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報道特集でトゥレット症候群が取り上げられていた話
とても久しぶりの投稿なので、リハビリを兼ねて日記的なものを書きます。
6/10(土)にTBSの報道特集で、トゥレット症候群の特集をやっていました。
すっかり1週間経ちましたが、一当事者として思ったことを、
ちょっとだけ書いてみようと思います。
トゥレット症は精神障害?
特集の中で、トゥレットを持っている方が何名か出ていました。
「若者」ということで20~30代の方がメインでしたね。
その中で、「トゥレットは精神障害の扱いになる」と紹介されていました。
障がい者手帳などもらう時に、精神障害のくくりになるんだそうです。
しかしながら、この分類に出演者の方々は疑義を呈しています。
「運動チックも相当にキツイから、身体障害でもある」と言うのです。
何より困るのは、就職先のあっせんをしてもらう時だそうです。
「精神障害」というくくりでは、「静かに作業をする仕事」
「もくもくと仕事をする職場」を紹介されるとのことでした。
しかし、トゥレットの当事者はじっと座ってるなんて無理です。
既存の「精神障害」「身体障害」という枠に収まらないのが、
この病気の難しいところと言えるでしょう。
コウモリは鳥か獣か
ここで少し、私の話をさせてください。
私は小学校1年生の時にトゥレットを発症し、
中学校1年くらいからはちょっとだけ良くなり、
今はどうにか普通に暮らせる程度になっています。
今も電車や図書館にいると迷惑そうにされますが、
特集に出ていた皆さんに比べたら、
今の症状は相当軽い方だと思います。
とは言え、小学校のころは酷いものでした。
下腹部に力を入れて大声を出す症状があったので、
それに伴って尿が漏れる症状がありました。
1時間も授業を受けるとズボンがびちょびちょなので、
おむつを履いて学校に行く時期が2年ほど続きました。
その時に思ったのは、自分は健常者なのか?という疑問でした。
少なくとも私は、障害者としては扱われませんでした。
しかしながら、授業中に大声を出したり、
おむつを着用しているのは、本当に健常者と言えるのか?
さらに悪いことに、私は同級生より頭が良かったようなのです。
トゥレットが原因かは分かりませんが、友達になじめなかった私は、
周囲の大人や先生、担当のお医者さんと過ごすことが多かったです。
そのせいか、「ものを考える」ことが得意だったのです。
頭ははっきりしていて、何なら自分は頭が良いと思っている。
でも体は言うことを聞かず、おむつを着用するしかない。
心と体、意識と行動のミスマッチにいつも悩んでいました。
イソップ物語に、「卑怯なコウモリ」というお話があります。
羽があるから鳥の仲間とも言えるし、毛があるので獣とも言える。
そんなとても中途半端な状態を、自分に感じていました。
頭ははっきりしているから余計に辛い
特集に出ていた皆さんからは、症状が出ていない間は至ってまともな、
むしろ知的で品性のある印象を受けました。
これもトゥレットの特徴だと思います。
トゥレットは今でこそ精神障害とされていますが、
知能に関しては健常者と何ら変わりません。
むしろ、IQその他高めの方が多いようです。
だからこそ、辛いものがあります。
就職活動中の男性が出演していましたが、
家から離れた人通りの少ない証明写真ボックスで、
写真を撮っていました。
人が通ると、声で驚かせてしまうからとのことです。
電車に乗っていても、図書館にいても、何していても、
実は我々はかなり人の目を気にしています。
それは、「あの人が自分を見ている」ということが分かるからです。
同時に申し訳ないとも思っています。
自分だって、大きい声を出す人が近くにいると怖いです。
そこまで想像が出来てしまうので、余計に辛いのがこの病気です。
完治しない病気
なぜトゥレットを発症するのか。
その理由はいまだにハッキリとは分かっていません。
同様に、この病気は完治することは無いと言われています。
そんな中で、私たちは今後どう生きればいいのか。
そんなことも考えさせられました。
自分と周囲双方の「慣れ」
残念ながら、この病気は治療法も確立されていません。
マウスピースや投薬によって症状を抑制する方法がとられますが、
基本的には個々人の症状に合わせて経過を見るしか無いようです。
そんなわけで、「いかにして病気と付き合うか」を考えるしかありません。
私もこの病気とは長い付き合いですが、結局のところ、
自分と周りがお互いに慣れるしかないのだろうと思っています。
私の場合はそこまで酷くないですが、
・甲高い声を上げる
・大きな咳払いをする
・話の途中で声が大きくなる
・背中や腰をたたく
と言った症状が今も出ます。
初対面の人にはやっぱり驚かれます。
しかし2か月くらいいっしょにいると、
不思議と気にならなくなるそうです。
ドライヤーや掃除機の音をずっと聞いていると、
逆に無音に聞こえるというアレみたいなものでしょうか。
そして私自身は、「気にされることに慣れている」のです。
あー、そうだよね気になるよね。
実はチックっていうのがあって~…
という説明を一通り、出来るようにしています。
あとはもう、「迷惑かけてごめんなさい」しか考えません。
考えたってチック止まらんし、気にするだけ時間の無駄というか…。
要するに、周りの人は音と動きに慣れてもらって、
我々自身は見られたり怖がられたりすることに慣れる。
それしか解決方法は無いと思うのです。
これからのトゥレット
近年では発達障害や精神病がスポットを浴びる機会が増え、
トゥレットも多少は名前が知られていくと思います。
私にはまだ小さい息子がいますが、
彼がトゥレットを発症したとしても、
自分を否定せずに生きていける世の中になれば良いと思っています。
ただし、それは私たちが社会に甘える形ではいけないと思います。
当事者だから言いますが、はっきり言って迷惑をかけていると思います。
特にコロナが騒がれていた時期の電車内で、
ひんぱんに咳払いをする人が近くにいるのは怖かったでしょう。
私はそれを差別だとは思いません。
身を守るための当然の反応じゃないでしょうか。
しかしそこでちょっと考えてもらって、
「もしかするとこの前テレビで見たアレかな」
「この前noteで読んだあの人かな」
と思ってもらえると、見え方も変わると思います。
そして、私含めてトゥレットを持っている皆さんは、
なんやかんやで受け入れてくれる社会に感謝しましょう。
理解と感謝。素敵ですね。
そんなわけで、もっとこの病気が知られると良いなと思います。
願わくば私も、その一助とならんことを。
まとまらない文章でしたが、お読み頂いてありがとうございます。
また思いついたら、何か書いてみることにします。