という現状がおかしいです。
精神病床への入院患者数は28万人らしいです。
これだけ多くの人が関わっている医療ビジネスなのですから、中々マスメディアでは取り扱えない内容なんだと思いました。
やはり当人たちが声をあげないと、こういった問題は表に出てこないでしょう。
しかし当人たちは精神的・肉体的に声を上げるのが難しかったりします。
今回は『ルポ』という形で本にしてくれた著者たちがいるお陰で、こういった日本の精神医療の現状を知ることができました。
一人一人がこういった問題を知っていって、発信していけば、理不尽な医療(もはや医療とは呼べない!)の被害に遭う人は減るのではないかと思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?