欧米の絵本紹介エッセイ エテルーノ 第2夜 エドワード・ゴーリー 『The doubtful gest うろんな客』
真夏の太陽が燃えたぎる中、横須賀美術館に行って、エドワード・ゴーリー展を見に行った話は、観光と文学のエッセイ「夢のヒッピーデイ」のエッセイで書いたから、読んでもらえるとうれしんだけど、このエッセイでは美術館のショップで買った、『The doubtful gest うろんな客』について書くことにする。
絵本のあらすじは、ヴィクトリア朝の宮殿にペンギンにも見える黒い生き物が住み着いてしまうという話で、ツボをいじったり、本をむしってバラバラにしたり、絵を曲げたり、時計を水の中に沈めようとしたり、まくらを隠したり、いろんないたずらをしたりするんだけど、その生き物が、17年経っても、宮殿の中にいるっていう話だ。
これは僕の推測だけど、もしかしたら書かれていないだけで、この宮殿には他の生き物も紛れ込んだのかもしれない。それでも、17年、いつづけて、そのあともいるのは、このペンギンみたいな生き物だけらしいのは、多分、他の生き物に比べてかわいいからずっと追い出されなかったんじゃないかと思う。
横須賀美術館には父親と行ったんだけど、父親は「悪い奴だ」とか「あんまり気にしない方がいい」とか絵本のイラストに関して言ってた。
僕はそれに対して、なんだかこの子どもみたいなペンギンの生き物がかわいくて、気にしないようにできない気がしちゃったのは、僕の弱さなんだろう。
悪い奴なのか、大人になろうとしすぎるのを、ほどよくセーブしてくれる天使なのかは、僕にはわからないけど、とにかくかわいく見える。
僕はモデルのにこるんが大好きなんだけど、なんで好きかっていうと、にこるんはいつまでも童心を忘れないからだ。
それにしても、精神の高みにのぼろうとしたり、大人であろうとすればするほど、いろんなことが精神の問題であるのかもしれないと思ったのは、僕の悩みでもある……。
エドワード・ゴーリーはハーバード大学でフランス文学を勉強してたそうだけど、才気あふれる絵本作家だなぁって思う。
アメリカの作家だけど、東ヨーロッパの絵本の感じがして、最初はオーストリアかどっかの作家だと思ったから、アメリカの絵本作家って書いてあるのを見て驚いた記憶がある。
僕の心の中にもうろんな客はいるかもしれないし、僕の中にも大人になりたいって意思は強くあるから、時々、かわいがってあげないといけないかもしれない。
ネコをあやすように、いたずらをしても、やさしくあやしてあげれば、きっと精神的な成熟もよりよく遂げられるはずだし、なにより、ペンギンみたいな生き物もにこるんもかわいい。
了