Italian Relieving Life 第5夜 女性への哲学と、生活への気遣いは重要だ、結婚したいし、Firenzeにやっぱり住もうかなぁ

 河出書房新社から出てるDanteの『新生』の解説には、「あなたが人生を安定させたいのであれば、女性への哲学と、生活への気遣いが大切だ」という名言が紹介されている。
 僕もイタリアに来て、ようやく生活についても考えられるようになった。
 それも当然と言えば、当然、イタリアに住む予定なのだから、日本ではその想像がなかなか進まないのは仕方ないことだろうし、仕事でいっぱいいっぱいでもあったし、自分は責めたくない。
 生活について、たとえば最近考えてることは、やっぱりPisaじゃなくて、Firenzeに住もうかということ。
 Pisaは海産物がおいしいし、ほどよく都会で買い物にも便利、夕暮れには遠くの山々に残照が輝くのも目にできるし、いいことがたくさんある。
 散歩ルートにPisaの斜塔があるのもいいし。
 だけど僕が考えているのは、友だち作りと結婚のことだ。
 Pisaだと、おそらく友人は作りづらいし、結婚相手も探すのが難しい。
 Firenzeならすでに3回参加したEnglish party以外にも、Meet upで調べると、いろんな集まりが出てくる。語学学校、英会話教室、イラストを習うための美術学校など、いろんなことを考えると、人と人とのツテはできやすい。
 Firenzeは世界でいちばんの芸術の都だから、文学が好きな人もたくさんいるだろうし。
 以前、Firenzeのパーティに参加した時、いろんな人に仕事のことを聞かれて、大学に入るか迷ってるとか、VISAがまだ取れてないとか話したら、「あなたは偉大な人だ」とか「僕たちには生活があるから」と言われて、その後、ずっとイタリア語でフィレンツェ人が固まって話してて、僕はアメリカ人やスペイン人としゃべってたということがあった。
 Toscana全体がそうだけど、FirenzeはRomaや Milanoに比べて、いい意味で垢抜けてないというか、やさしい気風があって、そこが好きだと感じる。
 Pisaはいいところだけど、明日ここを出発して、Firenzeでの生活や家賃について、ロコタビで知り合った日本人の女性と話すことにした。
 その前には、次で4回目になるパーティがあるし、楽しみだ。
 Cimikoどうしてるかな。
 元気かな。
 今日は朝からDanteの『神曲 煉獄篇』を読んでいた。
 考えたことは多かったけど、気になったのは、世の中には寒さや暑さや痛みがあるが、神がなぜそれを設定したのかはわかってない、人間が知るには限界があるというような、ヴェルギリウスのセリフだ。
 そのことがイエス・キリストの生誕と繋げて書かれているが、確かに、Danteはなぜ魂と肉体を持った状態で、地獄、煉獄を抜け、天国へ辿り着いたのだろう。
 僕が推測するに、それはベアトリーチェの抱える想いと関係があるだろうし、ベアトリーチェの幸せの価値をより美しいものにするために、Danteは天国にベアトリーチェに会いに行ったとも思える。
 長らく否定されていた女性の持つ尊い価値を、世の中に流布させるために。
 僕もベアトリーチェみたいな人と結婚したい。
 結婚したかった仁美さんは、オスカー・ワイルドの『サロメ』が好きで、『サロメ』は預言に狂ったヨカナーンの首を奪って喜ぶ女性が描かれた作品だったけど、女性的な感覚や生活はやっぱり大切だ。
 僕の夢は好きな女性のためにあるから、夢はあきらめないようにしたいけど。
 Pisaの写真どうぞ。









 
 
了 


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