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少し・不在な少女の物語「凍りのくじら」

こんにちは、読書子です。

本日、紹介する本はこちら。
辻村深月著「凍りのくじら」です。

今まで辻村深月さんの作品をたくさん読んできましたが、この作品は私の中で感動した小説ベスト3に入ります。

特に後半は展開が気になり、ページをめくる手が止まりませんでした。
全て読み終わった時、感動して涙がポロリ。
久しぶりに本を読んで泣きました。

では、簡単にあらすじを紹介しますね。

藤子・F・不二雄を「先生」と呼ぶほど尊敬し、ドラえもんを愛する父が失踪して5年が経過した。

芹沢理帆子は、F高に通う高校2年生。
読書が好きで、父と同じくドラえもんを愛している。
ただ、誰と話しても楽しいと思えず、「少し・不在」な毎日を過ごしていた。

ある日、図書館で一人の青年に声をかけられる。
彼の名前は別所。理帆子と同じF高に通う、高校3年生。
彼は理帆子に「写真を撮らせてほしい」と依頼する。

最初は断っていた理帆子だが、彼との出会いを通じて心情に少しずつ変化が・・。
同じ頃、理帆子の自宅に差出人不明の紙袋が立て続けに届けられる。

差出人の目的や正体は一体何か?
そして、彼女を待ち受ける結末とは?

主人公の理帆子は他の同級生と比べて少し冷めた高校生。
友達もいますが、一定の距離を置き、一緒にいても本気で楽しめない。

そんな彼女の癖は、様々な場面や人と会った時に「少し・○○」とつけること。
読み始めた時、性格の曲がった彼女を、私はなかなか受け入れられませんでした。

でも、ある物が彼女と私を繋げてくれたのです。
それはドラえもんに出てくる秘密道具。

「凍りのくじら」では様々な秘密道具が出てきます。
実際に道具は使えませんが、秘密道具を通じて、理帆子の性格や思いが段々分かるようになっていきました。

改めて、ドラえもんって面白くて、凄いと思いました。
物語にドラえもんを自然と溶け込ませた辻村さんも凄いです。

また、登場人物の感情を丁寧に表現されているところも心に響きました。
高校生って中途半端な時期ですよね。

大人になりきれない子ども。
大人になろうと必死でもがいているイメージがあります。

そんな中途半端で、モヤモヤした何とも言えない気持ちを、言葉で上手く表現されている。

一人の少女の物語ですが、読めば読むほど夢中になり、どんどん作品の世界に引き込まれました。

他にも、闘病中の理帆子の母親や元カレ、同じクラスの同級生など。
たくさんの人物が登場します。

どの登場人物も魅力的ですが、読み進めると、ガラッと印象が変わるところも面白かったです。

ラストは感動と驚きの連続でした。
気になる方はぜひ読んでみてください。

少し・不思議な世界があなたを待っていますよ☆







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