その結末に背筋が凍る「ふちなしのかがみ」
こんにちは、読書子です。
まだまだ暑い日が続きますね。
そんな時は、ゾッとする話でも読んでクールダウンしましょう。
それでは本日、紹介する本はこちら。
辻村深月作「ふちなしのかがみ」
5編からなる短編集です。
どの話も不気味で背筋が寒くなりました。
では、各話の簡単なあらすじを紹介します。
『・踊り場の花子
学校の七不思議の1つ、花子さん。
よく学校のトイレに現れるといわれているが、若草南小学校では階段に棲んでいるといわれていた。
ある日、夏休みの若草南小学校で作業していた教師・相川英樹のもとに、教育実習を終えた大学生・チサ子が訪ねてくる。
忘れ物を取りに来た彼女は相川と音楽室へ向かうが、その途中で花子さんの話になり、更に亡くなった女児・さゆりの話題にうつる。
警察は母親が殺害したと疑っているが、チサ子は相川が犯人ではないかと追及し始め・・
・ブランコをこぐ足
小学5年生の女児がブランコから落ちて亡くなった。
調査の結果、事故という判断が下されたが、友人達は「キューピッド様」で遊んだせいだと話している。
果たして、彼女が亡くなったのは事故か幽霊の仕業か・・
・おとうさん、したいがあるよ
認知症を患い、日常性格をおくるのが困難になってきた祖母。
大学生のつつじは両親と毎週末、祖母宅へ行き部屋の掃除を行うことになる。
週末、つつじは掃除を開始するが、犬小屋で行方不明の女の子の死体を発見。
また、家の中ではいたるところに死体が隠されていた。
つつじと両親は死体を燃やして隠蔽を図ろうとするが・・
・ふちなしのかがみ
香奈子はクラブでサックス奏者の青年・高幡冬也の演奏を聴き、彼に強く惹かれる。
ある日、友人から鏡とろうそくを使って「自分の未来を知る方法」を聞いた香奈子はさっそく試し、冬也との間に子どもができる未来を見る。
歓喜した香奈子は、その後も自分の未来を知ろうと鏡の魔術にのめり込んでいくが・・
同じ頃、冬也は自身の家の扉によりかっている女児の遺体を発見する。
・八月の天変地異
自身がスクールカーストの上位だと思っていた小学5年生のシンジ。
しかし、班決めの時に実はスクールカースト下位であることを知ってしまう。
病弱なキョウスケと友人であることが、スクールカースト下位になった原因だと思ったシンジは嘘の友人をつくり上げ、人気者になろうとする。
「頭も運動神経も良く、人気者なゆうちゃん」
ある日、シンジとキョウスケの前にゆうちゃんと名乗る男子が現れる。』
どの話もゾッとする展開でしたが、特に印象に残ったのは「踊り場の花子」です。
最初は若草南小学校に伝わる七不思議、花子さんの話をしていたのに、途中で女児・さゆりを殺害したのは相川なのではと追及していくチサ子。
まるで殺害現場にいたかのように細部まで話すチサ子を見て、チサ子は本当にチサ子なのか、それとも階段に棲む花子さんなのか。
読み進めていくうちに冷や汗が出てきました。
また、作中で紹介される若草南小学校の花子さんに関する七不思議の1つに「花子さんに嘘をつくと呪われる」という項目があります。
チサ子に追及されて焦る相川は、目の前にいるチサ子が花子さんなのではないかと疑い、同時に花子さんの七不思議を思い出して恐怖するのですが、
その様子は読んでいるこちらにも伝わってきて、とても怖かったです。
暑い夏にぴったりな1冊「ふちなしのかがみ」
結末が気になる人はぜひ、読んでみてください。