リアルな感情表現に心が揺さぶられる「透明になれなかった僕たちのために」
こんにちは、読書子です。
本日、紹介する本はこちら。
佐野徹夜作「透明になれなかった僕たちのために」
本の帯に書かれた「青春サスペンスの傑作」という文章に惹かれて、読んでみました。
独特な世界観で、不妊治療やDNA操作など「命って、死って何だ?」と考えさせられるお話でした。
では、簡単にあらすじを紹介します。
『双子の樋渡アリオとユリオ、2人の幼馴染である阿部深雪は優秀な頭脳を持って生まれながらも、自身に潜むある欲望に苦しみつつ、成長していきます。
中学生の頃、ユリオの自殺を機にアリオと深雪は離れ離れになりますが、大学生の時に再会し、2人は交流を始めます。
同時期に、巷では連続して殺人事件が発生。
SNSではジョーカーと名乗る人物が、事件が起きる度「自身が犯人である」という投稿文を挙げていました。
ある日、アリオは大学で知り合った蒼、自身とそっくりな外見の市堰陽人との出会いがきっかけで、自身の出生について調べることになります。
調べてみると、アリオと市堰は異母兄弟であることが判明。
更に殺人事件にも関係していることが分かり、調査を進めていくアリオですが・・』
不妊治療の末、生まれた双子のアリオとユリオ。
優秀な2人はいつも一緒でした。
しかし、中学2年生の頃にユリオが自殺してから、アリオは人生に対する期待や希望といったものを失い、腑抜けてしまいます。
大学に進学後もアリオは周囲に嘘をつき、無気力に生きtていました。
ある日、新歓サークルの飲み会でアリオは蒼と出会います。
そして、蒼の紹介でアリオは市堰陽人と会うことになるのですが、後に2人は異母兄弟であることが判明。
更にアリオとユリオを育てた父親が、実は本当の父親でなかったことが分かります。
では、本当の父親は誰なのか?
アリオは自身の出生について調べていくのですが、不妊治療、受精卵へのDNA操作など、驚愕の事実が明らかになります。
また、「殺人事件とどんな関係があるのだろう?」と読んでいましたが、アリオが自身の出生について調べていくと共に、事件との関係性や犯人の目的が明らかになっていき、全て分かった時はゾッとしました。
難しく重たい話でしたが、複雑な人間関係や感情が繊細に書かれていて個人的には面白かったです。
ちなみに、この物語にはアリオやユリオ、深雪、蒼、市堰以外の登場人物として・・
アリオとユリオの父母:祐・安奈
深雪の母:菫
深雪の叔父:野崎誠司
野崎の恋人:渚
蒼の父:小山昌平
たくさんの人物が登場します。
どれも物語には欠かせない人物ばかりです。
ユリオの出生が殺人事件とどう関わってくるのか?
全てを知ったユリオは、どうするのか?
気になる人は、ぜひ読んでみてください。