太陽のパスタ豆のスープ⠀[感想のようなもの]

彼女は突然婚約を解消された。⠀
何の前触れもなく。⠀
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その彼女を救ってくれたのは⠀
黄色い鍋⠀
太陽のパスタ⠀
豆のスープである。⠀
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食べ物ではなく、纏わる人の存在だ。⠀
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「これは耐えられないんじゃないか」と思う出来事が⠀
これまでのあなたの人生で幾度か訪れたでしょう。⠀
そして、⠀
忘れはしないまでも⠀
耐えられたから⠀
あなたは今、そこにいる。⠀
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例に漏れず、私もその一人だ。⠀
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あなたはその時のことを覚えていますか？⠀
もちろん、出来事によっては⠀
悔しくて、寂しくて、情けなくて、虚しくて⠀
時には何かを恨んだり⠀
自分を責めたりもしたでしょう。⠀
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その感情は⠀
今のあなたの中に⠀
あの時と同じ温度で存在しますか？⠀
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どうやってあの場所から⠀
今のあなたまで辿り着いたのでしょう。⠀
どうやって耐えてきたのでしょう。⠀
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次の日の朝は⠀
何を動力にしてベットから降り、⠀
家を出て、⠀
日常を過ごしたのでしょう。⠀
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お風呂の狭い空間で一人になり⠀
繕わなくていいと自覚した瞬間⠀
足から崩れていく感覚を始めて知ったあの日から⠀
どんな道を進んで日常まで辿り着いたのか⠀
覚えていない。⠀
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きっと、どんなに日々が進んでも⠀
私ひとりでは辿り着いていない。⠀
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新しいことをしたり、⠀
日常を繰り返すことで軌道修正できる人も⠀
いるかもしれないけれど、⠀
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私には感情を消費することが重要だった。⠀
あたたかい記憶を話したり、⠀
悪口なんかも言ってみたり、
エピソードを語ってみたり、⠀
本当はこんな人だったんだと⠀
とにかく⠀
ありとあらゆる感情を消費することが必要だった。⠀
平気な顔して数年過ごしてみたこともあるけれど、⠀
消費することのなかった感情は⠀
行き場を無くして充満して⠀
数年経っても、これだけは消えてくれないのだ。⠀
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その消費につきあってくれた人がいる。⠀
聞き上手だからいつも甘えてしまうのだ。⠀
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あぁ、私は、こんなにもこんな風に聞いてほしいと思ってたんだなぁ。と、自覚する。⠀
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どうやって日常に辿り着いたかは覚えていないけれど、その道の重要なポイントで⠀
自分のワガママだとわかりながら⠀
消費させてくれた人がいた。

私にとっては⠀
太陽のパスタで、豆のスープなのだ。⠀
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#太陽のパスタ豆のスープ ⠀
#宮下奈緒 ⠀