カオマンガイ

ドルジは遅くまで仕事をした日はコンビニに立ち寄る。それも家から最寄りでは無く、少し距離のあるコンビニで缶チューハイを買って歩き飲みしながら帰路に着くのが好きなのだ。今日も自分へのご褒美にレモンサワーとカオマンガイおにぎりを買った。ちなみにドルジは自転車通勤のため、こういう時は自転車を押しながら歩いている。しかし、実際問題、今回の布陣は難易度が高かったようだ。
左手に缶チューハイ、右手にカオマンおにぎり、両手の小指薬指で自転車のハンドルを持って歩きながら飲む。数歩進んで、まぁイケるだろうと安易に考えたのが束の間、カオマンおにぎりが鬼門だった。缶チューハイを口に当てたタイミングで、おにぎりのカオマンガイが崩れたのだ。何とかカバーしようと右手を動かすと、ハンドルがお留守になり自転車は転倒、おにぎりはみるも無惨にアスファルトに叩きつけられた。ドルジの自転車はロードバイクで転倒にはめっぽう弱い。部品が破損してギアが外れて戻らなくなった。二兎追うものは一兎も得ず。ドルジはおにぎり惜しさに、おにぎりとロードバイクの２つを失う結果になってしまった。
数秒うな垂れて、悔しさが込み上がってきた。そして、今思えば何でそんなことしたか分からないが、何とドルジはおにぎりを拾って食べたのだ。少しだけ砂利の感覚がした気がするけどアサリの砂だと思って気にしないふりをした。結果としては美味しかった。覆水盆に返らずと言うが、覆水のまま飲めばどうってことない。
昔からの諺に反旗を翻すと共に、人としての尊厳を失っているのに気がつく。通り過ぎる犬の目線に勝手に親近感を覚えてしまうドルジなのでした。